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ニューモデル 2019.10.25

雨のフィオラーノで試す、フェラーリ F8 トリブート! スーパーカージャーナリスト 山崎元裕の印象とは?

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Ferrari F8 TRIBUTO

フェラーリ F8 トリブート

    雨のフィオラーノで試す、フェラーリ F8 トリブート! スーパーカージャーナリスト 山崎元裕の印象とは?

F8 トリブートの意味するところ

1989年に誕生した348以来、フェラーリは各ジェネレーションの途中でビッグマイナーチェンジを施すことで、より魅力的なモデルをリリースする戦略を8気筒ミッドシップで繰り返してきた。クーペに話を限るのならば、348GTBの後継車たるF355ベルリネッタ、360モデナに対してのF430、そして458イタリアのビッグマイナーチェンジ版となったのは488GTBだった。そしてこれらのマイナーチェンジやフルモデルチェンジの間には、これもまた魅力的なスペシャルモデルが登場するのも常だった。360モデナをベースとするチャレンジストラダーレ、F430ベースの430スクーデリア、458ベースの458スペチアーレ、488GTBがベースとなる488ピスタが発表されたのは2018年と、つい最近のことである。

この30年ほどの伝統的なフェラーリのニューモデル戦略から考えれば、次に華々しく誕生するのは完全なフルモデルチェンジによる8気筒ミッドシップだろうと予想するのは自然だったはずだ。だから最初に488GTBのシルエットをそのまま継承したニューモデルが「F8 トリブート」のネーミングとともに発表された瞬間の驚きは大きかった。それは488世代に施された2度目のビッグマイナーチェンジなのか? 「F8」という称号が意味するところであるフェラーリの8気筒エンジンにトリビュート(尊敬の念を込める)とはどういう意味なのか? それはもしや、フェラーリに新しい時代が訪れることを我々に伝えるべきモデルなのではないか? 日本からフェラーリの本社があるイタリアのマラネロへと向かう間にも、そのような疑問が何度も浮かんでは消えていった。

空力効果も進化させたアグレッシブなエクステリア

テストドライブのために用意されたF8 トリブートのエクステリアデザインは、先に登場した488 ピスタと同様にベースとなる488 GTBと比較すると、きわめてアグレッシブなディテールを持つものだった。先に登場した488 ピスタと比較すると、フロントバンパースポイラー内のエアインテークなど、そのディテールにはいくつかの相違点が見られるが、フェラーリによればF8 トリブートのCd値は488 GTB比でマイナス5%。ダウンフォースの最大値も10kgの増加を果たしているという。

それはもちろん、採用されたさまざまなエアロデバイスによる恩恵で、F1マシン由来となるフロントのSダクトや、リアのブロウンスポイラー、そしてアンダーボディなどとの相乗効果によって生み出されるものだ。これらの効果はフェラーリも強くアピールするところで、実際にダウンフォースの増加量は488GTB比で、Sダクトで15%、アンダーボディで25%、ブロウンスポイラーで25%と、確実な機能を発揮しているのが分かる。全体的なフォルムから受ける印象はきわめてアグレッシブで、それが458イタリアにまでさかのぼるのならば、10年以上も前に描かれたシルエットをベースとしていることなど、一瞬信じられないかのような美しさが醸し出されている。

720ps&770Nmを誇るV8ツインターボ

かのF40にインスピレーションを得たという、3段のルーバーが備わるレキサン製のエンジンカバーをオープンして、ミッドに搭載される3.9リッターV型8気筒ツインターボエンジンを見る。最高出力の720ps、最大トルクの770Nmは、488 ピスタのそれと変わらないが、488 GTBとの比較では、最高出力で50ps、トルクは10Nmのエクストラを得た計算になる。いわゆる488 GTBからのチューニングは多岐にわたり、ターボチャージャーはワンメークレース用車両の488チャレンジから受け継がれたもの。さらにインテークシステムではアクセルレスポンスを向上させるためにプレナム容量やランナー長を縮小し、一方エグゾーストマニフォールドはその長さを27%ほど延長、素材をインコネル製としたことで9.7kgの軽量化も同時に実現している。

フェラーリはこのツインターボエンジンを「ゼロ・ターボラグ」と呼ぶが、それはターボを始めとするムービングパーツの軽量化、コネクティングロッドで1.7kg、クランクシャフトで1.2kg、フライホイールで1.5kg等々を加えて、パワーユニットのみでトータル18kgの軽量化を果たし、同時に17%の回転慣性の減少を果たしたことが理由としてはまず大きい。そして、もうひとつターボそのものにレブセンサーが装備されたことで、設定されたリミットまでフルにターボの効果を引き出すことが可能になったことも忘れてはならないパワーユニットの特長といえる。

