トヨタが、1999年にコンパクトカーの世界標準を作ろうと、総力を結集して開発した初代「ヴィッツ」。その登場から約20年が経った2019年10月16日に、すべてをブランニューした新世代コンパクトカーの新型車「ヤリス」が世界初公開された。
大型・中型・小型というヒエラルキーを壊したいという思いと、TNGAで一新されたこのクルマで、新しいスタートを切るという思いを込めて車名を「ヤリス」へと変更したとのことだ。
ヤリスは、国内発表が2019年12月中旬、発売開始は2020年2月中旬を予定。東京モータショーの期間中は、お台場のヴィーナスフォートに展示(10月23日~11月4日)するほか、10月末から12月にかけては、全国各地で展示される予定となっている。
文/ベストカーWeb編集部
写真/奥隅圭之、編集部
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■TNGAプラットフォーム採用で走りを一新
世界初公開された新型車「ヤリス」。車名だけでなく旧型であるヴィッツとは、デザインもプラットフォームもすべて変わっている。生産は、トヨタ自動車東日本の岩手工場が担当する
ヤリスは、コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用する初めてのクルマとなる。ほかのコンパクトカーが大型化するなか、小さいことにこだわった。そのうえで、コンパクトらしいきびきびとしたハンドリング、コンパクトを超える上質な乗り心地を目指している。
高い車体剛性を追求し、骨格結合構造の最適化、高張力鋼板の使用範囲を拡大、さらにはシャシー部品およびサスペンション取り付け部を高剛性化。これによりボディのねじり剛性を30%以上向上、ロール角を大幅に低減させている。
コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム「GA-B」。主要な骨格を連結させることで、クラストップレベルの剛性を実現
ボディサイズは全長3940×全幅1695×全高1500mm、ホイールベースは2550mm。車重はグレードによるが、ハイブリッドの量販モデルで1050kgとなっている。ハイブリッドの量販モデルでは従来比50kg、ガソリンモデルでは20~30kgの軽量化を実現した。
ヤリスとヴィッツのスペック比較
ライバルは、欧州ではポロやフィエスタ、国内ではフィットなどを意識。動かしたいように動くことを目指して開発したというシャシーには、開発陣のこだわりが多数採用されている。
また、コンパクトカーとしては初めてE-Four(電気式4WDシステム)が設定され、これで今まで取りこぼしていた雪国のユーザーもカバーすることになる。
コンパクトカーとしては初めて搭載されたE-Fourには、専用設計の2リンク・ダブルウィッシュボーンを採用している
■2Lの技術をベースに新開発したエンジンを採用
ヤリスのパワートレーンは、新開発の1.5L直3ダイナミックフォースエンジン(M15A)に、ダイレクトな加速を実現する新型CVTかiMT(6速MT)の組み合わせ。その1.5LエンジンにTHSIIを組み合わせて、力強くシームレスな走りを追求したハイブリッド。そして、改良を加えた1L直3エンジン(1KR)と、小型軽量化したCVTを組み合わせた3種類をラインナップしている。
グレード体系表。1.5Lガソリンエンジンには、iMT(6速MT)が設定される ※ガソリン車の4WDは2020年4月発売予定
1.5L直3ダイナミックフォースエンジンは、RAV4に搭載されている2L直4ダイナミックフォースエンジンをベースに3気筒化。
この1.5LエンジンにTHSIIを組み合わせた新世代ハイブリッドシステムは、システム出力・モーター出力の向上、リチウムイオンバッテリーの性能向上(出力50%、入力100%の向上)により、動力性能を15%以上向上させたうえ、リニアな加速性能を実現させている。
1.5L直3ダイナミックフォースエンジン+THSII。従来のハイブリッドエンジンに比べ、大幅に性能向上を果たした
日常使いが多いコンパクトカーだからこそ、低燃費にこだわり、新世代ハイブリッドシステムの採用と、量販グレードでの50kgの軽量化によって、トヨタのハイブリッド車だけでなく、世界のハイブリッド車のなかで、最高レベルとなるWLTCモード燃費20%の向上を目標に開発を進めている。
この新ハイブリッドシステムでは、ギアを改良し、旧型ではできなかった130km/hという高速域でもエンジンをストップさせられるようになったことが特筆すべき改良点となっている。
