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ニューモデル 2019.10.22

シトロエン C3&C5 エアクロスSUV試乗! “魔法の絨毯”現代版への2つの回答を山田弘樹が探る

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CITROEN C3 AIRCROSS SUV

シトロエン C3 エアクロス SUV

    シトロエン C3&C5 エアクロスSUV試乗! “魔法の絨毯”現代版への2つの回答を山田弘樹が探る

「とびきり美味い食パンを頬張った気分だ」

朝一番だったせいもあるのだろう、C3エアクロスSUVに乗って私はまずそんなことを思い浮かべた。フランス車だからフランスパンか? いやもっと口当たりは柔らかい。柔らかいフランスパン? そんなことはどうでもいい。ともかくこのC3エアクロスSUVには、飾らずプレーンな魅力があると私は言いたいのである。

そのアーキテクチャーをひもとけば、中身はPSAグループであるプジョー2008とまるで同じクルマである。

足まわりのセッティングに個性を見た

エンジンは110ps/205Nmの出力を発揮する1.2リッター直列3気筒直噴ターボで、これに組み合わされるトランスミッションはアイシン・エイ・ダブリュー製「6EAT」。SUVの“なり”をして駆動方式がFWDのみという割り切りの良さはいかにもフランス車らしいが、試乗車である「SHINEパッケージ」には、代わりに4つのモードでトラクションを制御する(ノーマルは数えないとして)グリップコントロールと、ヒルディセントコントロールが備えられている。

ではこのC3エアクロスSUVはプジョー2008と何が違うのか? それは乗り味だ。同じEMP2プラットフォームを使いながらもポップな外観以上にまるで異なる個性が、足まわりの味付けによって実現されているのである。

ステアリングレスポンスやサスペンション剛性のわかりやすい高さを求めるなら、2008を選んだ方がいい。C3エアクロスSUV最大の特徴は、そのサスペンションストロークを目一杯に使い切った粘り腰である。

後述するC5エアクロスSUVがその足まわりに新機構を搭載するのに対して、C3エアクロスSUVには車格の関係から“フツー”のダンパーが装着されている。それでも見事な“シトロエンライド”を実現しているのは、まずこの17インチ仕様が冬場も見越したオールシーズンタイヤを標準装備していることが大きく関係している。

“柔らか足”が最高に楽しい

筆者もこのハンコック Kinergy 4Sというタイヤは初体験だったが、このタイヤとC3エアクロスSUVのサスペンション剛性がほどよくマッチングしており、乗り心地がしっとりと快適なのである。

ちなみにプジョー2008も同様に、グッドイヤーVECTOR 4Seasons Hybridというオールシーズンタイヤを標準装備しているが、プジョーの場合はダンパー特性がシトロエンと比べればより硬めに仕立てられていることから、タイヤ側の柔らかさが少し気になった。具体的に言うとトレッド中央に配置された雪上走行用のサイプがムービングを起こし、若干直進時に操舵が定まらない傾向がある。

しかしC3エアクロスの足まわりは、オールシーズンタイヤのムービング周波数とサスペンションの伸縮が同期しているように思う。もしかしたらハンコック製オールシーズンタイヤがやや高い剛性を持っているのかもしれないが、ともかく何も気にせず気持ち良く走ることができた。

そしてこの“柔らか足”を使って、元気に走らせるとC3エアクロスSUVは最高に楽しい。ステアリングの切り始めから穏やかにサスペンションが動き出し、本当に良く曲がってくれるのだ。ロールスピードが穏やかだから、ソフトなサスペンションでもロールが怖くないのもいい。むしろボディの動きがわかりやすく、これが傾くほどにタイヤのグリップが引き出される様子がわかって、運転が楽しくなるのである。

気分はプチWRC! スポーティさが際立つ

ここに花を添えるのがエンジンだ。1.2リッターしかない直噴ターボはしかし、低速域からブーストを効かせて快活に回っていく。そしてその排気音も、いまどき珍しくカラッと爽やかなサウンドを主張する。4年連続でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーのクラス最優秀賞を獲得し続けるこの3気筒ユニットは、まったりとした乗り味に芯を与える存在になっていると言えるだろう。

こうなるとステアリングにパドルがないのは非常に残念に思えたが、ATをマニュアルモードに入れるとその疑問も氷解した。着座位置に対して自然と左手を降ろしたところに位置するシフトノブは、まんまMT車のように扱うことができたからだ。そのシフトがシーケンシャル式となっているのも「シトロエンよ、判っているなぁ・・・」と思う。加速時には引いてシフトアップ、減速時には押してシフトダウンと、加減速Gに抗わず直感的な操作が可能となるからだ。

