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試乗 メガーヌR.S.トロフィー新型(EDC) 内装/スペック/価格、筑波で評価

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試乗 メガーヌR.S.トロフィー新型(EDC) 内装/スペック/価格、筑波で評価

どんなクルマ?

text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)

【画像】メガーヌR.S.トロフィー試乗 全68枚

photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

搭載するM5Pの最高出力は300ps、最大トルクは42.8kg-m(EDC車)。FFのスポーツモデルでもトップクラスのパワースペックである。

ところがメガーヌR.S.(ルノー・スポール)トロフィーの外観は意外なほど大人しい。地味と言ってもいいほどだ。

日常とレジャーで汎用性の高いCセグメントに位置するメガーヌをベースに、ルノー・スポールの手により仕立てられたワークス系カスタマイズスポーツがメガーヌR.S.である。

前記したパワートレインの他に強化されたシャシーやブレンボ製ブレーキ、後輪操舵機構により操安性と運動性の両立点を向上する4コントロール等々が採用される。このモデルをベースにさらに強化された専用シャシーやトルセンLSD等を採用し、限界走行性能を高めたモデルがR.S.カップであり、走行性能面での実質的な後継モデルがR.S.トロフィー(RSトロフィー)だ。

内外装 トロフィーの違い

また、アルカンターラを表皮に用いたレカロ製バケットシートや本革&アルカンターラコンビのステアリング、赤スポークをアクセントとした専用ホイールなどの専用艤装も加わり、メガーヌR.S.の上級設定仕様の一面も備えている。

しかし、これ見よがしのエアロパーツを装着するわけでもなく、真偽は別として、エアインレット/アウトレットを外観デザインのアクセントに用いるのも定番化した現在では、一目してハードコアスポーツと見抜ける人はそう多くないだろう。

見せびらかすことよりも個人の愉しみに深く入り込むタイプ。「能ある鷹は爪を隠す」というほど気取ってはいないが、熱い想いをスマートな佇まいで被った粋さに好感が持てる。

で、試乗コースは筑波サーキット。もう何年も走っていないが、個人的にオキニのコース。仕事だから常に観察者の目で……とは思うのだが、早朝からワクワクが止まらなかった。

どんな感じ?

限界を極めるべく繊細なコントロールに全身全霊を傾ける、とはならないのである。

全開加速から全制動となれば制動タイミングに相応に気を使うが、それほど神経質にならずに済む。クルマとの対話感と限界走行特有の緊張感が実に楽しい。

1つはどこでもトルクフルなエンジンと素直なブレーキのお陰。試乗車が6EDC(6速DCT)仕様だったこともあり、全制動からのコーナーへのアプローチでもペダルワークも楽々。

全制動から転舵に応じてじわりと減速を緩め、アペックス辺りまでブレーキを残す。

ここでのコントロール性の鍵はブレーキリリース時の特性。舵を深めて横Gが大きくなる舵角と横Gの増加と制動力の減少を確実に連動させるには、ペダルコントロールにリニアなリリース特性が必要。

この要求にR.S.トロフィーは見事に応えてくれる。後述する4コントロールの効果もあるのだが、リリース側の制動追従がいいとコーナー深くまで制動維持が容易になり、その結果コーナリングラインの選択肢やコントロールの幅が拡がる。

シャシー性能を検証

アペックスを抜けて加速に移行。こっちはもっと楽にコントロールできた。

何しろ42.8kg-mもの最大トルクを、スポーツ走行では低回転域となる3200rpmで発生するのだ。

レブリミットから逆算して神経質にシフトしなくとも、どのコーナーでも文字通りあり余る駆動トルクが得られる。ダウンシフトは1段or2段と迷うような状況なら躊躇せず1段ダウンを選べばいい。

下のギアよりも加減速は穏やかになるが、アクセル操作への応答は的確。前輪の逃げ具合や引き戻しを加減速で応答遅れ少なくコントロールできる、トルセンLSDを活かした微妙なラインコントロールも難しくはない。

この下支えをするのがシャシー性能。前後左右に大きく荷重変化する状況でも揺れ返しや接地の不安定さは一切ない。操作と挙動の因果が極めて安定している。

基本操縦特性はお手本の様な弱アンダーステア。前輪の逃げ具合は如何様にでも、というのは前述のとおり。

興味深いのは4コントロールである。

筑波で試す、4コントロール

走行モードは、ノーマル(ニュートラル)/スポーツ/レースの3モードの選択が可能。4コントロールの後輪の逆位相操舵制御は、ノーマルとスポーツは60km/h以下、レースは100km/hまでとなっている。

