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【量産最強のフォード】 フォード・シェルビー・マスタングGT500に試乗

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【量産最強のフォード】 フォード・シェルビー・マスタングGT500に試乗

SUVではない、ガソリンで走るマスタング

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】フォード・マスタング【比べる】 全109枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


今回のマスタングは、スーパーチャージャーで加給する5.2LのV8エンジンを搭載し、760psを発生させる、史上最もパワフルなフォード。モータースポーツ直結のスーパーカー、フォードGTですら655psだったのに。

リチウムイオン電池で走るSUVにマスタングの名前を与えたフォードだが、今後も究極のマッスルカーを生み出すという、フォードなりの表現なのだろう。ガソリンスタンドに頼ってマスタングを走らせる時代も、もう少しは続くようだ。

アメリカ市場では、ビック3がパワー戦争を繰り広げている。シボレーからはカマロZL1が登場し、ダッジからは797psのチャレンジャーSRTヘルキャット・レッドアイが登場。フォードも遅れを取るわけにはいかない。

760psのマスタングGT500のパワーは、7速ダブルクラッチ・オートマティック(DCT)を介して後輪を駆動。マニュアル・トランスミッションは選べない。もし6速MTにこだわるなら、より清楚な526psのGT350かGT350Rとなる。

7速DCTを標準装備とすることで、0-96km/h加速3.3秒というフォードの主張を、理想的な条件でなら実際に再現することができる。フロントエンジン・リアドライブのクルマとしては信じられないほど鋭い加速だ。

最高速度は289km/hに制限されるが、それでも充分に速い。2014年に登場したGT500は、パワーで劣っても321km/hだったから、実力は遥かに上だろう。

今までで最もウルサイと思えるノイズ

GT500には、スプリングやダンパー、アンチロールバーなどが専用品となるサスペンションが与えられる。GT350Rと比較すると、スーパーチャージャーの追加とトランスミッションの変更で212kgも車重が増えており、その対策でもある。

ブレーキはディスクの直径が420mmもある強力なもので、フォード製ロードカーとしては最大径だという。それを収めるために、アルミホイールは20インチとなる。

走らせてみるが、完全に正気じゃない。しかし、オーバーパワーのマッスルカー的な想像とは異なる。

4本出しのマフラーのエグゾーストノートも凄い。4段階のうち最も騒々しい設定では、筆者が運転したクルマの中で最もうるさい公認のロードカーなのではないだろうか。共振でダッシュボードからスイッチが外れるのでは、と心配してしまう。

加速も、スペック通りに激しい。変速のたびにエンジンから悲鳴が響いてくることも、そう感じさせる理由だろう。あまりにも暴力的な体験で、クルマが誰かに激しく怒りを感じているようだ。

だが実際はそんなこともなく、ストレートでのシェルビー・マスタングGT500は、信じられないほどに良い。トラクションは強力で、路面の状態がよく前方が空いていれば、2速でもすべてのパワーを使えるほど。畏敬を感じつつも、ドライバーは笑顔になってしまう。

想像以上にハンドリングを楽しめる

変速フィールも、内蔵を強打されるほどの衝撃はない。むしろスムーズに感じるくらい。つまり、走り始める前には想像もしなかったほどに、クルマの操縦を楽しめる。リアサスペンションがリジットアスクルであるという心配もいらない。

現行のマスタングのリアサスペンションの仕上りが良好なことはわかっていた。そこへ手が加えられ、86.25kg-mというみなぎるトルクを平滑ではない路面へ伝える実力を知ると、さらにその優秀さに気付く。

コーナーでも同様に恐怖は感じない。穏やかにアンダーステアを覗かせるが、無限と思えるパワーを与え直して姿勢を変えていっても、急にノーズが振られることはない。アクセルペダルでコーナリグラインを自然に整えられ、望んだ通りに向きを変えていける。

ステアリングに伝わるフィーリングは少ないが、ハイスピードでのコーナリングでも、クルマを信じて狙ったクリッピングポイントへ操れる。残念なのは、隠しきれない1892kgという車重。

荷重の制御は良好で、スプリングの設定も良いから、乗り心地は悪くない。ただし減衰力は、野球場に出かけるだけでも少々詰めが甘いように感じるかも知れない。

全体として、シェルビー・マスタングGT500はビッグ3のパワー戦争では優れた武器になっても、精密なマシンと呼べるほどではない。適切な条件でなら楽しいはずだが、シリアスに運転を追求するタイプではなさそうだ。

最も強調されたマスタングの姿

もしドライビングフィールを重視するなら、ずっと安価にGT350という選択肢が用意されていることは朗報。8200rpmまで回るV8エンジンが発する、特別な音響を楽しむこともできる。

GT350には嵩むスーパーチャージャーがフロントに積まれていないぶん、より滑らかで魅力的にパフォーマンスも楽しめる。腕が試されるような道では、GT500より速いはず。

残念なお知らせとしては、どちらのクルマも英国には正規に輸入されないこと。英国で公認を取る費用を考えると利益にはならないらしく、もしオーナーになりたいならアメリカへ移住するしかない。

少なくとも、フォード・シェルビー・マスタングGT500という存在を知ることができて嬉しい。マスタングという名の電動SUVが登場する中で、フォードがマスタング・ブランドの姿を再提示することは、重要な意味を持つものだと思う。

このフォード・シェルビー・マスタングGT500は、想像できる範囲で最も強調された、マスタング像だと感じた。

フォード・シェルビー・マスタングGT500のスペック

価格:7万3995ポンド(799万円)
全長:4784mm
全幅:1916mm
全高:1381mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:1892kg
パワートレイン:V型8気筒5163ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:760ps/7300rpm
最大トルク:86.2kg-m/5000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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