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個性的な都会派コンパクトSUV 長期テスト スズキ・イグニス(最終回)

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個性的な都会派コンパクトSUV 長期テスト スズキ・イグニス(最終回)

積算1万1373km 久しぶりに思わぬトラブル

text:Kris Culmer(クリス・カルマー)translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)久しぶりにスズキ・イグニスのハンドルを握ることにしたある日のこと。エンジンをスタートするやいなや、インストゥルメント・パネルにタイヤの空気圧低下の警告灯が点灯した。実際にタイヤを確認すると確実に空気は入っており、イグニスも数100m走ったあたりで、空気が足りていることを認識したようだ。このような誤検知も、今後気をつけなければらなそうだ。

【画像】スズキ・イグニス 全23枚

積算2万3073km 初の整備の対応「可」、値段「やや難」

スズキ・イグニスを初めての整備に出した。AUTOCARの姉妹紙による整備の満足度調査では34位中14位と振るわなかったスズキだが、今回の整備での印象は至って普通。92%の回答者が良いと答えたスタッフの接客態度もその通りで、72%が答えた値段設定の妥当性も同じようなもの。

しかし、この小さいハッチバックの点検に210ポンド(3万円)払うのは少々高いようにも思える。この印象が影響しているのかもしれない。

積算2万5657km コンパクトなSUVは燃費も良好

スズキはイグニスのことを、「4X4の精神と技術を小さなボディに詰め込んだ」と表現しているが、われわれは「スーパミニ(A・Bセグメント)のSUV」と呼んでいる。わたしの家族は「レゴのクルマ」と呼ぶし、友人はだいぶ汚い表現で呼ぶこともある。

イグニスのカテゴリーはとても中間的なものなことは確かだが、長期テストで乗った期間、楽しむことはできた。100%信頼でき、質素で高速道路を数100km走っても燃費は想像の半分程度だった。

後部座席の乗り心地は厳しい

初めて運転したとき、ボディサイズに驚かされた。気を使うことなく立体駐車場を素早く走り、街に出る前に、シティカーの使いやすさを実感した。フォルクスワーゲンUp!のようにステアリングフィールは一貫性のある重み付けを得ているわけではないし、高速コーナリング時のボディロールは大きめ。短いホイールベースと軽量なボディ、良好なグリップ力で、機敏に走る。

正直、友人を乗せて走るのに適したクルマではない。イグニスのリアサスペンションはリジッドアスクルで、前席は長い周期の揺れの中で比較的快適ながら、リアシートの友人は短い周期の鋭い突き上げから逃げられない。

かなりの揺れで、180cmを超える友人はスピードバンプを超えた際に、イグニスの天上へ頭をぶつけてしまった。しっかり減速したのだけれど。乗り心地は良いとはいえないわけだが、布張りの4名分のシートのできは良い。

運転席は前後上下に位置の調整ができ、背もたれの角度はホイール式で細かく調整が効く。背もたれを起こして、SUVのようなドライビングポジションで楽しく運転することもできる。当初不満に感じたものの、シートの調整幅は充分に大きく取られていることもわかった。より高価な電動シートでも、イグニスよりも座り心地が良くなく感じることが時々あるのだ。

マイルド・ハイブリッドの燃費に関心

イグニスで気に入っている点のひとつは、優れたSHVSと呼ばれる電圧48Vによるマイルド・ハイブリッド。アクセルを踏み込むと、リチウムイオン・バッテリーから電気が供給され、ベルトでエンジンとつながったスターター・ジェネレーターが1.2Lエンジンに1.7psと4.9kg-mを加算してくれる。

スタート・ストップの多い都市部だけでなく、高速道路でも効果的なことがわかった。イグニスの平均燃費は、毎日の往復225km/hにも達する通勤を含めて、18.0km/Lを超えており、驚かされた。前輪駆動のイグニスが、AUTOCARの姉妹誌での実燃費競争で、最も良好なクルマとして選ばれたこともうなずける。

実際、以前乗っていたフォード・クーガ2.0 TDCi 150と比較しても、通勤にかかるコストは悪くなかった。スズキ・イグニスを選ぶなら、マイルド・ハイブリッドはお勧めできるチョイスだ。低グレードでは選べないので、ご注意を。

パワーが細く空力性能的に良くないボディ形状だから、高速道路での走行は避けたいというわけでもない。セアト・イビザほど優れた走りはしないものの、高速道路の制限速度に到達すれば、3500rpm前後の回転数を保って巡航走行も問題ない。

