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【狂気のレーシング・ミニ】ツインカム・ターボからツイン・エンジンまで 後編

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【狂気のレーシング・ミニ】ツインカム・ターボからツイン・エンジンまで 後編

6. コールドウェル・ツインカム

W.D.C.ビル・ニーダムは、イングランド北部の伝説的なミニのチューナーだった。おそらく最も有名な改造ミニといえば、ツインカム・エンジンを搭載したヒルクライム用マシンだろう。

【画像】狂気のレーシング・ミニ 全20枚

1967年に隠し技の効いたマシンを生み出す以前から、コールドウェル・エンジニアリングで多くのチューニング・パーツの開発を手掛けていたビル・ニーダム。経験を活かし、クーパーSのエンジンに大幅な改良を加えた。

ニーダムは排気量1071ccのエンジンの下半分に、特注のシリンダーヘッドを組み合わせ、ディストリビューターとコイルは2丁がけ。当時は出たばかりの、フュエル・インジェクションも搭載した。

初期トラブルに見舞われ、デビューした1967年シーズンの前半は冴えないパフォーマンスだったが、徐々に復調。シーズンが終わる前には、本調子を取り戻している。

このコールドウェル・ツインカム・ミニは誕生から40年以上経った今でも保管され、現存している。現在のオーナーは、生みの親の息子、マーク・ニーダムだという。

マニアな小ネタ

ビル・ニーダムはその後、ミニのエンジンを搭載したコールドウェル・スポーツレーサーを制作。こちらも個性的な、フロントエンジンのミンクF3マシンも設計している。

7. コンロイ・モーターズ 4ドア・ミニ

text:Richard Heseltine(リチャード・ヘーゼルタイン)

photo:Richard Heseltine(リチャード・ヘーゼルタイン)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

ミニは、ラリーでの活躍の歴史も豊かだということはご存知だろう。その中でもこの4ドア・ミニは、コースを外れたクルマとして最も個性的な1台だといえる。

ロンドンの北、フィンチリーのコンロイ・モーターズによって作られたクルマで、ミニ・バンのボディの後ろに、通常のミニの後半が合体してある。さらにドア2枚が追加され、ルーフはアルミニウムで作り変えられた。ドアは、前後逆向きで、左右入れ替えて取り付けられている。

エンジンは1293ccのAシリーズで、オースティン・ミニ・クーパーSのもの。1970年のデイリー・ミラー・ワールドカップ・ラリーをジェームズ・コンロイとアラン・キーフで戦ったが、1300cc以下のクラス1に参戦したのはわずか4台だった。

この個性的なボディをまとったラリーマシンは、不運にも最も早いリタイアを喫してしまう。ロンドンからリスボンまでを走行中に、リアサスペンションが破損してしまったのだ。

後にこの4ドア・ミニは再塗装され、フロントガードと13インチのミニライト・ホイールが外されて売りに出された。今もちゃんと残っている。

マニアな小ネタ

この1970年のデイリー・ミラー・ワールドカップ・ラリーに参戦した他のミニは、ワークスの1275GT。ジョン・ハンドリーとポール・イースターによってドライブされたが、わずか4日でエンジンブローし、リタイアしている。

8. コンプラン・ターボ・ミニ

英国で極めて俊足なウーズレー・ホーネットでレースキャリアをスタートさせたアレック・プール。その後ミニへと乗り換える。

彼は1969年の英国サルーンカー選手権で、エクイップ・アーデン・クーパーSをドライブし頂点をゲット。その翌年、ミニをベースに更に熱いマシンを計画し、過給器を積んだ初めてのミニ・レーサーを生み出す。

コンプラン社がスポンサーに付いていたミニには、1.3Lエンジンにターボチャージャーをドッキング。サーキットやヒルクライムで、サルーンボディのクルマを相手にするだけでなく、最前線に立つ戦闘力を見せつけた。

Aシリーズ・エンジンには高いブーストが掛けられ、最高出力は180ps以上にまで増強。通常のトランスミッションでは手が負えないほどだった。車重は通常のミニより127kgも軽量化され、最高速度は225km/hに届いたという。

特にデビューシーズンを飾った勝利は、このターボ・ミニのハイライト。フェニック・スパークで開かれたアイリッシュ・モーター・レーシング・クラブのレースでは、後ろからのスタートにも関わらず、優勝を果たしている。

このターボ・ミニは、後にフロント周りのボディに変更を受け、更に排気量が1430ccにまで増やされている。

マニアな小ネタ

アレック・プールは、チーム・スピードバードのもとでも参戦。技術がそちらにも流れ、後に共食いしあったと噂されている。

9. ゴードン・アレン・ツインミン

モータースポーツ誌に、冒険心を持ったエンジニアと書かれたゴードン・アレン。群れに属さず、流れを追わず、常に独自の視点でエンジンの開発に取り組んできた。

一度、自身が設計したDOHCのツインエンジン・レーサーのオートバイを生み出していた彼は、イシゴニスの想像を遥かに超えるスピードでミニを走らせることになる。

まず初めは、コスワース・フォードBDA製のシリンダーヘッドを持つ、独自の16バルブ5ベアリングユニットを開発。そこから最も有名な、ジャガー製ツインカム・ヘッドを組み合わせた排気量1.5Lのエンジンを2基搭載した、ツインエンジン・ミニ「ツインミン(ミニではない)」 を生み出す。

アレンはアルミニウム合金製のエンジンブロックにピストン、クランクなどを製造。ツインミンは1960年半ばにレース参戦し、ロッド・エンブリーのドライブで一定の成功を収めている。

さらにアレンはロング・ホイールベース版のミニも開発。Aシリーズ・ユニットを前後に搭載した別のツインエンジン・マシンも生み出している。

マニアな小ネタ

アレンはツイン・シリンダーを持つBDA派生型ユニットも開発。ミニのレースで活躍したピーター・デイがドライブし、1975年には9度の優勝を上げるなど、大きな成功を挙げている。

10. ウェストフィールドTRA/TRZ

ウェストフィールドと聞けば、ロータス7にインスパイアされた2シーター・ロードスターが有名だろう。だが、ミニを特別仕立てにした、ミニ・スペシャル・サルーンというシルエット・レーサーも、かつて手掛けていた。

そもそもクルマの発端は、スイスのアマチュア・ドライバーでレース・コンストラクターのダニエル・テレズ。ロータス7風のウェストフィールドSEiのシャシーを短くし、TRA(テレズ・レーシング・オートモビル)を制作した。

ロールケージが組まれ、エンジンはスズキ製バイクの排気量1.1Lユニットをミドシップしている。パワーは独自のダブルチェーン式のトランスミッションを介し、改良を受けたSEiのデフへと伝えられた。

TRAのシャシーを着飾ったのは、グラスファイバー製のミニのカタチをしたボディだった。テレズは同じクルマの注文を受けたことをきっかけに、ウェストフィールドが同じ構成で生産モデルとして引き受けた。

クルマはウェストフィールドTRZと名前が付け直され、スペースフレームとロールケージが統合されたシャシーを備えた。価格は、1994年当時で2750ポンド(39万円)。販売台数は不明だ。

マニアな小ネタ

ウェストフィールドTRZは、フランスでのワンメークレース用マシンとして、まとまった数が作られている。

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