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マイナーチェンジ フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0に試乗

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マイナーチェンジ フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0に試乗

4年目を迎えた8代目VWパサート

text:Richard Bremner(リチャード・ブレンナー)

【画像】オールトラックとライバル2種 全115枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


2015年に発表された8代目となるフォルクスワーゲン・パサート。4年目を迎え、かなり控えめだが、アップデートを受けた。

車高が僅かに高められ、4輪駆動システムを備えるエステート、オールトラックがパサートに登場したのは先代が現役だった2010年。豊富な積載量に程々のオフロード性能を備え、ボルボではクロスカントリーが、アウディではオールロードクワトロが、それぞれ人気を得ているタイプのクルマだ。

2019年版では、排気ガスに含まれる微粒子を吸着するパティキュレート・フィルターが標準装備となり、ヘッドライトとテールライトがLEDとなった。最大209km/hまで部分的に自律運転をしてくれるトラベルアシストも標準で全モデルに採用されている。

アダプティブ・クルーズコントロールには、最高速度の道路標識を読み込んで動作する機能が追加。スイッチやアクセルペダルでスピードを乗せることも可能だが、次の標識が出てくると自動的にその速度に設定し直される。高速道路などでは実環境にそぐわないと感じる場面もありそうだ。

インテリアにはフディスカバー・インフォテインメント・システムを装備。モニターは8インチのタッチパネルとなっている。ケーブルなしでスマートフォンと連動でき、アップル・カープレイやアンドロイド・オートを利用できるようになった。新しいパサートを選ぶなら、スマートフォンも新しい機種を持っていた方が機能を享受できることになる。

パサートワゴンの中で一番のハンサム

2.0 TDIに搭載される2.0Lのディーゼルターボは、英国では唯一のエンジンの選択肢で189psを発生。トランスミッションは7速デュアルクラッチATだ。4輪駆動となる4モーションにはオフロード・モードが備わる。

パサート・ワゴンの中では、オールトラックが最も見た目で優れていると感じる。特にありがちなシルバーのボディではなく、専用カラーとなる鮮やかなグリーンが新鮮さを加えている。

エクステリアでは、黒い樹脂製のホイールアーチ・エクステンションやバンパーモールが付いてオフロード感を演出。試乗車は新しい18インチのアルミホイールを履き、オプションのビューコリック・ポトルグリーンと呼ばれる特別色が美しい。車内外で、ステンレスやアルミ、クロームメッキ仕上げのパーツが雰囲気をきりりと引き締めている。

ダッシュボードのデザインは発売から4年が経過した今でも古臭さは感じられない。内装はクロス張りが標準で、レザー・インテリアが1900ポンド(25万円)のオプションなことは、少々残念。

車内空間は広々としており、前後席ともにゆったり座れる。ラゲッジスペースもパサートらしく広い。ラゲッジスペースのフロア高が開口部と揃っており、重たい荷物の出し入れには便利そうだが、その分高さが削られていることにもなる。

エンジンや乗り心地の磨き込みにやや不満

2.0 TDIに搭載される2.0Lディーゼルターボのサウンドは、明確にディーゼルしている。1.6 TDIのユニットよりも絶え間なくカラカラと、特有の唸り声がなり続ける。

ロードノイズも小さくない。それほど荒れていない路面でも明確にゴロゴロと転がり音が車内に侵入してくる。内装の仕上がりやボディサイズから想像するほど、走行時の安らぎ感が得られない。今回のリフレッシュに合わせて対策を施すべきだったと思う。

走行時の洗練性も、さほど良くはない。小さな起伏が続くような路面では、一回り小さいTクロスより足さばきが上手ではない様子。1.0Lクラスのゴルフと比較しても落ち着きはない。クルマとしての静的質感は高いが、走りからは価格相応という印象は受けにくいといえる。

オールトラックには4輪駆動とわずかに高い車高にアンダーボディ・プロテクトが付いてくる。中身としても、オフロード・モードにヒルディセントコントロールが備わる。滑りやすい路面や軽いオフロード環境に対応する力は、通常のパサートよりも高い。

冷たい雨が降りやすい冬場の高速道路でも、安心感は高いはず。高速道路ではディーゼルらしく低回転域が有効だが、必要ならフルスロットルを与え、スポーツモードにするかパドルシフトでの操作でクルマは目覚める。大きなフォルクスワーゲンは、その気になれば活発に走行することも可能だ。

ライバルモデルの完成度は低くない

フォルクスワーゲン・オールトラックの価格はほぼ4万ポンド(532万円)。エクステリアは価格なりの磨き上げられ方といえるが、乗り心地の落ち着きや安楽さという点では、もう少し手間をかける余地が残っている。

ディーゼルエンジンは、目一杯回してもさほど見返りはないものの、オンロードでもオフロードでも、不満のない推進力は得ることができる。だが、エンジンもロードノイズもうるさいと感じられるし、価格から期待するほどのダイナミクス性能も備わっていない。

このクラスのクロスオーバー・ワゴンの選択肢は多くはない。もし興味があるのなら、ボルボV60クロスカントリーやアウディA4オールロードをしっかり比較した方が良いだろう。通常のパサート・ワゴンは広く価値を認められるモデルだが、オールトラックをその評価に加えることは難しいと感じた。

フォルクスワーゲン・パサート・オールトラック2.0 TDI 190 4モーションDSGのスペック

価格:3万9185ポンド(521万円)
全長:4777mm
全幅:1832mm
全高:1506mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:8.0秒
燃費:15.4km/L(WLTP)
CO2排出量:133g/km
乾燥重量:1725kg
パワートレイン:直列4気筒1969ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:189ps/4000rpm
最大トルク:40.7kg-m/1900-3300rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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