追い越しも5速マニュアルを駆使すれば不可能ではない。その前に右側の追い越し車線に流れの速いクルマがいないか、充分な確認は不可欠。中学校の体育の試験のような、少し緊張した気分が味わえる。

英国編集部での評価は高い

高速走行時は風切り音もうるさいが、インフォテイメント・システムを楽しめば良い。英国の場合、すべてのグレードで7.0インチのインフォテイメント・タッチモニターが付き、ナビやデジタルラジオ、アップル・カープレイとアンドロイド・オートが利用可能。パイオニア製のユニットは、4本のスピーカーを元気に鳴らしてくれる。同価格帯のクルマで比較しても、音質面では優れているようだ。

試乗車は4輪駆動車で、パーマネントタイプでも、センターデフロックも付いていないが、泥だらけの庭や湿った草地でも充分なトラクションが得られる。フロントタイヤのスリップを検知しリアタイヤへトルクを分配する、ビスカス・カップリングを装備する。

さらにヒルホールド・コントロールと、ヒルディセント・コントロールで、オフロードでも自身を持って走らせられる。タフな走破性を持つスズキ・ジムニーとは程遠いとは思うが、同僚は楽しくオフロードを走ってくれていた。

イグニスの場合、ショールームで選べるオプションを付けたとしても、わたしの好みでは小さなSUVの方が魅力的に思えてしまうことも確か。ビターラ(エスクード)やジムニーなどが存在するのだ。そのかわり個性的なアピアランスを持っているのがイグニス。知人の多くが運転してみたいと思っていたようだ。

面白いことに、英国編集部のマット・プライヤーは、昨年のお気に入りのクルマとして、ランボルギーニ・ウラカンよりもスズキ・イグニスを上位に選んでいる。個人的に1万4000ポンド(182万円)を払うことはないが、特別なクルマだとは思う。何よりも個性的で、街にあふれるその他のコンパクトカーにはない魅力を持っている。

セカンド・オピニオン

わたしの意見では、多くのひとに一度スズキ・イグニスに試乗してもらいたいと思っている。コンパクトなスズキに初めから興味を持たない読者も多いだろう。アプライトな着座姿勢、ややレトロ感のあるデザイン、マイルド・ハイブリッドシステムもやや中途半端。だが一度乗れば、その誠実な作りと楽しさに、きっと惹き込まれると思う。(マット・プライヤー)

気に入っているトコロ

燃費:姉妹誌の実燃費競争で最も優れた結果を残しても当然
標準装備:この価格帯でインフォテイメント・システムが付く。しかも衝突軽減ブレーキなど安全支援システムも充実。
エアコン:触りやすい位置にシンプルなボタンが付いていて操作が楽。モニターに内蔵されていないところが良い。

気に入らないトコロ

リジッドアスクル:旧式のサスペンションは、ドライバーは楽しくても後部座席は辛い。
タイヤのジャダー:駐車場で思いっきりハンドルを切った時に判明。フロント旅がスリップしたように感じたが、実際は違っていた。

テストデータ

走行距離テスト開始時積算距離:7153km
テスト終了時積算距離:2万5657km

価格新車価格:1万4249ポンド(185万円)
現行価格:1万4499ポンド(188万円)
テスト車両価格:1万4899ポンド(193万円)
ディーラー評価額:1万809ポンド(140万円)
個人評価額:9608ポンド(124万円)
市場流通価格:9144ポンド(118万円)

オプション装備レッド・ペイント/ブラック・ルーフ:650ポンド(8万円)

燃費&航続距離カタログ燃費:21.2km/L
タンク容量:30L
平均燃費:18.0km/L
最高燃費:20.5km/L
最低燃費:11.5km/L
航続可能距離:542km

主要諸元0-100km/h加速:11.2秒
最高速度:170km/h
エンジン:直列4気筒1242cc自然吸気+電気モーター
パワー:90ps/6000rpm
トルク:12.1kg-m/4400rpm
トランスミッション:5速マニュアル
トランク容量:204L
ホイールサイズ:16inch 5J(フロント)/16inch 5J(リア)
タイヤ:175/60 R16(フロント)/175/60 R16(リア)
乾燥重量:920kg

メンテナンス&ランニングコストリース価格:146ポンド(2万円)
CO2 排出量:106g/km
メンテナンスコスト:210ポンド(3万円)
その他コスト:なし
燃料コスト:1138ポンド(15万円)
燃料含めたランニングコスト:1138ポンド(15万円)
1マイル当りコスト:9ペンス(11.7円)
減価償却費:5058ポンド(65万円)
減価償却含めた1マイル当りコスト:53ペンス(69円)
不具合:なし

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