従来はアクセルをオフしても、エンジンを止めることができず、ロスが大きかった。それがエンジンをストップすることができるようになったことで、コースティング時のロスを最小限に抑えることができるようになったのだ。高速巡行を苦手とするハイブリッドだったが、ヤリスはそれを克服しそうだ。
また1.5Lと1Lガソリンエンジンも、アイドリングストップ機能を採用していないにも関わらず、技術的な積み上げをすることで、従来よりも優れた燃費性能を実現するなど、パワートレーンの進化具合には驚かされる。
■アルファードクラス同等の先進安全装備を採用
ヤリスには、最新の「Toyota Safety Sense」が標準装備されている。多くの人が乗るコンパクトカーだからこそ、トヨタ初の高度な安全技術を積極的に採用したとのことだ。
その内容を見てみると、夜間歩行者検知する「プリクラッシュセーフティ」、同一車線内の中央を走行できるようにする「レーントレーシングアシスト」、駐車場で左右から進行してくるクルマを探知する「リアクロストラフィックオートブレーキ」などが主な機能として付けられている。
さらにはソフトウェアの改良によって、プリクラッシュセーフティで、トヨタ初搭載となる右折時の対向直進車や、右左折時の横断歩行者も検知する機能を、ヤリスから初めて採用した。
プリクラッシュセーフティ(交差点シーン対応)。交差点右折時に前方からくる対向直進車や、交差点右左折後の横断歩行者も検知可能。ハードウェアの変更や、画角の変更は行わず、ソフトウェアの進化で実現した
加えて、高度駐車支援システム「Advanced Park」もトヨタ車として初めて採用。ステアリングだけでなく、アクセルとブレーキも制御することで、駐車に必要な操作を支援する。さらに、事前に駐車位置を設定しておくことで、自宅などの白線のない駐車場でも使用することができるようになった。
トヨタ初の高度駐車支援システム「Advanced Park」。駐車枠の横に停めてスイッチを押すだけで、カメラが駐車スペースを認識、ハンドル・アクセル・ブレーキを制御(シフト操作は手動)し、自動で駐車する
■デザインコンセプトは、5つの「B」を取り入れた「B-Dash(Bダッシュ)!」
ヤリスの外観デザインは、大胆(BOLD)、活発(BRISK)、加速(BOOST)、美(BEAUTY)、弾丸(BULLET)の5つの「B」から、力強く鋭く加速することをコンセプトとしてデザインされている。
前傾したキャビンと、前方にせり上がるようなアンダーボディにより「躍動感」を表現。リアフレアで「軽快さ」と、アクティブな踏ん張りを表現
車両デザインのイメージは、小さい、つややか、美味しいと3拍子揃った「KUROMAME(黒豆)」だったそうだ
外板色には、新規開発色の「コーラルクリスタルシャイン」「アイスピンクメタリック」を含む全12色を設定。ブラックまたはホワイトのルーフ色と組み合わせたツートーンカラーを、全6色選択可能。
内装デザインは、インストルメントパネルを中心に、無駄のない快適さと、集中できる空間を実現。インパネ断面を薄くすることでワイドな印象としているほか、トヨタ初のフードレス双眼デジタルTFTメーターを採用とステアリングの小径化で、室内を広くスポーティに感じることができる。
また、ヘッドアップディスプレイを採用することで、目線移動を少なく、ドライバーの運転疲労低減を図っている。
センターコンソール幅は、従来比で20mm広げ、さらに上級グレードへのソフトインパネの採用と併せ、ワンクラス上の質感を表現。使いやすい位置に収納スペースを追加し、利便性も向上させている。
質感向上のため、ソフトインパネを採用や、ドアトリムのファブリック面積を拡大。インパネは各部のボリュームの調整を行い、上級クラスの比率に見せている
■ハイブリッドモデルには非常時給電システムを設定
アウトドアレジャーだけでなく災害時や緊急時に、アクセサリーコンセントから1500Wの電力を供給することが可能な外部給電機能をオプション設定。停電時でも最長4日間程度(ガソリン満タン時)、非常用の発電機として使用することができる。
トヨタがライバルを圧倒するべく、これでもかと新技術が投入された新型車「ヤリス」。トヨタの本気度が伺える。
現在はまだ価格や、詳細なエンジン出力やWLTCモード燃費は判明していないが、詳細が分かり次第お伝えしたい。
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