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遂にマツダもEV発表へ マツダEVプロトタイプに試乗 バッテリーは35.5kWh

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遂にマツダもEV発表へ マツダEVプロトタイプに試乗 バッテリーは35.5kWh

あえて小さくしたバッテリーは35.5kWh

text:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)

【画像】EVプロトタイプとCX-30 全53枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


マツダは、従来の内燃機関の効率を高めるだけでなく、しっかり電動化技術の開発も進めていた。

近年のマツダの成果として印象的だったのは、スカイアクティブ-X。高圧縮比で薄い混合気に着火することで、「ガソリンエンジンのパフォーマンスと低排気ガスに、ディーゼルエンジン並の経済性とトルクを組み合わせる」 とうたわれている技術だ。

だが、2021年から欧州で施行される厳しい環境規制目標を考えると、自動車メーカーはEVモデルの導入を先送りすることができない。今回フランクフルトで、マツダ初のEVプロトタイプの試乗となったのも、自然な流れだといえる。

ベースはCX-30で、数日後に開幕となる東京モーターショーで正式にお披露目される予定。量産モデルも小型SUVになるとのことで、床下に搭載されるバッテリーは35.5kWh。航続距離は240km程度とされており、主に都市部での利用がメインとなるだろう。

比較的小さい35.5kWhというバッテリーの容量には理由がある。マツダによれば自動車のライフサイクル、生産から利用、廃棄やリサイクルまでの環境負荷を検証した結果、35.5kWhという大きさが環境に優しいことがわかったという。ガソリンエンジンのマツダ3や、95kWhという大容量バッテリーを搭載するより、環境負荷が小さいとのこと。

143psのモーター1基で240kmの航続距離

マツダ・ヨーロッパで研究開発部門を率いるクリスチャン・シュルツェは、「バッテリーが大きすぎても良くありません。ユーザーが本当に必要とする航続距離を理解しつつ、CO2を大幅に削減するためには、バッテリーの容量は小さくする必要があります」

「わたしたちは35.5kWhというサイズが、1度の充電で買い物をしたり学校への送迎をしたり、通勤で利用したりするのに丁度いいサイズだと考えています」 と話している。

すでにEVを運転したことがあるドライバーなら、エンジンモデルとは異なる特徴を理解していると思う。発進時の力強い瞬発力とほぼ無音の走り、ワンペダルでの運転。だが新しいマツダのEVは、これらが当てはまらない。マツダ独自の設定が与えられている。

アクセルペダルを踏むと他のEVとは異なり、徐々にトルクが立ち上がり、スピードが乗っていく感覚がある。意図的にこの設定にしたという。「ドライバーがクルマに対して理解している、ベーシックな技術に沿ったクルマを作りたかったのです。本物のマツダと呼ばれるクルマです」 とシュルツェは説明する。

マツダのEVプロトタイプには、143psの最高出力と26.9kg-m最大トルクを持つAC同期モーターを1基搭載する。性能として高いとはいえないが、ほぼすべての状況で不足は感じられなかった。アクセルペダルの操作に気を使ったのは、英国では速度制限を越えてしまう、アウトバーンでの走行時くらいだ。

従来らしいクルマのフィーリングを残す

アクセルペダルだけで加減速が行えるワンペダルによる運転も、従来的な自動車のフィーリングのために避けている。アクセルペダルから足を離すと、徐々に減速しエネルギーが回生されるが、基本的にはブレーキペダルを踏まない限り必要な減速は得られない。

「強い減速時には、ブレーキペダルを踏む動きと身体に掛かる慣性とが一致するので、より優れています。回生エネルーの効率は他のEVと同じですが、人間の動作としての利点があります」 とシュルツェ。

一方で欧州のパワートレインをまとめるハイコ・ストライツェルによれば、多角的に検討も続けているという。「減速レベルを変更できるオプションは、用意する必要があると思います。強い回生ブレーキを選べるようにする予定ですが、完全なワンペダルでの走行は考えていません」

もう1つのマツダの決定は、加速感を演出する人工的なサウンドを加えること。これもエンジンを搭載したクルマへ近い考え方だ。音質は調整中だが、従来のクルマとの違和感を埋めつつ、「どれだけのトルクを仕様しているのかをリアルにドライバーへ伝える音」 だとシュルツェは説明する。

内燃エンジンの音より穏やかだが、他のEV並みに静かでもない。既にEVに乗りなれている人は当惑するかもしれないが、EVに初めて乗る人には安心感につながるかもしれない。その人工音をオン・オフできるようにするかも、検討中だという。

マツダのEVで既に納得のいくレベルに達している部分が、操縦性。EVの土台はマツダ3やCX-30に採用されているアーキテクチャを派生させたもの。剛性を高め、機敏に反応するボディのために、バッテリー周辺やフロア部分にはリング状の補強構造を追加しているそうだ。

ロータリーエンジンの復活もありえる

クルマの挙動を向上させるG-ベクタリングコントロールは、EVの操縦性でも需要な役目を果たす。「電気モーターだからこその細かなトルク制御」が、コーナリング時だけでなく下り坂でも有効に機能するという。

今回のプロトタイプの試乗でも、低重心と相まったフロントタイヤのシッカリとした接地感が印象的だった。全体を振り返ると、マツダの取り組みは賞賛に値すると思う。既にプロトタイプのドライビングフィールは、EVとしての個性を備えつつ、慣れ親しんだ自動車のような印象も与えてくれる。

現状ではEVの発売時期を見定めているところのようだが、発電用エンジンのレンジエクステンダーを搭載したモデルの追加もあるとしている。注目なのが、ロータリーエンジンを採用するらしいこと。

マツダは2012年にRX-8の生産を終了して以来、ロータリーエンジンを搭載した量産モデルは作っていない。だが、ロータリーエンジンを量産モデルへと復活させる意思は、持ち続けてきた。2015年の東京モーターショーで登場した、ロータリーエンジンを搭載したRXビジョンをご存知の読者も多いだろう。

「ロータリーエンジンのレンジエクステンダーを採用すれば、走行中でも充電が可能です。航続距離も伸ばせます。燃料もガソリンだけでなくCNG(天然ガス)、LPG(液化石油ガス)だけでなく、水素にも対応できます。プラグイン・ハイブリッドや、シリーズ式ハイブリッドの可能性もあります」 とシュルツェは今後の展開を教えてくれた。

マツダの新しいEV版SUVは、2020年末までに路上を走り出す予定だ。

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