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試乗 シトロエンC3エアクロス 新小型SUVの走り/内装/サイズを評価

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試乗 シトロエンC3エアクロス 新小型SUVの走り/内装/サイズを評価

どんなクルマ?

駆動方式は2WD(FF)、最低地上高は160mm。オンロードスペシャリティ志向ともラフ&オフロード志向とも言えず、シトロエンC3エアクロスはSUVとしてはけっこう解説し難いタイプである。

【画像】C3エアクロスSUV 全40枚

ならば中途半端で存在意義を疑われるかといえば、そうではない。見ても乗っても狙い所は容易に理解できる。

C3エアクロスはC3をベースに開発されたクロスオーバーSUVであり、親しみやすいコンパクトサイズと輸入SUVでは手頃な価格が見所。

全幅はちょっと広めの1765mmだが、全長は4160mmであり、SUVとしては見下ろし死角が少ないウインドウグラフィックや側方張り出し感の少ないパッケージングもあって、狭い場所での取り回しも良好。SUV初心者でも戸惑うこともない。

内装/シート

座面地上高もSUVでは低め。サイドシル全覆式のドアではないが、足着き性がいいので乗降性も悪くない。タウンユースにも気軽に使えるタイプである。

キャビンスペースは男性の4名乗車のジャストサイズ。

余裕があるとも言えないが、後席の座面高を高くしたシート設定やアップライトな着座姿勢が取りやすいシート形状もあり、寸法的な余裕よりも収まりがいい。

後席 150mmスライド

後席スライド機構も備えるので使用状況に応じた客室/荷室のアレンジも融通を付けやすい。

実用的な2BOX車の使い勝手をベースに、悪路踏破性や高い視点の開放感や見晴らしを上乗せ。適応用途が大幅に拡大するわけではないが、一般的乗用車と違った楽しみや使い方のプラスαがC3エアクロスの個性でもあり魅力となっている。

どんな感じ?

性能と言うにはあまりに些末(さまつ)だが、例えば操舵感覚が自然で馴染みやすい。操舵力は総じて軽めだが、舵角とSAT(ステアリング復元力)の関係がいい。

中立付近はそれほど締まった感じがないのだが、舵角増に対してリニアかつ穏やかにSATが高まる。掌に収まるような手応えで、神経質にならずに適切な舵角に収まる感じ。

スポーツモデルのがっしりとしたステアフィールを望むドライバーには頼りなく感じられるかもしれないが、高速も山岳路も肩の力が抜けた操舵感覚が心地よい。何よりもC3エアクロスのイメージに似合いだ。

装着タイヤ仕様により多少印象が異なるのだが、素直さが操縦性の特徴。過敏な反応を抑えながらも応答遅れが少なく、見えるコーナーのRに合わせて舵を送っていけば自然にラインに載っていく。

ロールの揺れ返し等々の不要な挙動も少なく、乗りこなすための云々などと考える必要もない。いい感じに「ふつう」なのだ。

16インチと17インチ

装着タイヤによる印象の違いは興味深い点。標準は16インチ、シャインのパッケージOPのみ17インチ仕様になる。

一般的にロープロタイヤ/大径ホイール車のほうが切れ味鋭く、細かな振動が目立つが、C3エアクロスは17インチ車のほうが穏やかである。

理由は簡単である。16インチ車にはオンロードタイヤ(BSトランザ)、17インチ車にはM+Sタイヤ(HKキナジー)を履くため。

パッチ路では16インチ車のほうが細かな突き上げが目立ち、ハンドリングでは初期応答が鋭く、うねり路面での収束感や安定感に勝る。

一方、17インチ車は路面当たりが穏やかで操縦感覚もマイルド。パターンやトレッドコンパウンドによる踏面剛性の違いが影響していると思われる。

ただ、操縦性と乗り心地全般では優劣というより、最後の一味をどう捉えるかの好みの差とも言える。このタイヤ設定は雪路/ダート路対応を加えても基本的なシャシー性能や乗り味に大きな影響が出ないように配慮した結果と考えるべきだろう。

