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ニューモデル 2019.10.17

アウディ Q8 初試乗。最先端“ラグジュアリーSUV”に乗った渡辺慎太郎が思う「ブームの行方」

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Audi Q8

アウディ Q8

    最新ジープのオフロード性能を、北米のテストコースで大谷達也が試す

生産品質は世界トップレベル

アウディQ8を初めて(日本国内で)見た人のほとんどが抱く第一印象は「デカっ」ではないだろうか。ちなみに自分は思わず声にまで出してしまった。全長5005mm、全幅1995mm、全高1690mmのボディディメンションは堂々たるものだけれど、プラットフォームを共有する(2995mmのホイールベースは同値)ベントレー・ベンテイガのほうがさらに長く背が高い(全長5150mm、全幅1995mm、全高1755mm)。それでもQ8のほうがなんとなく大きく感じてしまうのは、サッシュレスドアを採用し、Cピラーを寝かせて全長を抑えたクーペルックのスタイリングの影響もあると思う。キャビン部分が小さく見えるので、その分ウエストラインから下のボリューム感が際立って映るのだろう。

Q8のもっとも特徴的な部分はこのクーペルックのスタイリングにある。アウディとしては初めてのクーペ風SUVだし、これほどまでに大きなボディマスを有していながらも、3列ではなく2列シートの配置というのはなんとも贅沢だ。Q8よりも全長が長いQ7には3列目シートがあるというのも、2列シートに割り切った決断の後押しになっただろう。Q8とQ7もまた同じホイールベースなので、両車の全長の違いは主にリヤのオーバーハングにある。つまり、Q7の3列目シートは事実上このオーバーハングに載っかっていることになる。一方で、ルーフを低くして全幅をQ7よりも拡げたQ8のスタイリングのまとまりがいいのは、リヤのオーバーハングをバッサリと切り落とした効果もある。

試乗車は“アウディQ8 55 TFSI quattro debut package S line with comfort assistance package”と呼ばれるなんとも長い車名の仕様だった。112万円のS lineパッケージオプションが組み込まれたもので、専用エクステリア、22インチタイヤ&ホイール、エアサスペンション、スポーツシート、バング&オルフセン サウンドシステムなどがこれに含まれている。車両本体価格は1122万円。

ところが“アウディプレセンス”をはじめとする先進の安全装備のほとんどは、さらに73万円を支払ってコンフォートアシスタンスパッケージを注文しないとその恩恵にあずかれない。どんなに優れた安全装備でも、それを装着したクルマが1台でも多く路上にいないと交通事故ゼロなんていつまでたっても実現できない。アウディに限らず安全装備のオプション化は、言葉がちょっと悪いけれど、「万が一の時、お金持ちなら助かる確率が上がりますよ」と言われているようなもので、ましてや車両本体価格で1000万円以上もするモデルでもオプション扱いというのはちょっとどうなんだろうと自分なんかは思ってしまう。

エクステリアの生産技術は相変わらず高い。ドアやボンネットといった開口部にちりのズレや見当違いはまったくないし、隙間も開閉可能なギリギリのところまで攻めている。パーツ単位で生産技術が徹底的に管理されている証だろう。アウディの生産品質はレクサスに匹敵する世界トップレベルにある。精緻に組み立てられた商品には、そこはかとない折り目の正しさのようなものが漂う。それが高級感や清潔感といったイメージの付与に貢献しているのは間違いない。

物理的大きさより、感覚的な運転のしやすさ

インテリアも同様に、各種パネルやトリムやスイッチ類の取り付け精度や剛性が高く、きちんと作られた空間に身を置いているのはなんとも気分がいい。運転席から見渡した室内の風景は、A8やA6など最近のアウディのニューモデルに準ずる。センターコンソールにはふたつの大きなディスプレイが配されていて、いずれもタッチパネル式である。

タッチパネル式は、機械式スイッチの量を格段に減らしてセンターコンソール周りをすっきりさせるメリットがあるが、特に階層が深い機能では目視しながらでないと操作できない(機械式スイッチのようなブラインドタッチができない)。また、フラットな液晶画面に触れるため、ちゃんと反応したかどうかも目視する必要がある。アウディの最新のMMIはタッチレスポンス付きなので、音と振動によるフィードバックがあるから視線の動きがいくらか軽減されてありがたい。

運転席からの前方の視界はいいので、全幅が広くても運転自体は思ったほどしにくくはない。物理的にこの先に入っていくのは無理だとか、このまま進むと電柱や自転車などがバンパーやフェンダーに当たるなど、不測の事態が事前に確認できるからだ。それでもボディサイズは依然として大きいので、都内や住宅街での運転はいつも以上に慎重になる。