ふつうに考えるとノーマルから順に切れ味鋭くなりそうだが、試乗するとノーマルとレースが似た特性で、スポーツが演出志向という印象だった。

後輪操舵と言ってもステア操舵角に定量的に制御されるわけでなく、ステア操舵の舵角や操舵角速度、車速等の走行状況に応じて後輪操舵の同逆位相と操舵量が制御される。

ノーマルとレースモードの制御の基本はスタビリティ。最大負荷走行でのコントロール性を重視するレースモードでは操舵に対して素早い回頭反応を示すが、初期反応だけである。

後輪舵角は転舵(舵角増)初期に一瞬逆位相となり、すぐに同位相に移行しているようで、コーナリング中全般で前後輪のCF(旋回力)は良好なバランスを維持する。4コントロールの介在を意識しない自然な操縦感覚を生み出している。

スポーツモードが楽しい

ノーマルモードは挙動が穏やかになるものの最大負荷走行でのハンドリングの印象はレースモードと大きく違わなかった。

筑波サーキットでの限界走行では後輪逆位相制御制限の60km/h以下となる状況がほとんどないこともあるが、スタビリティ優先のノーマルモードでも限界域で優れたコントロール性を発揮するのは基本シャシー性能の優秀性と当(とう)を得た制御の4コントロールの賜である。

で、スポーツモードだ。これも限界まで追い込めばスタビリティ重視あるいは効率的な制御となる。だが、限界の8割方くらいの領域では切れ味や軽快感が誇張された操縦感覚。

限界までのゆとりを使ってオーバーアクション気味の挙動を楽しむ感じである。例えば、アクセルオフと素早い操舵で一気に姿勢を変えたり、コーナーの立ち上がりでアクセルを開けながら舵角を深くしたりすると、オーバーステア気味の挙動を示す。

後輪逆位相でCFを落とした結果と思われるが、危なげなく振り回すようなドライビングが可能なお楽しみモードと言える。

限界を極めるも無邪気に高揚感を味わうもよしの4コントロールなのだ。

「買い」か?

撮影のため構内路を走らせたが、流石に乗り心地は硬い。あれだけの激しい加減速と横Gでのしなやかさと挙動の落ち着きを得ているのだから当然である。

その点ではかなり尖ったスポーツ派限定になるが、もし高性能に求めるものが「派手な走り」と「綺麗な走り」で二分されるとしたら、メガーヌR.S.トロフィーは後者。そして綺麗な走りは効率のよさであり、効率のよさは揺れ返し等の無駄な挙動を抑えるための補正をドライバーに要求しないことでもある。

トロフィーだけが特別な存在というより、ルノーの考える高性能を高純度で結晶化した結果なのだろうが、多いに共感を覚える。

車両価格はメガーヌR.S.(基本モデル)の約50万円高の499万円。試乗したEDC仕様のほかに6速MT仕様があり、こちらは10万円安の489万円である。レカロシート等の専用装備を考慮すれば、納得できる価格設定だ。

Cセグで500万円は安くはないが、同等パワースペックのゴルフRは約580万円。ゴルフRは4WDを採用するので、駆動方式分の差額を引いてもトップエンドのスポーツモデルではお値打ち価格である。

ACCの設定がなく、車線維持支援は逸脱警報止まり。運転支援機能に不満はあるものの、その他の一般的な安全&運転支援機能は揃っている。品よくまとまった内外装もあり、偏見めいた視線を受けることもないだろう。硬い乗り心地も雑味はなく、ハードコアスポーツを乗る満足感を得るに相応である。

実用のために選ぶモデルではないが、性能追求のための実用面の犠牲を最小限に留めているのも好感。ルノー・スポール車が世界でフランスとドイツに次いで日本で売れているのも当然、と思わせるモデルである。

メガーヌR.S.トロフィー(EDC)スペック

価格:499万円
全長:4410mm
全幅:1875mm
全高:1435mm
ホイールベース:2670mm
最高速度:-km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:12.4km/L
CO2排出量:-g/km
車両重量:1470kg
パワートレイン:1798cc直4ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/6000rpm
最大トルク:42.8kg-m/3200rpm
ギアボックス:6速オートマティック

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