グリップコントロールとは

なお、シャイン・パッケージOP車には路面状況により駆動力配分をコントロールするグリップコントロールが装備されている。これはデフの差動機構を利用した電子制御のブレーキLSD機構であり、ノーマル、スノー、マッド、サンド、オフの5モードが設定されている。

本格クロカンや泥濘/深雪は難しいが、多少荒れた林道くらいなら対応できる踏破性を確保している。

パワートレインは1.2Lの3気筒ターボ。ミッションはトルコン/遊星ギアの6速AT。手堅い構成である。

トルコンATは低速での扱いが容易。多くの上級プレミアムカーが採用していることから分かるように、滑らかな変速で走りの質感向上にも役立つ。さらに動き出しのコントロールが難しくなる雪路や柔らかなダート路での扱いでも有利である。

直3ターボ+6AT

エンジンはダウンサイジングターボらしい地力が感じられる。

巡航回転数を2000rpm以下に抑えるのはセオリーどおりだが、トルク任せに回転を抑える印象はない。負荷が安定しない状況では早めにダウンシフトあるいはアップシフトを遅らせるように制御され、加速に移行した時の繋がりや伸びやかな加速感の演出が巧み。

速いというよりもストレスを感じさせないドライバビリティが好ましい。

3気筒にしては振動はもちろん排気パルス感も少ない。4気筒に比べると回転数が低く感じられることもあり、エンジンフィールや静粛性でもストレスが少ない。高級とかプレミアムという類ではなく、人当たりのいい快適性をもたらしている。

初見の試乗なのにすぐに馴染んでしまう。馴染みがいいから強く印象に残る部分もないのだが、走りに関わるすべてがケレン味なくまとまっている。ハンドリング以外も「いい感じに“ふつう”」なのが好印象。余暇も含めた生活を長く共にする要点が分かったクルマである。

「買い」か?

今後の日本市場の動向を考えるとACCとLKAが採用されていないのがちょっと気になるが、その他の安全&運転支援機能は充実しているし、半自動運転型運転支援に関しては次の買い換えにしといて今回はC3エアクロスで、と推せるだけの魅力を備えている。

大前提はC3エアクロスの内外装デザインに惚れられるか。だからといって好きになってしまえば「アバタもエクボ」で乗り越えられるというタイプではない。

C3エアクロスで好感を持てたのは、これほどキャラの立ったモデルなのに排他的な部分が極めて少ないこと。冒頭での中途半端云々の件もそうなのだが、キャラを立たせても多くのユーザーに優しく易しい現実論でまとまっている。従ってキャラ惚れだけで選んだとしても「アバタもエクボ」的な覚悟は不要である。

バランスという価値

さらに悪路踏破性に対しても最低地上高160mmのFF車にしては期待以上。「タウン&ツーリングで問題なければOKくらいの気持ちで選んだけど、意外とアウトドアレジャーのアシにも使える」という按配のクルマなのだ。

ひとつの方向で突出した何かを求めるには不向き。ただ、一芸名人型や高水準の万能型は多大なる犠牲を伴うもの。現実を背景にした場合は中庸の美学のようなベストバランスが重要である。

そこがきっちりと織り込めているのがC3エアクロス。キャラ惚れで入るも、ウェルバランスから入ってキャラに惚れるも「アリ!」なのである。

C3エアクロスSUVシャイン・パッケージのスペック

価格:297万円(税8%)
エンジン:1199cc直列3気筒ターボ
最高出力:110ps/5500rpm
最大トルク:20.9kg-m/1750rpm
変速機:6速オートマティック
車両重量:1310kg
全長×全幅×全高:4160×1765×1630mm
ホイールベース:2605mm
燃費(WLTC):16.4km/L
タイヤ:215/50R17(オールシーズン)

C3エアクロスSUVシャインのスペック(差分のみ)

価格:274万円(税8%)
車両重量:1290kg
タイヤ:195/60R16(サマー)

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