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3代目大型SUVクーペ BMW X6 M50iに試乗 530ps 乗り心地以外は大進化

掲載 更新
3代目大型SUVクーペ BMW X6 M50iに試乗 530ps 乗り心地以外は大進化

述べ44万台以上が売れた人気モデル

text:Greg Kable( グレッグ・ケーブル)

【画像】BMW X5とX6 全170枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


BMW X6ほど意見を分けるクルマもないだろう。初代が登場したのは2008年。プレミアム・ブランドによる高級SUVクーペという、新しいセグメントを開拓したモデルだ。

その後、アウディQ8やメルセデス・ベンツGLEクーペ、ポルシェ・カイエン・クーペ、レンジローバー・スポーツなど、ルーフの低いライバルモデルが続々と登場している。好みは別れても、X6の成功を否定することできない。

アメリカのスパータンバーグ工場で製造されるX6は、これまでに44万6000台以上がラインオフ。ライバルモデルの増加だけでなく、主要市場では環境規制も強化されている中で、BMW製の大型SUVに対する需要は今も増える傾向にある。

2020年モデルとなるX6は、BMWであることを主張する大胆なグリルを含む、フロント周りのデザインが特徴。キドニーグリルには、オプションでイルミネーションを仕込むことも可能だ。なだらかにカーブを描くルーフラインは、11年来のX6らしいシルエットを構成する。

リア周りは従来以上にスリークなフォルムになり、2代目のBMW X4との共通性を感じられる。テールランプのスリムな形状と、テールゲートの寝かされた角度などは、兄弟らしさがある。

新しいX6には、オプションでオフロード・パッケージが選択できるようになった。エクステリアデザインにタフさを加えるアンダーボディ・ガードと、最低地上高を高めたサスペンションなどが与えられる。4輪駆動のxドライブには専用のセッティングが与えられ、オフロードタイヤも装備するという。

X6のトップに立つM50iは530ps

全長は4935mmとなり、2代目X6の4909mmより26mm成長。ホイールベースは42mm伸び2975mm。全幅は15mm増しの2004mmで、全高は6mm減の1696mmだ。

インテリアは基本的に最新のX5と共通部分が多い。素材の質感は大幅に引き上げられ、BMWの最新版iドライブ・システムに対応する。計器パネルはモニターによるデジタルメーターとなり、インフォテインメント・システムには12.3インチの大型タッチモニターが用意される。

定員は5名のままだが、後部座席は足元や肩周りの空間に余裕を追加。全長は長くなったものの、荷室容量は580Lと変わらない。ちなみにX5より65L小さい。40:20:40で分割できるリアシートを畳めば、1530Lまで広げられる。

ガソリンでトップに立つのが、今回試乗したX6 M50i。4.4LのV8ターボエンジンを搭載し、最高出力530ps、最大トルク76.3kg-mを発生。X6 xドライブ40iには、340psと45.8kg-mの3.0L直列6気筒ユニットが組み合わされる。

英国では人気のディーゼルは、クワッドターボの3.0L直列6気筒エンジンから400psと77.2kg-mを発生させるX6 M50dがトップ。 X6 xドライブ30dとして、264psと63.0kg-mを発生する3.0L直6ディーゼルターボもラインナップする。

トランスミッションはエンジンに関わらず8速ATが標準。電子制御のxドライブ4輪駆動システムを搭載する。今回試乗したX6 M50iにはリアデフロック機能も備え、悪条件でもトラクションを稼いでくれる。

従来上に感銘を受ける操縦性の良さ

ラグジュアリーさをさらに高めようとしたBMWの努力は、車内に一歩足を踏み入れた瞬間にわかる。素材や設えはもちろん、運転支援システムなど標準装備の内容も以前のモデルを大きく凌駕している。

着座姿勢は以前より寝かされ、スポーツクーペのものに近い。BMWは、メカニカル部分はX5と共有するものの、ボディスタイルに応じて独自の個性を提供することを目指したという。

X6 M50iの車重は2235kgもある。だが都市部での流れに合わせるような、僅かなアクセル操作でも滑らかに走れる柔軟性を備えている。さらに郊外の道では「M」ブランドに恥じないパフォーマンスを披露する。

ゆったり深く腰を下ろし、圧倒的なスピードで走らせたいと思える流暢さを持つ、X6の最強グレードとなるM50i。高速道路程度の速度でも、風切り音やロードノイズが車内に絶え間なく侵入してくるが、長距離走行も余裕だ。

パワフルなエンジンだけでなく、速度と一体感のあるATの変速マナーも運転の魅力を高めている。これまでも大柄なボディを持つX6の操縦性の良さには感銘を受けてきた。最新モデルはその思いを一層強めてくれる。

足まわりは、スチールコイルとアダプティブ・ダンパーの組み合わせが標準。試乗車にはオプションのエアサスペンションが装備されていた。加えて後輪操舵システムも備え、操縦性の向上に貢献している。

これらにフィーリングの良いステアリングが融合し、都市部以上の速度域では、X6から受ける操縦性の満足度は高い。車重を意識する場面は少なくないが、勾配やカーブの続くような道でもボディの動きは漸進的。ドライビングフィールは一貫性に優れ、異常な速度域に踏み込まなければ挙動も予測可能で掴みやすい。

乗り心地以外は先代を大きく上回る

機敏なクルマの反応は、4輪駆動システムのxドライブと電子制御されるリアデフの効果も大きい。トルクベクタリング機能として作用しつつ、自然な振る舞いに納めている。

仮にM50iが履く21インチタイヤの強力なグリップが限界を迎えても、ダイナミック・スタビリティ・コントロールシステムが即座に介入し、ライン修正を許してくれるだろう。

ひとつ弱点をあげるなら乗り心地。コンフォートモードでもX6 M50iは落ち着くことはなかった。表面が荒れた路面では高周期の音振が侵入し、低速域で生じる横方向の揺れも快適性を奪っている。速度が上昇すれば改善するが、穏やかさが包んでくれるほどでもない。

車内の広さや実用性、快適性という点でばX5に分がある。だがX6の魅力は別のところ。X6 M50iのワイルドで力強いルックスに惹かれるドライバーも多いだろう。先代のSUVクーペの支持率を見るに、1万6000ポンド(224万円)ほど安いxドライブ30dの方が、訴求力は高いかもしれない。

クルマを評価する主要軸では、新しいX6は先代を大きく上回る進化を遂げたといって良いだろう。唯一、乗り心地を除いて。

BMW X6 M50iのスペック

価格:7万6870ポンド(1076万円)
全長:4935mm
全幅:2004mm
全高:1696mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:7.9秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:2235kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:530ps/5500rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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