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最新ジープのオフロード性能を、北米のテストコースで大谷達也が試す

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最新ジープのオフロード性能を、北米のテストコースで大谷達也が試す

Jeep Trail Rated Workshop

ジープ トレイルレート ワークショップ

最新ジープのオフロード性能を、北米のテストコースで大谷達也が試す

北米デトロイト郊外でジープのオフ性能を試す

アメリカ・デトロイト郊外のFCAチェルシー・プルービング・グラウンドでジープのオフロード性能を試してきた。

ここは、ジープを含むFCA各モデルのアメリカにおける生まれ故郷といっていい場所。高速走行テストなどに使われるオーバルコースやハンドリングコースが用意されているのはもちろんのこと、ジープのオフロード性能を磨き上げるためのオフロードコースも複数用意されている。今回はそのうちのひとつである全長2kmほどのライマン・トライアルでジープの最新モデルを走らせ、その走破性を確認しようという趣向である。

過酷なテストコース“ライマン・トライアル”を走る

現在、日本国内で販売されているジープは、オフロードの王者であるラングラーを筆頭に、グランドチェロキー、チェロキー、コンパス、レネゲードの計5モデル。このうち、本格SUVの“グラチェロ”やチェロキーならいざしらず、オンロードモデルと共通のプラットフォームをベースに作り上げたコンパスやレネゲードで過酷なオフロードコースを走るのは難しいと誰もが思うはず。

ところが、ラインナップ中いちばん小さなレネゲードでさえライマン・トライアルに設けられた深い池を走り抜け、いかにも滑りそうな湿った丸太で組まれた急坂を上りきり、オトナの膝まで埋まってしまいそうな深い泥道や一輪が高々と浮き上がるモーグルコースも難なく走破したことは驚き以外のなにものでもない。さすがジープと、これにはお世辞抜きで感嘆せざるをえなかった。

ジープの優れた悪路走破性能には明確な理由がある

なぜ、こんなことができるのか?

ジープには、優れたオフロード車を作るための明確な“レシピ”が存在する。そこには“トラクション”“最低地上高”“接地性”“取り回しやすさ”“渡河性能”の5つが重要だと記されているだけでなく、「優れたトラクションを得るにはどうすればいいか?」ということまで事細かに定義されている。

たとえば、トラクション性能を決定づける要素としてはタイヤのグリップ力、クロウル・レシオといって駆動系の最大減速比、そして駆動系の差動制限(いわゆるデフロック効果)を意味するトラクティブ・エフォートの3つが重要とされている。

このうちクロウル・レシオに効くのが副変速機だ。通常、ハイとローの2段階に切り替えられるが、そのローを選べば、たとえエンジンがアイドリング状態でも強大な駆動力を生み出し、滑りやすい道をゆっくりと確実に進むことができる。

ところで、ジープでいえばラングラーのような本格的クロカン4WDに副変速機が搭載されているのは当然ながら、グラチェロやチェロキーはもちろんのこと、グレードによってはコンパスやレネゲードにさえ副変速機つきモデルがあるのをご存知だろうか? これが、這うようなスピードでも泥道や急坂をものともせずに進む原動力となることをライマン・トライアルでは何度も思い知らされた。

熟成の機械式デフロックと進化した電子式デフロック

一方、左右輪で滑り具合の異なるオフロードを走る際に必要となるのが差動制限装置である。これには機械式デフロックと片輪だけに軽くブレーキを軽く効かせて反対側の車輪に駆動力を伝えるエレクトリック・デフロックの2種類があるが、古くからのファンが差動制限と聞いて即座に思い浮かべるのは機械式デフロックのほうだろう。

ところが、近年はエレクトリック・デフロックの性能が急上昇しているらしい。これについて、オフロード開発の責任者を務めるバーニー・トラウトマンは「最近は電子制御技術が進化して反応速度が速まったため、エレクトリック・デフロックでもメカニカルなデフロックに遜色のない性能を実現できるようになりました」と教えてくれた。

事実、レネゲードで一輪が浮き上がるようなモーグルコースを走っても、エレクトリック・デフロックの「クックックック・・・」という作動音が聞こえる時間はごくわずかで、その後は何ごともなかったかのように前進してみせる。エレクトリック・デフロックが効き始めるまでに秒単位の時間を要したかつての4WDモデルとは大違いだ。

さらには、コンパクトなレネゲードでさえ水深50cm近い渡河性能(ラングラーは76.2cm!)が与えられていたり、一般的なSUVでは16~17cmとされている最低地上高がレネゲードの場合は22.1cmもあったりと、優れたオフロード性能を生み出すにはそれ相応のスペックが必要であることをジープの“レシピ”は教えてくれたのである。

大幅に向上したラングラーの乗り心地

このようにライマン・トライアルではジープに共通の圧倒的な走破性を見せつけられたわけだが、ここでもうひとつ力説しておきたいのが、昨年フルモデルチェンジを受けたラングラーのオンロード快適性とハンドリングのバランスである。

ラングラーのオフロード性能に疑問を差し挟む余地はなかろう。しかし、優れたオフロード性能と堅牢性を生み出す源泉というべきリジッドアクスル(固定車軸)を前後に備えていることもあり、かつてのラングラーはオンロードにおける乗り心地がゴツゴツとして快適とはいえなかった。

そこで一時は大容量のラバーブッシュを採用してこれを軽減しようとしたこともあったが、この影響でステアリングレスポンスが極端に悪くなったり、ステアリングをしっかり保持していてもなんとなく進路がフラフラとして定まらないとうことがまま起きた。

ところが、最新のラングラーではこうした悪癖がすっかりと解消されていたのである。 この、リジッドアクスルの限界を乗り越えてしまったかのような新型ラングラーの進化に驚いた私は、操安系を担当するジープのエンジニアにこの疑問をぶつけたことがある。

すると彼は、最新ラングラーでは5リンク・サスペンションのアームレイアウトを詳細に検討することで、乗り心地とハンドリングの両立を図ったと教えてくれた。おそらく、1輪あたり2本が対となるトレーリングアームないしリーディングアームの取り付け角を工夫することで、振動を吸収する方向にはゴムブッシュを効果的に効かせる一方、ハンドリングに効く方向にはサスペンションアームで抑え込むようなレイアウトにされたのだろう。

さらにワイルドな“グラディエーター”日本導入の可能性も?

そんなラングラーの兄弟モデルともいえるのがピックアップトラックのグラディエーターである。グラディエーターはラングラーと同等のオフロード性能を持ちながら、キャビン後方に大きな荷台を備え、いかにもアメリカ車らしい雰囲気を漂わせるクロスカントリー4WD。私はこのグラディエーターをライマン・トライアルで試してみたが、余裕ある悪路走破性はラングラーとまったく同等。

しかも、全長はラングラーよりも70cmほど長いのに、タイトなオフロードコースをこともなげに走り抜けた取り回し性の良さには感銘を受けた。現時点でグラディエーターの日本導入は未定とのことだが、反響次第では国内発売に踏み切る可能性もあるという。関心のある向きは、FCAジャパンもしくは最寄りのジープ正規ディーラーに「グラディエーターが欲しいのだけれど・・・」と問い合わせてみてはいかがだろうか?

REPORT/大谷達也(Tatsuya OTANI)

https://www.youtube.com/watch?v=QfSZROJXRWU

【問い合わせ】

ジープ・フリーコール

TEL 0120-712-812

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