こうなると気分はプチWRCで、コンパクトSUVのノッポボディがうそのようにC3エアクロスSUVはワインディングを駆け抜けた。ソフトな足まわりでも優れた操舵応答性があれば、むしろスポーティさは際立つ。荒れた路面を上手にいなし、高いアベレージスピードを維持して走る。まさにこれがラリー仕込みの走りを市販車に投入した結果なのだと感服した次第だ。

ただそんなC3エアクロスにも弱点はある。それは渋滞時の変速だ。採用される6速EATはロックアップ機構が付くため、飛ばしても滑り感なく変速できるのは最大の美点。しかし極低速走行時にもこれを効かせてしまう傾向があり、アクセルの開閉によっては動きがギクシャクしてしまうのだ。

ピープルズカーの本質を体現したモデルだ

ここには小排気量ターボのエンジン特性も少し関係しているだろう。ゼロ発進などではどうしてもブーストを効かせる傾向が強くなり、それにATの制御が反応してしまうのではないかと思う。未だにMT車が市民権を得るヨーロッパだけに、現地ではこれがさほど大した問題にはならないのかもしれない。しかし日本ではこれが非常に扱い難い。せめて1~2速間は、通常のトルクコンバーターで走らせる制御にしたらどうだろうか。

また高速巡航になると、オールシーズンタイヤのトレッド剛性不足も見え隠れし始める。はっきりと荷重が掛かるワインディングに比べて、高速かつ旋回Gが低い高速道路のカーブなどでは、タイヤが落ちつき切る前の揺れ動く部分が多用されるからだ。またこうした特性だから、雨量が多くなるとやや接地感が損なわれる。

となると高速巡航を多用するドライバーにとっては夏タイヤの方がベターだろう。ちなみに16インチ仕様は夏タイヤが履かされていたが、ブリヂストンのTRANZA T001は剛性が高めのタイヤで、C3エアクロスが一気に普通のクルマになってしまっていた。このクルマが持つシトロエンらしさを消したくないなら、もう少ししなやか系の夏タイヤを選ぶと良いと思う。

とはいえ総じてこのC3エアクロスSUV、とっても楽しいクルマである。これだけ可愛らしいルックスと快適な乗り心地を持ちながら、運転に熱中できるクルマはなかなかない。 やはりフランスはピープルズカーの本質を知る国である。

CITROEN C5 AIRCROSS SUV

シトロエン C5 エアクロスSUV

一世を風靡した“魔法の絨毯”復活はあるか?

一方、C5エアクロスSUV最大のトピックは、かつて“魔法の絨毯”と呼ばれた「ハイドロニューマチック」の現代解釈だ。これを実現するためにシトロエンは「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション」(PHC)という機構を新たに提案した。

その機構をまず説明すると、PHCはダンパー内にもうひとつセカンダリーダンパーを仕込んでいることが大きな特徴である。通常ダンパーは底付きを防止するためにバンプラバーというゴムないしウレタンのストッパーを装着している。最近はバンプラバーをわざと使いながら車両姿勢を安定させる方法もポピュラーだが、そもそもバンプラバーは底付き防止用の緊急ストッパー。だからバンプタッチするところまでダンパーをストロークさせると、その入力が発散されてしまうのだ。つまり乗り心地はもちろん、走安性も悪化する。

そこでPHCはバンプラバーを最小化させ、代わりにセカンダリーダンパーが最も圧縮されたときの高い入力を減衰する仕組みを採った。こうした機構はルノー メガーヌRSの「ハイドロリック・コンプレッション・コントロールダンパー」(HCC)にも使われている。共にラリー育ちの技術であることが面白いが、ルノー・スポールの場合はこれをサーキットでの接地性確保に使っていて、シトロエンの場合は純粋に普段の乗り心地を良くするために応用しているのだという。

シトロエンライドを実現する、秀逸なPHC

PHCのセカンダリーダンパーは縮み方向と伸び方向別々にピストンとシリンダーが配置されており、普段は低い減衰力で走りながらも沈み込む(もしくは伸びきる)ほどに減衰力を高めていく。ちなみにリヤダンパーは縮み側のみピストン&シリンダーが装着されている。

