「総入場者数」130万人超でまずは目標達成?
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
11月4日(祝)に幕を閉じた第46回東京モーターショーは、前回(2017年第45回)の来場者77万人を大幅に上回る約130万人を集めた。
今回は異例づくめの開催だった東京モーターショー。「異例」を「生まれ変わった」というキャッチコピーに代えて、マツコ・デラックスを起用したTVCMなどで盛んにアピールした。
またマツコの複数の番組で東京モーターショーの特集が組まれた。ご覧になった方も多かったと思う。
改めて今回のモーターショーが前回までと変わったところをおさらいしてみよう。
・青海エリア(青海展示棟やMEGA WEBなど)と有明エリア(東京ビッグサイト)の分割開催
・高校生まで無料(前回は中学生まで)
・無料エリアを大幅拡大(オープンロード、FUTURE EXPOなど)
・海外完成車メーカーの出展が激減(VW,アウディ、BMWなどのドイツ勢が軒並み撤退)
・キッザニアと提携し「Out of KidZania in TMS2019」を展開
・クルマと直接関係のない企業の出展が大幅増
ネガティブ要素が多くなって来場者の大幅減少が予想されることから、主催者の日本自動車工業会では無料エリアや無料入場対象者を大幅拡大するなどの対策を講じ、結果的に「総来場者数130万人」を突破できた。
ちなみにこの「130万人」には無料入場者(高校生以下、障害者他)、無料エリアなどすべて含んだ数字となる。
1人の来場者が青海展示棟とビッグサイト西・南館、MEGA WEBに入場すればそれで「来場3人」とカウントされるようだ。
入場ゲートがない「OPEN ROAD」への来場者をどうカウントしているのかは不明だ。
自工会が「お詫び」をした会場間の移動
主催の自工会が発行した11月5日のプレスリリースでは来場者数の公表の他、青海と有明の会場移動についての不便さをお詫びする文章も掲載されていた。
実際、この会場移動は本当に大変だった。
特に前半は雨天の日が多く、OPEN ROADでの展示や試乗会などもほとんどがお休み状態となっていた。
となると移動手段は無料シャトルバスになるがこれも平均で30~40分待ちとなり、また会場間の移動も渋滞などで15~20分かかる。待ち時間+移動時間で1時間以上掛かったケースも珍しくなかった。
結果、会場移動を諦める人も少なくなかったようだ。とくに日曜祝日は渋滞などで苦労して会場にたどり着いたら今度は会場間の移動に時間を費やし、西・南館を見るだけで精いっぱい、というパターンも。
しかし、天気のよい日にOPEN ROADを使っての移動は、おおむね好評だったのではないかと思う。筆者も実際に2回、OPEN ROADを歩いたが、小型モビリティの試乗を楽しんだ人も大勢いたし、ベビーカーを押しながらお散歩感覚で歩く家族連れも大勢いた。痛車をはじめとしたユニークな展示車両など見ながら楽しく過ごすことができた。ゆっくり歩いてだいたい30分くらい。
また、一部のマニア(?)にはシャトルバスによる面倒な移動の中、貴重な体験を喜ぶ人もいた。移動のシャトルバスにトヨタ自動車や日野自動車の「社員用バス」が使われていたことが理由だ。
ふだんは関係者以外乗ることがないバスなので、貴重な機会となった。
ちゃっかり「便乗」のBMWディーラーも?
今回、東京モーターショーへの出展をしなかった輸入車は東京モーターショーの開催期間、ディーラーやインポーター独自のイベントを開催していたところも少なくなかった。
ポルシェについては11月22日~12月7日、まで東京・渋谷の「SO-CAL LINK GALLERY」で開催される「SCOPES Tokyo driven by Porsche」がそれに該当する。モーターショーが終わってからの開催となる。
こちらは、次世代カスタマーとして想定しているミレニアル層に向けて新たなブランド価値を発信することを目的に開催するもので、ブランド初のEVタイカンの一般公開も行われる予定だ。
ちゃっかり(?)モーターショーの人出に便乗したイベントを開催したディーラーもあった。
青海会場至近にあるBMW GROUP Tokyo Bayがそれで、ゆりかもめ青海駅で移動につかれた東京モーターショー来場者に向けてか、なんとも魅力的なチラシを配布していた。
開催日は10月26日、27日、11月2・3・4日の5日間でまさに東京モーターショー開催期間の週末に合致していた。時間も10時~18時とモーターショー日祝日の開館時間と全く同じ。
このディーラーでは通常でもBMW/MINI合計で60車種以上の試乗ができるが、期間中はそれに加え自動運転の体験や特別モデルの世界初先行公開などモーターショーのような(?)様々な催しが開催されていた。さらに、チラシにはドリンク無料券もついていた。
モーターショーで見られなかったBMW/MINIがモーターショー会場に近い場所で見られて試乗もできてラッキー! という人もいたのではないだろうか?
モーターショー なかでも良かったブース
筆者が4日間訪れて感じた「来場者の満足度も高かった」であろうブースを記しておきたい。
ホンダ
ホンダの歴史がわかる展示が素晴らしかった。実体のない未来ばかりを訴えるのではなく、ホンダブースを訪れる人が何を期待しているのか?それにしっかり応えていたと思う。
LEXUS
フランスでデザインされたというコンセプトカーLF-30も斬新で良かったが、その横にあったLFA~LCの走りを体感できる展示が最高。
「LFAからLCへ遺伝子が引き継がれている」という意図もあった模様。
2019年の東京モーターショーでLFAが見られたことへの満足度も大きかった。
Out of KidZania in TMS2019
自動車メーカーの本気度が凄かった。対象は小学生のみであったが、子どもたちに日本のクルマ作りへのこだわりや整備の重要性を伝えようとする姿勢に感動を覚えた。
スーパーカーの屋外展示
30・31日の2日間のみであったが、各日でクルマを入れ替えるなどの配慮もあり、のべ50台以上のスーパーカーが展示された。屋外展示では最も人出が集中していたエリアだったと思う。
早くも次回2021年の東京モーターショー開催が発表されているが、次はクルマ好きにとってもワクワクするような展示をもっと増やしてもらえると良いと思う。
そんな展示ばかりになれば、たとえ会場間の移動で不便な思いをしてもクルマ好きからの不満は出ないだろう。
クルマに興味がない人が訪れて「モーターショー楽しかった~」というだけでは、来場者数が増えても次世代につながっていかないと思うので。
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