ライバルたちはいずこへ… 貴重な軽オープンスポーツ「コペン」を知る!
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:ダイハツ工業 170
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1990年代初頭、各メーカーは相次いで「軽の2シータースポーツ」を発売。マツダ「AZ-1」とホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」というそれぞれの車名の頭文字から「ABCトリオ」と呼ばれたりもしました。
しかしその後2002年に初代ダイハツ「コペン」が登場し、2015年にはビートの後継モデルといえるホンダ「S660」が発売されたりもしたのですが、昨今は軽スポーツというジャンル自体の人気が低下したからでしょうか、現在でも販売され続けている軽スポーツはコペンのみとなっています。
そんな根強い人気を誇るコペンは前述のとおり2002年に初代モデルが発売され、現在は、2014年6月に発売された2代目のコペンが現行型新車として販売されています。
そのルーフは電動開閉式のリトラクタブルハードトップで、乗車定員は2名。エクステリアを構成する全13枚の樹脂パネルのうち11枚を交換して「着せ替え」ができる外装脱着構造「DRESS-FORMATION(ドレス フォーメーション)」も、2代目コペンの大きな特徴です。
パワーユニットは最高出力64psの660cc直3ターボエンジンで、トランスミッションはCVTまたは5MT。駆動方式はいわゆるFFです。
前述の「着せ替えボディ」により、2代目コペンは何種類かの外観デザインをラインナップすることになるのですが、デビュー当初は「ローブ」という、スポーツカーとしての躍動感と流麗さを表現したデザインのみを販売。そしてデビューから約半年後の2014年11月に、タフ&アグレッシブをテーマとしたSUV風の「XPLAY(エクスプレイ)」を設定しました。
さらに同年12月には、ローブに専用設計のビルシュタイン製ショックアブソーバーなどを組み込んだ「ローブS」を追加。そして2015年6月には第3のモデルとして、「フレンドリー&ダイナミック エボリューション」をデザインコンセプトとする丸型ヘッドランプのデザイン「セロ」を設定しました。このとき、XPLAYにも「XPLAY S」が追加されています。
同年12月にはセロにも「セロS」を設定し、2019年10月にはトヨタから「トヨタ コペンGR SPORT(スポーツ)」も登場。直近では2021年4月にサイドミラーを拡大し、新規に設定された「オートライト機能」を全グレード標準装備にするという一部改良も行われました。
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ちなみに2022年6月には初代コペンの登場から数えて20周年を記念する、その名もズバリな「20周年記念特別仕様車」が発売され、即日完売になったほどの根強い人気をキープしているコペン。現在販売されているグレードと価格は下記のとおりです。
●コペン ローブ(CVT)|188万8700円
●コペン ローブ(5MT)|191万700円
●コペン ローブS(CVT)|209万2200円
●コペン ローブS(5MT)|211万4200円
●コペン XPLAY(CVT)|188万8700円
●コペン XPLAY(5MT)|191万700円
●コペン XPLAY S(CVT)|209万2200円
●コペン XPLAY S(5MT)|211万4200円
●コペン セロ(CVT)|194万3700円
●コペン セロ(5MT)|196万5700円
●コペン セロS(CVT)|214万7200円
●コペン セロS(5MT)|216万9200円
見てのとおりローブ/ローブSとXPLAY/XPLAY Sの価格は同じですが、丸目のセロ/セロSは少しだけ高いという価格設定になっています。
これらのうち、デザイン別のおすすめは「特になし!」と言うほかありません。
コペンは実用車ではなく非常に趣味性が高い車ですので、各自の趣味嗜好に基づいて決めればそれでOKであり、誰かにとやかく言われる筋合いはいっさいありません。筆者個人の好みは丸目の「セロ」ですが、筆者以外の人にとっては、私の好みなどどうでもいい話でしょう。
そのうえで「CVTにするか、それとも5MTにするか?」というのも人それぞれの問題でしかありません。どちらでも、信念や好みに応じてお選びになればいいでしょう。ひとつだけ言うとしたら、「5MTは当然楽しいですけど、7速スーパーアクティブシフト付CVTもなかなか悪くないですよ!」ということのみです。
ただしローブとXPLAY、セロのそれぞれに設定されている「S」はやや注意が必要です。
各デザインの「S」はレカロシートやMOMO製革巻きステアリングホイール、ビルシュタイン製ショックアブソーバーなど、装備が充実しているのはいいのですが、このビルシュタイン製ショックアブソーバーは正直けっこう硬めです。
このあたりの感覚も人それぞれではあるのですが、コペンという車を「スポーティなだけでなく快適にも乗りたい」と考えているのであれば、各グレードの「S」は避けたほうが無難でしょう。
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コペンのライバルとなる車種は、こと新車においては「皆無」ということになります。なぜならば、現在「軽スポーツ」と呼べる車種で新車として購入できるのはコペンだけで、ほかはすべて廃番となってしまったからです。
しかし中古車も含めたうえで考えるのであれば、2022年3月まで販売されていたホンダ「S660」が、コペンと競合する部分が多い車だと言えるでしょう。
もしも「スポーツカー」が欲しいのであれば、正直申し上げて、選ぶべきはS660の中古車です。FFレイアウトであるコペンに対し、S660はいわゆるスーパーカーなどと同じミッドシップレイアウトですので、ハンドリングというか車の動きがまったく異なるわけです。
そのため「ピュアスポーツとしての気持ち良さ」を何よりも優先したいのであれば、中古車市場でS660を探してください。最終型のモデューロX バージョンZはかなり高額ですが、一般的な中古車であれば総額100万円台の予算でけっこういいやつが探せます。
しかしS660はミッドシップのピュアスポーツなだけあって、いわゆる実用性はあまり高くありません。
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FFゆえにトランクルームを持つコペンと違い、ミッドシップのS660には荷物を載せられる場所がほとんどありませんし、ルーフの開閉方式もコペンは電動式であるのに対し、S660はけっこう面倒な手動式。つまりS660は、素晴らしい軽スポーツカーであることは間違いないのですが、主にはセカンドカー的に使われることを想定した車であるということです。
しかしコペンは――もちろんコペンだってセカンドカー的に使っている人は多いわけですが、その気になれば、そして家族構成などの事情次第では、「これ1台」でもなんとかならなくはない作りになっています。
当然ながらコペン1台だけで生活されているオーナーは少数派だと思われますが、そういった資質も持ち合わせているのが、コペンという軽スポーツです。
そのため「スポーティにも、それなりに実用的にも使える何らかの楽しい車」を探している人には、コペンを強くおすすめしたいと思います。
まぁ筆者が今さらおすすめするまでもなく、魅力たっぷりなコペンは、今なお多くの人から愛され続ける長寿モデルになっているわけですが……!
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