ロータリーが世界をもっと美しく
マツダがついに次世代のロータリー・エンジンを公開することを認めた。長安マツダが中国のSNS「ウェイボー」に、それを予告する画像を投稿したのだ。
この画像には、マツダ初のロータリー・エンジン搭載車であるコスモスポーツが描かれており、そこに「ロータリー・エンジンが世界をもっと美しくする」という言葉が添えられている。
2017年の東京モーターショーで、マツダの常務執行役員・シニア技術開発フェローである人見光夫は、同社の名高いロータリー・エンジンを電気自動車のレンジエクステンダーとして復活させる計画について語った。その理由は、レシプロ・エンジンに比べ「はるかに静粛性に優れる」からだという。
マツダは2012年に生産終了したRX-8以来、ラインナップにロータリー・エンジン搭載車を設定していない。しかし、2013年にはこの技術をレンジエクステンダーとして活用したマツダ2(デミオ)ベースのプロトタイプを製作し、AUTOCARもこれに試乗している。その後もロータリー・エンジン復活は常に待ち望まれてきた。2015年の東京モーターショーでは、このパワートレインを搭載したRXビジョンと呼ばれるコンセプトカーが発表されている。
レンジエクステンダーとして最適
人見はその後、ロータリー・エンジンは純粋にそれをパワートレインとするクルマではなく、2019年に発表が予定されている同社初の電気自動車にレンジエクステンダーとして復活することを認めた。
マツダはロータリー・エンジンのみをパワーユニットとするクルマの開発も行っているのかと質問すると、人見は「実際に製品化する計画があるわけではなくても、もちろんわたしたちはロータリー・エンジン単体をパワーユニットとする開発も続けています」と答え、将来的にはレンジエクステンダーと並んで、ロータリー・エンジン自体で走るクルマが登場する可能性もあることを示唆した。
マツダがロータリー・エンジンをレンジエクステンダーとして使おうとする理由について尋ねると、人見は次のように答えた。「ロータリー・エンジンが特にレンジエクステンダーとして効率的というわけではありません。しかし、他社のレンジエクステンダー用エンジンと比べると、はるかに静粛性が高いという利点がロータリーにはあります」。それが騒音をほとんど発生しない電気自動車には最適というわけだ。
スポーツカー用シャシーのパテントも
最近のマツダのエンジン開発は、市販車として世界初となるガソリンで圧縮着火を実現したスカイアクティブXエンジンに注力し、新型マツダ3とCX-30に搭載して発売した。
1967年に発表されたコスモスポーツは、ドイツのNSUから協力を得てマツダが開発したヴァンケル型ロータリー・エンジンを搭載していた。ピストンの代わりにローターを使うこのエンジンは、伝統的なガソリン・エンジンと比べると、出力を落とさず小型・軽量に作ることができる。
RX-8の生産終了後も、マツダ独自の技術であるロータリー・エンジンは、米国のプロ・マツダ・チャンピオンシップ(現在のインディ・プロ2000チャンピオンシップ)で使われるシングルシーターのマシンに搭載されてきた。
なお、マツダは先日、フロント・ミドシップのスポーツカー用と思われる軽量シャシー構造に関するパテントを取得した。その比較的小さなエンジンベイには、コンパクトなロータリー・エンジンが収まるのではないかと見られている。
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