法制化されて19年が経過したけれど……
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
【画像】あなたの都道府県、チャイルドシート着用率は 全13枚
2002年から毎年、JAFと警察庁によって行われている「チャイルドシート全国使用状況調査」の最新データが8月下旬に公開された。
これによると、使用率は調査開始以来、初めて7割を超えて70.5%となったが、取り付け状況や着座状況はいずれも半数以上がミスユース(間違い使用)であることがわかった。
チャイルドシートは正しく取り付けて、正しく座らせることで初めて100%の安全性能を発揮するのだが……。
チャイルドシートに関するJAFと警察庁による例年の調査は、2019年に使用状況(車内に乳幼児用チャイルドシートがあるかどうか? をチェック)が初めて7割を超えたが、それでも1歳未満でまだ9割に届かない状況だ。
5歳は5割以下と相変わらず低いが、それでも過去最低の25%(2007年)に比べれば2倍近い数字となっている。
欧米の先進国に比べると使用率はまだまだ低レベルで、取り付け状況のミスユースも乳幼児合計で52.4%もある。
主に腰ベルトの締め付け不足など、車両シートにチャイルドシートが確実に固定されていないことが原因だ。
使用率や正しい取り付け率が低いことはもちろん大きな問題だが、チャイルドシート指導員資格(一般財団法人日本交通安全教育普及協会認定)を持つ筆者が一番問題視しているのは、チャイルドシートを使っているが子どもの着座状況が間違っている、「着座」に関わるミスユースである。
くわしい調査結果を見てみよう。
「ハーネス」の間違い、断トツに多く
着座状況調査結果一覧を見ると、ミスユースは幼児用が突出して多く67.1%。チャイルドシートを使っているつもりでも、全体で6割近くがミスユースという結果だ。
せっかくチャイルドシートを使っていてもミスユーズがあると全く効果が発揮できないことも少なくない。
そのミスユースの中で最も多いのが乳児/幼児の中ではハーネスの不正使用によるものがほとんどだ。
さらにその中でも断トツに多いのが、「ハーネスの締め付け不適正」。これは、ハーネスがユルユルの状態を示している。
学童用(ジュニアシート)における着座時のミスユースについても紹介しておこう。ジュニアシートにおけるミスユース1位は「体格不適合」が4割近くだ。
これはジュニアシートに子どもの体の大きさが合っていないということ。ほとんどは、「まだ体が小さい(=幼児用の使用が適切)のに学童用ジュニアシートを使っている」と考えられる。
ジュニアシートは3歳から使えるものも多いが、3~4歳の小さな体をホールドするには、頭から肩回りのガードと背もたれが付いたフルバケットタイプがマスト。
また、3歳になったらジュニアと年齢で考えるのではなく、子どもの体重や身長を考慮して正しい選択をしてほしい。
一般的な傾向として、親は我が子に対して、早め早めに上のクラスのシートを使いたがるものだが、3~4歳で「座面だけのブースターシート」は体格不適合。
乳児用→幼児用、幼児用→学童用と上のクラスに移動するには、十分に体が成長してからが安全だ。
ユルユルハーネス 危険な本当の理由
話を戻して、ミスユースのほとんどを占めるハーネスの不正使用について紹介しておこう。
ここで言うところのハーネスとは、チャイルドシート本体についている主に肩ベルトの事である。
このハーネスによって子どもの体をチャイルドシートに固定する。ハーネスの高さや締め具合が正しいかは、チャイルドシートが車両シートに正しく取り付けられているかどうか? と同じくらいに重要なポイントとなる。
ハーネスがゆるいと、子どもがその間から自力で抜けだす危険もある。もちろん、衝突事故の衝撃でハーネスの間から体が飛び出して車外に放出される危険もある。
具体的には子どもの体を拘束するハーネスの高さや締め具合が問題だ。チャイルドシートが正しく車両に取り付けができていたとしても、ハーネスの位置が体に合っていない、締め具合がユルユルな場合、衝突事故の衝撃から子どもの体を100%安全に守ることはできないと思った方がいいだろう。
事故の強い衝撃だけではなく、急ブレーキ程度の衝撃でも子どもの体はハーネスの間から飛び出し、チャイルドシートから床に転げ落ちて大けがをする危険もある。
特にママ人気の高い回転式チャイルドシートの場合は、回転のベースとなる台座がついている分、全高が高くなる。
さらにそのようなシートをミニバンなど車高が高いクルマで使っていると、セダンやクーペに比べて「高低差」も大きくなるため、転がり落ちて打ちどころが悪いと命の危険もある。
ハーネスがユルユルで拘束力ほぼゼロの状態では、「チャイルドシートを使っている」とは到底言えず、ただチャイルドシートの上に座っているだけに等しい。
つまり大人で言えばシートベルトをせずにクルマに乗っているのと同じだ。
これだけは守って! 正しい着座状況とは
まず乳幼児用チャイルドシートは後部座席で使うのが原則である。
そして乳児用シートはどんな場合も必ず後ろ向きで使用する。
乳幼児兼用の場合は体重10kgまで、乳児専用は13kgくらいまで、最新の安全基準R129(i-Size)は生後15か月までは後ろ向きがマストである。
子どもを座らせる際には極力薄着が望ましい。車両シート、チャイルドシート、子どもの3者が可能な限り密着していることが高い安全性につながる。
同じ理由で、新生児用のインナークッションは使用時期を過ぎたら取り外すことをお忘れなく。1歳過ぎてもインナークッションを使っているケースを頻繁に見かけるがそれは大変な間違いである。
インナークッションの上に子どもが乗っている状態では子どもの体とチャイルドシートが密着できていないので拘束力は弱くなり、何より子ども自身も不快なはずだ。
そしてハーネスは指2本入る程度のキツさでしっかり締める。「きついと赤ちゃんが窮屈だと思ってゆるく締めていた」という親もいるがそれはNG。
筆者がこれまで相談を受けてきた約200人の親子から聞いた話を総合すると、チャイルドシートに乗るとぐずったり泣き叫んだりする子どもの着座状況は、ほぼどのシートもハーネスがゆるくて高さもあっていない。
チャイルドシートの中で体が不安定になることも不機嫌の原因かもしれない。
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