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仏本社CEOも異例な出席 なぜ二子玉川の街中で「シトロエンの家」を再現した?

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仏本社CEOも異例な出席 なぜ二子玉川の街中で「シトロエンの家」を再現した?

二子玉川ライズでの異例記者会見

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】1日で予約が満枠 ベラルンゴ 全63枚

photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

セレブな街として知られる、二子玉川(ふたこたまがわ=東京都世田谷区)。

東急二子玉川駅の東口に2011年開業した二子玉川ライズ・ショッピングセンターは多摩川沿いに広がる商業施設エリアに175の店舗を構える。隣接するオフィス棟には、楽天本社が入る。

ショッピングアーケードでは場所柄、輸入車の展示会などが催されることは珍しくないのだが、ここまで大きな規模で自動車関連の記者会見が行われるのは珍しい。

会見を開いたのは、プジョー・シトロエン(PSA)・ジャポン。主な目的は、この地で期間限定で行う、家族で楽しめるイベント「コンフォート・ラ・メゾン・シトロエン(シトロエンの家)」(2019年11月27日~12月1日)の告知である。

ところが、驚いたことに会見ではフランス本社のシトロエン部門CEOであるリンダ・ジャクソン自身がプレゼンテーションを行ったのだ。

さらに、本社マーケティング部長のアルノ・ベロー二も登壇してブランド戦略についての詳細を披露した。

なぜ、本社幹部が二子玉川での小さなイベントに足を運んだのか?

なぜ、この地に「シトロエンの家」を再現したのか?

その背景には、自動車メーカーが直面する大きな時代変化がある。

まるで海外モーターショーのいち場面?

今回のイベントは、まるで海外モーターショーのような展示だった。

シトロエン100周年記念モデルの「C3オリジンズ」、「C3エアクロスSUV」、「C5エアクロス SUV」、そして日本初公開となった「ベルランゴ」という最新シトロエンが勢揃い。

また、商用車としてお馴染みのHバン(アッシュ・バン)でエスプレッソなどのカフェ提供サービスを行った。加えて、アーバン向け小型モビリティ「AMI ONEコンセプト」も本邦初公開となった。

展示コンセプト名の「シトロエンの家」とは、大胆で独創的なデザインと並ぶ、シトロエンブランドの特徴、コンフォートを具現化したものだ。

元来、シトロエンのコンフォートとは、伝統のエアサスペンションに代表される乗り心地の良さを指す。それをマーケティング戦略としてもっと広い視野で捉えて、「どこにいても居心地が良い空間=わが家」と表現したのだ。

「シトロエンの家」は、仏パリモーターショーでも採用されているのだが、PSAは今年(2019年)の東京モーターショーから撤退。その代わりとして、今回の二子玉川ライズでのイベント開催に結びついたといえる。

ジャクソンCEOによる約20分間のプレゼンを含めて、「ベルランゴ」の商品紹介など、じっくり1時間。

日中の気温が10℃を切る中の屋外開催だったが、シトロエン本社の活気あるプレゼン内容に満足したメディア関係者は、さほど寒さを感じなかったのではないだろうか。

モーターショー、昔のものに?

今回のシトロエンのように、最近は自動車メーカーがモーターショーではなく、独自イベントを開催するケースが世界各地で増えている。

日本では、トヨタが「ヤリス」、「超小型EV」、「次期MIRAIコンセプト」などを東京モーターショー開催の数週間前に、トヨタ商業施設メガウェブで開催。

ワークショップ形式として、デザイン、車体、パワートレインなど各部門の担当者がメディアとじっくりと意見交換をする場を設けた。

このような商品やサービスのメディア向けプレゼン方法は元々、GAFAと呼ばれるグーグル(親会社はアルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾンなどの米ITジャイアンツが構築し、中国のIT大手であるバイドゥ、アリババ、テンセントにも伝播したものだ。

そのトレンドが自動車産業にも影響を与え始めている。

キーポイントとなるのは、ブランド戦略である。モーターショーのように各社が横並び状態での展示では、ブース毎に趣向を凝らしても、ショー全体の雰囲気の中ではひとつのブランドが目立つことは難しい。

一方、今回の「シトロエンの家」では、シトロエン独自のマーケティング戦略が肌感覚で理解できる。最先端トレンドに敏感なセレブな街・二子玉川を情報の上流として、全国各地のシトロエンディーラーでのブランディングを広めていくことに繋がる。

2019年はすでに4000台を突破

もうひとつ、「シトロエンの家」をこの時期に日本で開催した理由がある。

それは、好調な販売実績だ。シトロエンが日本法人による販売を始めて今年で22年。2019年の販売実績は過去最高となる4000台を突破した。前年比では51%という大きな伸びだ。

日本でのフランス車の市場はまだまだ小さいとはいえ、クルマ好きのシトロエンシフトは確実に起こっていることを、数字は証明している。

さらに、日本でのシトロエンには追い風が吹いている。今年(2019年)10月に販売を始めた、日本初導入の「ベルランゴ」はネット予約を開始して5時間半後に限定数100台が完売した。そのため、11月30日朝9時から追加枠のネット予約を始める。

ブランディングという観点で、シトロエンが日本でここまで注目を集めるとは、自動車業界関係者の多くがまったく予想していなかったはずだ。

これも、クルマを取り巻く市場の大きな変化の一端なのかもしれない。

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