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完成度の高かった従来モデルを正常進化! マイチェンしたホンダ・フリードの走りの進化とは

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完成度の高かった従来モデルを正常進化! マイチェンしたホンダ・フリードの走りの進化とは

 ちょっとしたところでも走りの質感が高まるポイントを改良

 ホンダのコンパクトミニバン「フリード」が10月18日、初めてのマイナーチェンジを受けてさらに完成度を高めた。従来型も評価の高いその走りをどう進化させたのか、車体設計を担当した本田技術研究所の工藤 謙主任研究員と、パワートレイン開発を担当した手嶋大平研究員に聞いた。

【ムービー】新グレード「クロスター」誕生! マイナーチェンジする新型ホンダ・フリードの魅力とは

──現行モデルの走りに対し、実際に購入したユーザーからはどのような声があったのでしょうか?

 工藤:基本的にネガティブな声は聞こえてきませんでした。パワートレインやハンドリング、乗り心地も非常に評判が良く、今回のマイナーチェンジを実施するにあたり、正常進化とはどういうものか、「信頼フリード」という開発コンセプトに基づきどのように進化させるかをわれわれのなかで考えてきました。

──マーケットのニーズよりも、自分たちでどう進化させるかを決めたのですね。

 手嶋:はい。通常のマイナーチェンジでは悪いところを直して熟成させていくのですが、とくにネガティブな意見がなかったので。

──「信頼フリード」を具体的にどのようにして実現したのでしょうか?

 手嶋:パワートレインでは「ブレーキ操作ステップダウンシフト制御」を採用しました。多人数で乗車したときにブレーキの効きが通常より甘くなったりするので、そういうときを想定しています。

 例えば下り坂でフットブレーキを効かせると後席の人が前につんのめってしまうので、そういうときにこの制御は軽い補助ブレーキになるので、使い勝手としてはミニバンに合うのではないかと考え、今回ホンダのミニバンでは初めて採り入れました。元々はスポーツモードにしか入れていなかったんですが、エンジンブレーキのかけ方は違うものの、「信頼フリード」のコンセプトに合っていると思います。

──60km/h以上でのEPS(電動パワーステアリング)のセッティングを重めにしたとのことですが、最近は高速域で丁度良くても低速域が軽すぎるクルマが増えている印象があります。低速域と高速域とで段付き感が出ないよう、どのように工夫したのでしょうか?

 工藤:仰る通り、段付き感が出て「ここで変わったな」というのが分かると、それはそれで質感がないので、そこはスムースに移るような形でセッティングしています。最終的には専門家の試乗も交えて決めました。相当試乗を繰り返しました、だいぶ微妙な世界なので(苦笑)。

 手嶋:ガソリン車とハイブリッド車、FFと4WDとで全部バランスが違いますので、それらをすべて同じフィーリングになるようセッティングするのに苦労しましたね。

──全部セッティングは違うのですか?

 工藤:はい、全部違います。

 JC08の数値を大幅に下まわることなくWLTCモードに対応

──そのほかにボディ・シャシーの変更点はありますか?

 工藤:基本的な骨格は流用しています。サスペンションも結果的には同じものになっています。というのも、クロスタ−で新しいホイールを採用して、その剛性バランスが変わったり、またEPSのセッティングを変更していますので、サスペンションのセッティングを変更する可能性もあるという話をしていたのですが、結果的には今までのものでいけましたね。手前味噌ですが、それだけマイナーチェンジ前のモデルが優秀だったので(笑)。

──サスペンションも、ガソリン車とハイブリッド車、FFと4WDとで全部セッティングを作り分けているのでしょうか?

 工藤:掛かる荷重が変わりますとスプリングの形も変わりますので、仕様ごとに微妙に変えています。

──今回WLTCモードに対応しつつ、全グレードで「平成30年排出ガス基準75%低減」レベルを達成するのに苦労した点は?

 手嶋:正直なところ、WLTCモード対応すると、当面併記するJC08モード燃費が悪くなる部分が出てくるんですが、それを落とさずに対応しなければならないのが大変でしたね。それでも、マツダさん以外は積極的に取り組んでいないWLTCモード対応に、ハイブリッド車もガソリン車も強い気持ちで取り組んできました。

──冷間走行に関するWLTCモードとJC08モードと違いは?

 手嶋:コールドスタートしてから走り出すまでの時間が短いので、一番排ガスが厳しい所の対策をしなければならないのが、とくに難しかったですね。

──そして、カバーする速度域が高い?

 手嶋:そうですね。

──ということはエンジンの燃焼よりも触媒側の、できるだけ早く暖めるなどの対策が必要ということですか?

 手嶋:触媒の貴金属量をアップするしかないですね。ほかのジャーナリストの方には「お客さまには一切見えない所にお金をかけているのね」と言われてしまいましたが(苦笑)。

──でも、法規対応しなければ売り物になりませんからね。

 手嶋:外観の目に見える所が変わっていれば、お客さまは納得するのですが、触媒の貴金属量が増えていることはご存じないでしょうから。

──燃費や排ガスに対するニーズは、昔ほど高くはないのでしょうか? かつてはモード燃費の数値がコンマ1でも高い方が偉く、売れ行きを左右する風潮がありましたが。

 手嶋:ないですね。

 工藤:コンマ1まで求められる風潮は、今は昔ほど強くないと感じています。

──WLTCモードでは減ると思いますが、モード燃費の良いクルマほど実用燃費との乖離が大きく、クレームの種になっていたと思います。実用燃費の向上策は何かありますか?

 手嶋:WLTCの低速モードが実用燃費に似てくるので、そこが悪いとイメージも悪いですし、実用燃費との乖離も大きくなりますので、そこはキッチリ出しています。高速側は車体の走行抵抗で決まってしまう所がありますので。

 フェイスリフトで空力性能に影響を与えないよう苦労した

──今回のマイナーチェンジで標準車はデザインがシンプルになりましたが、それによって空気の流れが良くなっているのでしょうか?

 工藤:基本的にはネガティブにならないようしっかり見ました。現行モデルと同等レベルですね。

 手嶋:空力に関するパワートレイン側からの要求は「絶対に落とすな」でしたね、「良くする分には全然構わない」と(笑)。

 工藤:デザインを変えることで空力操安も変わりますので、そういったところも気を遣って、変わらないようにしました。

──「クロスター」は押し出しの強いデザインで付加物も多い分、空力は悪化しそうですが。

 工藤:結果論で言えば、標準車とクロスターで燃費の値は変わりませんでした。デザインの方に頑張っていただいて、同じ燃費が出せるようになったので。

──マイナーチェンジ前のモデルにラインアップされていた「モデューロX」から今回のマイナーチェンジにフィードバックしたところは何かありますか?

 工藤:基本的には「モデューロX」はホンダアクセスさんが中心に開発していますので、まったく別ですね。われわれがそこから何かをプラスしたということはありません。

──車種によっては、明らかにマイナーチェンジでモデューロXのノウハウを採り入れていると思えるものもありますが。

 工藤:一部参考にするような場合もあるかもしれませんね。どちらかというと性格の違うものを作っている感じですね。

 手嶋:目標値も全然違います。ファミリーカーのなかでもそれだけではない、というのがモデューロXだと思いますので。

──今回ハイブリッド車にインサイトの1.5リッターエンジン+i-MMDは投入しなかったのですね。

 工藤:マイナーチェンジですので工数に限りもありますし、パワートレインに対するお客さまの不満もありませんでしたので。

──今後のさらなる進化に期待しています。本当にありがとうございました。

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