自然吸気エンジンにも近いフィーリング

F8トリブートのテストドライブ・プログラムは、本社近くにあるフィオラーノのテストトラックと、全ルートで500kmほどが設定されたオンロードで行われたが、まず驚かされたのは、このゼロ・ターボラグを主張するツインターボエンジンと、それに組み合わされる7速DCTの素晴らしさだった。

試乗当日、しかも最も楽しみにしていたフィオラーノでのドライブ時にはウエット・コンディションという状態だったため、最初はインストラクターの指示どおりにステアリングホイール上のマネッティーノで「ウエット」モードを選択。緩やかにアクセルペダルを踏み込んでいったが、確かにそのフィーリングは大排気量の自然吸気エンジンのそれと言われても、違和感を抱かないほどにトルクフルでスムーズだ。フェラーリが特に留意したというサウンドも、中速域から高速域になるにつれて、確かに官能的な響きを増してくる。できれば開発のベクトルがこのF8トリブートよりもサーキット方向に向いているという488 ピスタと比較してみたいところだが・・・。

サスペンション、そしてビークルダイナミクスに関してもフェラーリの拘りはF8 トリブートに余すところなく採り入れられている。サーキット走行のようなタフでスパルタンな走りと、ワインディングのようないわゆるファン・トゥ・ドライブの両方を快適に楽しめるようにセッティングされているのが、このF8 トリブートのシャシーとビークルダイナミクスと表現すれば、いかにその走りが魅力的であったのかはイメージしてもらえると思う。

参考までにビークルダイナミクスを構成するメカニズムの代表的なものは、SSC=サイド・スリップ・コントロール、E-Diff=電子制御デファレンシャル、F1-TRAC(トラクション・コントロール)、SCM(マグネティック・ライド・コントロール)、FDE(フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー)など。このうちSSCは488ピスタのバージョン6からF8トリブートではバージョン6.1に、またFDEは同様にFDEからFDE+へと進化を果たしている。制御の最も大きな特徴は、F8トリブートでは488ピスタの場合は制御がキャンセルされる、レースやCTオフモードのローグリップモード選択時にもFDEの機能が維持されること。ここにも488 ピスタとF8 トリブートのベクトルの違いが表れている。

乗り心地はフェラーリ史上、最上級!

ワインディングでのF8トリブートの走りは、やはりスムーズというほかはないだろう。まず印象的だったのはステアリングのナチュラルで正確な動きで、かつてフェラーリのエンジニアリンクチームが、クイックなステアリングと細いフロントタイヤ、そしてワイドなフロントトレッドの設定で、まずはステアリングのレスポンスを高めようと苦心していた時代を知る身には、まさに絶世の感がある。

狭いワインディングでもある程度のペースでコーナリングを続けていけるのも、このステアリングと前で触れた完璧なまでのビークルダイナミクスの恩恵だ。もちろん前後のサスペンションやE-Diffのセッティング、そしてミッドシップモデルならではの理想的な前後重量配分も、このようなドライビング・ファンを生み出してくれる大きな理由ではある。今回の試乗は、そのほとんどのルートをウエット、あるいはスポーツのいずれかのモードで走らなければならなかったが、ウエットはストリートやコンフォートとモードの名前を変えてもよいくらいの素晴らしいモードだった。とりわけその乗り心地はこれまでのフェラーリの中でも最上級と感じさせるもので、それはボディ剛性の高さのみならず、サスペンション剛性の高さをも感じさせる。

はたしてF8トリブートの先に、フェラーリはどのようなストーリーを用意しているのだろうか。最新のV8モデルの走りを楽しみながら、早くもそれが気になってきた。

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

https://www.youtube.com/watch?v=a6XpUGh-sKg

【SPECIFICATION】

フェラーリ F8 トリブート

ボディサイズ:全長4611 全幅1979 全高1206mm

ホイールベース:2650mm

トレッド:前1677 後1646mm

乾燥重量:1330kg

前後重量配分:前41.5 後58.5

エンジン:90度V型8気筒DOHCツインターボ

総排気量:3902cc

圧縮比:9.6

最高出力:530kW(720ps)/7000rpm

最大トルク:770Nm/3250rpm

トランスミッション:7速DCT

ブレーキ ローター径:前398×223×38 後360×233×32mm

タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR20(9.OJ) 後305/30ZR20(11J)

最高速度:340km/h

0→100km/h加速:2.9秒

0→200km/h加速:7.8秒

100→0km/h制動距離:29.5m

フィオラーノ・ラップタイム:1分22秒5

車両本体価格:3245万円

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(GENROQ Web 山崎元裕)

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