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【コンパクト・クロスオーバーで最良】プジョー e-2008へ試乗 航続距離310kmのEV

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【コンパクト・クロスオーバーで最良】プジョー e-2008へ試乗 航続距離310kmのEV

エンジンモデルと並列でEVをラインナップ

text:AUTOCAR(オートカー)

【画像】プジョー2008とEVのe-208 全66枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


つい先日も新しいSUVをご紹介したばかりで、プジョー2008の試乗記もお読みいただいたかと思うが、今回は純EVとなるプジョー e-2008。コンパクト・クロスオーバーだが、全長は4300mmとなり、フォルクスワーゲン・ゴルフより長いことは通常の2008と同じ。

基本骨格はプジョー製のCMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)で、コンパクトカー向けに開発されたもの。エンジンとEVとを同じプラットフォームでまかなえる賢い骨格だ。

同じモデルでありながら、エンジンモデルかEVモデルかを選択できる。ネットでの検索としてはエンジン版とEV版とでそれぞれ注目度は高いようで、試乗も別々となった。

今後、検索ワードでパワートレインの区別がなくなる頃には、電動化も一段落ということになるのだろう。同時にEVという単語は、すでに自動車とは切り離せないキーワードでもある。

最高出力135psとなる純EV版の販売台数は、2008全体の10%以上を占めると予測するプジョー。この台数は100psのディーゼル版よりも多い。英国では、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジンの排気ガス不正問題をきっかけに、ディーゼルの不人気は今も続いている。

新世代のディーゼルは燃費も良好だから、試して欲しいと筆者も思う。プジョーのジャン・フィリップ・アンパラトCEOは「誰も耳を貸さないでしょう」 と達観気味だ。

GTラインの車内には高級感が漂う

新しいプジョー2008は、コンパクト・クロスオーバーに属するが、サイズや価格的にはファミリー向けのハッチバックとも競合する。どちらもライバルモデルは少なくなく、特にハッチバックは実力派が揃っているカテゴリーだ。

プジョー2008の英国での価格は約2万ポンド(280万円)から約3万1000ポンド(434万円)。EVモデルのe-2008の場合は、補助金適用後で約2万8000ポンド(392万円)から約3万4000ポンド(476万円)の間に収まる。

メンテナンスの少なさや燃料費なども考えると、使用期間も含めた純EVの総コストは、130psのガソリンモデルと同等となるだろう。

純EV版のe-2008であっても、ガソリンモデルと変わらないトリムグレードが用意されている。今回試乗したのは約3万2000ポンド(448万円)のGTライン。中の上に位置するトリムグレードで、車内には高級感が漂う。

フェイクレザーの内装にはコントラストが映えるステッチが施されているし、控え目に配されたシルバーのプラスティック製パーツは本物の金属のような質感がある。

全長が4.3mもあるから、リアシートには大人は快適に過ごせる空間がある。荷室容量は360Lで、プジョーとしては競争力のある広さだというが、比べるモデルによって感じ方は変わると思う。

GTラインの場合、ダッシュボード中央には大きなタッチモニターが付く。見た目は良いものの、使い勝手はほどほど。少なくともエアコンの温度調整操作は、モニターに内蔵しない方が良い。

バッテリー容量50kWh、航続距離310km

ドライバーの正面には、先進的な雰囲気の3Dのプジョーiコクピットがレイアウトされる。小径なステアリングホイールがメーター用のモニター(ヘッドアップパネル)を少し覆い隠すように付いているから、ステアリングのチルト角は下側にしたくなる。

3Dというだけあり、計器用モニターの情報表示は複数のレイヤーに分かれており、画面には奥行きを感じる。前方視界から視線を移した際、焦点を合わせるのを楽にすることが目的。表示情報のカスタマイズも可能で、なかなか魅力的なものだと思う。

クルマの構造は比較的ベーシック。基本骨格をなすCMPはスチール製となり、サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式でリアがトーションビーム式。エンジンモデルと同様に、電気モーターは、インバーターなどと一緒にボンネットの下に収められる。

駆動方式は、e-2008の場合はすべてが前輪駆動で、4輪駆動のオプションはない。今どきのコンパクト・クロスオーバーのドライバーは、4輪駆動かどうかはあまり重要視しないようだ。

航続距離はWLTP値で310km。バッテリーの容量は50kWhで、ヒュンダイ・コナ・エレクトリックやキアe-ニロの64kWhよりも小さい。バッテリーは、エンジンモデルならトランスミッションが置かれる場所や、足元空間をかわしたフロア下に搭載されており、車内空間が侵食されていることもない。

基本的にエンジン版と変わらない走り

100kWのDC急速充電器にも対応しており、7.4kWの単相交流充電器は車両購入時に設置も可能。DC急速充電器なら、80%の容量まで最短で30分で充電が可能。7.4kWの場合、100%の充電には7.5時間を要する。

11kWの三相充電器もオプションで存在するが、英国の場合基本的に単相で電気供給がされている。実際に活用できるようになるには、もう少し時間がかかると思われる。

バッテリーの保証期間は8年間で、再販時にはプジョーからバッテリー容量の保証書を発行するという。今後中古車を買う時の判断材料となるだろう。整備記録や修復歴、走行距離に加えて、残りのバッテリー寿命も販売スタッフに確認することになるはず。

プジョー e-2008実際に走らせた印象としては、基本的にエンジンモデルの2008と大きな違いはない。135psを発生させるモーターは、30.4kg-mという太い最大トルクをすぐに生み出せるというメリットが有る。しかもシームレスに回転する。

気になった点は、e-2008の方が300kgも車重が重いため、姿勢制御がやや緩いところ。一方で重心高はガソリン版の2008より低いためか、プジョーは特にボディの動きを引き締めるようなことはしていない。

乗り心地は、EVの中にはエンジンモデルに劣る場合もあるが、e-2008は充分に良い。ダイナミックな走りがお望みならe-2008は回答ではないと思うが、そもそもコンパクトSUVでは叶えにくい望みだ。

コンパクト・クロスオーバーでベスト

もちろん運転を積極的に楽しみたいのなら、背の低いクルマを選ぶべきということに変わりはない。筆者も小さなSUVとして、新次元の走りを叶えたクルマの登場を待っている。

それでもプジョーe-2008は、突出した存在の1台だといえる。コンパクト・クロスオーバーの中ではベストといって良い仕上りを得ている。しかも、ゼロ・エミッションの純EVでもある。

今のところe-2008は、エンジンモデルの4カ月遅れでディーラーに届く予定。EV版を実際に確かめるにはもう少し待つ必要はある。

e-2008を選ぶべきかどうか、考えるべきはシンプル。もしプジョー2008が気に入ったのなら、ゼロ・エミッションのEVが、自身のクルマの利用方法や環境に合致しているかどうか、だけだ。

プジョー208とこの2008の開発に携わったチーフエンジニアのギヨーム・クレールは自信を見せる。「もしプジョー208や2008が売れないのなら、世界はまだEVへの準備ができていないということです」

プジョーe-2008は成功するのではないだろうか。

プジョー e-2008のスペック

価格:3万2000ポンド(448万円)
全長:4300mm
全幅:1770mm
全高:1550mm
最高速度:149km/h
0-100km/h加速:-
航続距離:310-349km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1500kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー容量:50kWh
最高出力:135ps
最大トルク:26.4-30.4kg-m
ギアボックス:シングルスピード

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