ペダルとステアリングの操作荷重は、例によってどちらかといえば軽い部類に入るので、特にペダルの微細なコントロールはちょっとやりにくい。底の厚い靴を履いていると、慣れるまで急発進や急制動をしてしまう。一般的に、ペダルの操作荷重が軽いとピッチング方向の質量(=前後方向の動き)を軽く感じるし、ステアリングが軽いとロール方向の質量(=左右方向の動き)を軽く感じる。そもそもこのQ8の車重は2200kgもあるので、軽快感を演出する目的でそうしているのならそれは達成できているだろう。しかし都内の渋滞などではスロットルとブレーキのペダルの細かい操作が必要となる。そういう場面では気を遣うことになる。

V8のように力強くスムーズなV6

3リッターV6ターボは340ps/500Nmの出力とトルクを発生するが、このパワートレインは48Vのリチウムイオンバッテリーとモーターを組み合わせたMHEV(マイルドハイブリッド)なので、状況によってはモーターがエンジンパワーをアシストする。V8のように力強くスムーズに感じるのはこのおかげだろう。2.2トンの車体を動かすには十分過ぎるほどのパワーがあるので、全速度域でストレスフリーのドライブが可能となる。実際、モーターでアシストされている感触はあまりないから、最初は本当に「あれ? これはV8だったっけ?」と思ってしまった。

潤沢なパワーはクワトロシステムを介して4輪へ伝えられる。通常の前後トルク配分は40:60だが、路面状況などに応じて70:30から15:85の間で随時可変する。このシステムは、トラクションの安定的な確保のみならず、サスペンションシステムとも協調してオーバーステア/アンダーステアの収束にもひと役買うという。さらに試乗車は“オールホイールステアリング”と呼ぶ後輪操舵システムも装備。電子制御式ダンパーと空気ばねとクワトロと後輪操舵で、この巨体を右へ左へと滑らかに動かそうとする。

SUVの「ニッチ化」

本来なら、「ボディサイズや重量を感じさせないくらいよく曲がり、旋回姿勢も安定し、コーナリングスピードも想像以上に速い」と書きたいところなのだけれど、実際には少し異なる動きを見せた。極端にいうと、曲がっているのに曲がらないように感じてしまう場面が何度かあった。

コーナーリングでは進入前にまず減速、すると荷重は後輪から前輪に寄ってばね上はピッチング方向の動きをする。ステアリングを回して前輪が向きを変えると転舵抵抗が働いてさらに減速しながら今度はばね上がロール方向に傾き、ヨー方向の動きが発生してクルマが向きを変え始める。ここまでの過渡領域で、ピッチングからロール/ヨーへのばね上の動きの移行がスムーズに行われず、ロール/ヨーが先行するような挙動が見られた。現実にはちゃんと向きが変わっているいるのだけれど、それがドライバーに伝わりにくくなっているこの事象は、個体差である可能性が高い。同じようなシステムを搭載するアウディのSUVでこれまで経験したことがないからだ。

タウンスピードでも高速巡航でも、静粛性や乗り心地といった快適性に関わる部分についてはまったく不満はない。まるで背の高いA8に乗っているかのごとき快適性をQ8も備えていた。クーペライクのスタイリングとはいえ、後席はレッグルームもヘッドクリアランスも十分に確保されているから、大人の長距離ドライブにも対応できるだろう。ハンドリングで気になった部分が個体差で、本来の姿ではないのだとすれば、Q8はラグジュアリーSUVとしての資質をほぼすべて備えている。

ただ、都内を中心に生活し、出先のパーキングスペースのサイズ制限を気にするのが億劫と感じ、そもそも自分のライフスタイルにSUVは必要ないと思っている上に想像力が足りない自分には、このサイズであえてクーペルックの1000万円以上もするSUVを選ぶオーナー像というものが、試乗を終えてなおどうしても計り知ることができなかった。

SUVのニッチ化には、まだこれ以外にも新しいカードはあるのだろうか。

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

【SPECIFICATIONS】

アウディ Q8 55 TFSI クワトロ デビューパッケージ Sライン

ボディサイズ:全長5005 全幅1995 全高1690mm

ホイールベース:2995mm

トレッド:前1680 後1690mm

車両重量:2200kg

エンジン:V型6気筒DOHC インタークーラー付ターボ

総排気量:2994cc

圧縮比:11.2

最高出力:250kW(340ps)/5200–6400rpm

最大トルク:500Nm/1370–4500rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:前後285/40R22

燃料消費率(JC08):10.3km/L

車両本体価格(税込):1122万円

【問い合わせ】

アウディ コミュニケーション センター

TEL 0120-598-106

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(GENROQ Web 渡辺慎太郎)

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