これを搭載したC5エアクロスSUVは、通常領域における実にまったりとした乗り心地の良さが特徴的だった。同じEMP2プラットフォームを採用するSUV、プジョー3008もその乗り心地には定評があるけれど、これより遙かに初期伸縮がしなやかでロングストロークな印象である。またS字カーブのような場面でも、伸び側減衰力を引きずることなく自然に切り返せるのは見事。内蔵されるスプリングはピストン位置を戻すためだけのもので、減衰特性に影響するほどのバネレートを発揮していないという言葉はその通りだと感じた。

ただシトロエンライドを意識するあまりにか、根本的なスプリングレートが柔らか過ぎるのは少し戸惑いを覚えた。まず単純に操舵応答性が鈍くなるためコーナーでの切り増し感が強くなる。だからC3エアクロスSUVとは対称的に、自ずとその乗り方もビッグシトロエンらしいゆっくたりしたものとなる。さらに大きなハーシュネスに対しては、意外やダンパーが追従・減衰しきれない状況も見受けられた。感覚的にはもう少しオイル容量が欲しい感じだ。

ゆったりと静かな走りが真骨頂か

面白かったのは高速巡航時の減衰力変化だ。ダンパーへの入力が高まりピストンが押し込まれるようになると、シリンダー外壁のオリフィス(オイル通路)が小さくなり、減衰力が高まってシッカリ感が増してゆく。継ぎ目を越えるようなピストンスピードが早い場面でも、これをトトン! と見事に減衰してくれる。

こうした高速安定性に対してPSAグループ自慢の2.0リッター直噴ディーゼルユニットは実によくマッチする。ブースト自体はシトロエン用にもう少し角を丸めてもよいように思うが、177ps/400Nmの出力は特にトルクが余裕たっぷりである。

どこから踏んでもトルキーでキレ良く加速するエンジン特性に対して8速ATの恩恵はトップギヤ以外に感じにくいが、とにかくこのゆったりと静かな走りに身を委ねていると、せかせかと走ることがバカらしく思えてきてしまう。

ステアリング裏に備え付けられるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の操作には慣れが必要で決して直感的ではないが、これを組み合わせたまったりモードはシトロエンにしかない世界観。ドライビングに熱中するというよりは、家族と会話を楽しみながらリラックスしてロングドライブするのが最適であると感じた。

乗り心地への飽くなき追求は続いていく

果たしてPHCはハイドロニューマチックを超えたのか? それはある意味イエスであり、ノーだと思う。低負荷領域と高負荷領域の狭間では、やはりスプリングレートをオイルで圧縮可変できたハイドロニューマチックの方が一枚上手な印象がある。PHCは近しいけれど、その乗り味は全く同じではない。

しかし電子制御を使わないシンプルな構造でコストを抑え、なおかつ汎用性を持たせたことはいかにもフランスらしい経済的なソリューションだと思う。ハイドロニューマチック時代に苦しんだ耐久性もこれなら不安がないだろう。

そしてPHCはさらに洗練されていき、それこそ上級グレードでエアサスと組み合わされたりすれば、より現実的な価格帯で上位グレードのシトロエンが手に入るのではないかと期待したくなる。またこうした乗り心地の追求は、これからの電動化社会とも親和性が非常に高いと思う。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

シトロエン C3 エアクロスSUV SHINE

ボディサイズ:全長4160 全幅1765 全高1630mm

ホイールベース:2605mm

トレッド:前1505 後1485mm

車両重量:1290kg

エンジン:直列3気筒DOHCターボ

総排気量:1199cc

ボア×ストローク:75.0×90.5mm

最高出力:81kW(110ps)/5500rpm

最大トルク:205Nm/1750rpm

圧縮比:10.5

トランスミッション:6速AT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

タイヤサイズ:前後195/60R16

燃料消費率(WLTC):14.7km/L

車両価格(税込):279万1000円

シトロエン C5 エアクロスSUV SHINE

ボディサイズ:全長4500 全幅1850 全高1710mm

ホイールベース:2730mm

トレッド:前1580 後1610mm

車両重量:1640〈1670〉kg

エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量:1997cc

ボア×ストローク:85.0×88.0mm

最高出力:130kW(177ps)/3750rpm

最大トルク:400Nm/2000rpm

圧縮比:16.7

トランスミッション:8速AT

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後トーションビーム

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

タイヤサイズ:前後235/55R18

燃料消費率(WLTC):16.3km/L

車両価格(税込):431万9000円 ※〈〉内はナッパレザーパッケージ装着車

【問い合わせ】

シトロエン コール

TEL 0120-55-4106

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(GENROQ Web 山田弘樹)

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