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【静かで滑らかで力強い】ボルボXC60 B5へ試乗 マイルド・ハイブリッド

掲載 更新
【静かで滑らかで力強い】ボルボXC60 B5へ試乗 マイルド・ハイブリッド

徐々に進められる電動化技術の導入

text:Mark Tisshaw(マーク・ティショー)

【画像】ボルボXC60とライバルモデル 全98枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ボルボは今後20年間で電気自動車メーカーになると表明している。英国や日本でまだ純EVをリリースしていないだけに、少し野心的な目標にも思える。

しかし、英国政府は2040年までにその計画が実行されることを期待しているだろう。政府としては、まだ何も動きはないのだが。

ディーゼルエンジンの排気ガス不正問題が騒がれて以降、電動化技術を搭載したいくつかのモデルを発表しているボルボ。ハイブリッドではない、ディーゼルエンジンを搭載した新モデルの発売はしていない。

さらにボルボは、数ヶ月前に純EVのXC40リチャージを発表。より多くのプラグイン・ハイブリッドとマイルドハイブリッド・モデルを展開し始めた。

ボルボの進める、漸進的に徐々に電動化技術を導入していくアプローチの方が、突然切り替えるよりも良いアイデアに思える。ユーザーが不便を感じないように、手順立ててくれているようだ。

XC60のマイルド・ハイブリッド版は、従来まで販売されていた、通常のエンジンモデルに置き換える形で登場した。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方が用意され、電圧48Vで稼働するスターター・ジェネレーターを採用するシステムだ。

荷室に搭載されたバッテリーは、ブレーキ時などで充電。加速時にエンジンをアシストしてくれる。駆動方式は前輪駆動と4輪駆動が選べる。

紛らわしいが、ガソリンでもディーゼルでも、マイルド・ハイブリッドにはB5という肩書が付く。B5の排気量は燃料に関係なくターボ過給の2.0L。トランスミッションは8速ATが組み合わされる。より出力の劣るディーゼルエンジンには、B4が付く。

滑らかで静かながら、力強い加速

今回試乗したのは、ガソリンエンジンのB5で4輪駆動。このパワートレインの組み合わせは非常に素晴らしい。ありきたりだが、滑らかで静か、という表現がピッタリだ。

静止時からの加速時も、巡航走行時も、スムーズで余計なノイズが無い。加速は鋭くリニア。もちろん、中間加速時も滑らかで静かだ。

このボディサイズと車重を考えれば、加速力は特筆に値する。マイルド・ハイブリッドがエンジンを加勢しているとはいえ、0-100km/hを6.5秒でこなす。スポーツカーの要素がないクルマにしては、素晴らしい力強さだ。

運転している限り、マイルド・ハイブリッドが動作しているかどうか、ほとんど感じ取れない。エンジンを静かに支援する、裏方に徹している。

唯一確認できるのが、計器パネルのモニターに表示されるインジケーター。減速時などで充電が始まると青く点灯し、エネルギー回収していることをドライバーに教えてくれる。

ボルボによれば、パフォーマンスは向上させつつ、環境負荷は減らし、燃費は最大で15%向上しているとのこと。しかし、新しいマイルド・ハイブリッドが効率的だとしても、大柄なボディを持つガソリンエンジンのXC60にとっては、小さな差でしかない。

試乗車のB5の場合、高速道路での長時間走行を含めて、試乗ルートで得た燃費は8.8km/L。ボルボが主張するほどの訴求力は得られていないと思う。

ディーゼルエンジンとマイルド・ハイブリッドの組み合わせの方が、はるかに優れた選択肢となるはず。そもそもディーゼルエンジンが備えるパワーと効率性の良さを、マイルド・ハイブリッドがさらに高めることを考えれば、悩むことはないだろう。

訴求力ではディーゼル・ハイブリッドが上

パワートレインを除いて、B5はこれまで通りのXC60。穏やかで安楽な運動性能と、しなやかな乗り心地を備えている。やはり静かで滑らかだ。ハンドリングに気持ちを掻き立てられるようなことはない。

荒れた路面では快適性に影響が出るが、それもこれまでのXC60と同様。エンジン自体は、トランスミッションの性格以上に、スポーティな素質を備えている。

インテリアの設えは良く、居心地は非常に良い。縦長のインフォテイメント・モニターの使い勝手には、納得できなかった。単純な操作でも数度のタッチが必要で、長時間視線をそらす必要がある。

ボルボは安全性を優先している自動車メーカーのはず。運転中の操作を見落としてしまったのだろうか。

マイルド・ハイブリッドを搭載し、燃費も走りも向上させたボルボを高く評価したい。しかし、ガソリンエンジンが折角のB5の魅力を目減りさせていると思う。

ガソリン版XC60 B5を選ぶのなら、ディーゼルエンジンは好まず、電動化技術には興味があるものの、プラグイン・ハイブリッドは事情で選べないといった条件が必要となりそうだ。それほど多くの人は残らないのではないだろうか。

しかし、実際に乗ってみれば、運転は楽しいことに気付く。同じショールーム内に並ぶ、燃費の良いディーゼル版XC60 B5に気移りするかもしれないが。

ボルボXC60 B5ガソリン AWD Rデザインのスペック

価格:4万1715ポンド(596万円)
全長:4688mm
全幅:1902mm
全高:1658mm
最高速度:220km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:11.0-12.8km/L(WLTP)
CO2排出量:185g/km
乾燥重量:1841kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:250ps/5400-5700rpm
最大トルク:25.6kg-m/1800-4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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