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ニューモデル 2019.9.1

英国版中古車のすゝめ W126型Sクラス メルセデス・ベンツ380SEC-560SEC

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エアバックやトラクションコントロールを導入

W126型Sクラスのデリバリーが始まった1970年代後半、2ドアのSECも誕生。カーデザイナー、ブルーノ・サッコによる、Bピラーのないエレガントなスタイリングに強力なパワーを備え、特別な風格を漂わせていた。当時メルセデス・ベンツが掲げていた「エネルギー・コンセプト・プログラム」に合致したエンジンを搭載し、従来の燃費の悪い大排気量V8エンジンよりも25%程度の燃費向上を目指していたクルマだった。

    【画像】メルセデス・ベンツ380SEC-560SEC 全23枚

安全性にも注目し、エアバックを早期に導入。オプションながら運転席側に装備することができた。マイナーチェンジに合わせて、500SECと560SECには運転席側で標準装備となり、助手席側にも1988年からオプションで装備できるようになっている。トラクション・コントロールに、シートベルトのプリテンショナー機能も搭載。前席はヒーター付きのパワーシートで、外気温計や洗練されたクルーズコントロールも備えていた。

420と560SECにかわって、1985年のフェイスリフトと同時に登場したのが380と500SEC。一部のコーチビルダーがコンバーチブルを制作したほか、500SECをベースにAMGがモディファイを加え、2台が1989年のスパ・フランコルシャン24時間レースに参戦している。アメリカ仕向けのクルマにはビッグバンパーを装備し、最高出力は欧州仕様車と比べて著しく劣る一方で、燃費は良くない。購入する場合、逆輸入車には注意したいところだ。

高くても程度のいいクルマを選びたい

グレードで見ると、420SECは希少で3680台のみが販売されている。続く380SECは1万1267台が市場へ出ている。500SECは3万184台と高い人気を誇っていたが、トップグレードの560SECも2万8929台が販売されている。当時のメルセデス・ベンツの購買層の嗜好が見えて面白い。

すでに40年ほどが経過しているから、目立つところに錆びがなくても内面で進行していることがあり、修復費は高く付く。一方でメカニカルな部分は非常に堅牢で、走行距離もかなりの数を刻んでいることが多い。メンテナンスさえ適切なら、走行距離の長さはあまり気にするポイントではない。反面、走行距離が短くても長期間放置されていたクルマの方が、過走行でもメンテナンスを小まめにされてきたクルマよりトラブルを起こしやすい。整備記録は確認した方が良いだろう。

W126型のSECの価格は年々上昇傾向にある。メルセデス・ベンツ用補修部品の品質は極めて高いぶん価格も張るので、下手に安いクルマを買うと、それ以上の部品代や修理費用がかかる可能性もある。低価格なクルマを買って、不具合を直しながら乗るより、必要な整備がすべて完了した状態のいいクルマを手に入れた方が、結果として安価な場合が多いので気をつけたい。

バックオーダー状態とはいえ、ほとんどの部品は今でも入手可能だ。SECの整備に1万ポンド(130万円)程度はあっという間になくなってしまう。フルレストアをしたとしても、5万ポンド(650万円)まではかからないとは思うけれど。

W126型SECの中古車 購入時の注意点

SECは必要な時に必要なだけ力強い加速を見せてくれる一方で、安定性や操縦性も高く、運転しやすい。本来ハンドリングやステアリングがシャープというわけではないが、運転してくたびれているような印象を受けたら、恐らくそのとおり。

エンジンはタイミングチェーン式で、16万kmごとの交換が必要。劣化したチェーンは、内部のプラティック製のガイドの破損を招き、エンジンヘッドにもダメージを与える。カムが摩耗すると、カチカチと音を立てるので要交換。500シリーズだけでも4種類の異なるカムが存在するので、要注意。

アイドリング時や加速時にエグゾーストから出る白煙は、バルブステム・オイルシールの劣化による場合が多い。エンジンヘッドを降ろさずに交換が可能。カムオイル・チューブの交換もしておきたい。エンジンヘッド・ガスケットからのオイル漏れの修理には数日を要する。エンジンマウントの劣化も確認したい。

フュエルインジェクション・システムは、不具合が出てもエンジンを止めないように設計されており、修理されていない場合が多い。フロントのブレーキキャリパーも、フェイスリフト前のクルマの場合は固着しやすい。クルーズコントロールの修理にはかなりの費用が必要。シートベルトのバックルだけでなく、オートマティック・シートベルト・ガイドも壊れやすい。

ドライブトレインからのゴツゴツという異音は、大抵がプロペラシャフトのセンターマウントが傷んでいることが原因。リアアスクル周りは丈夫ながら、異音やオイルの滲みは発生しがち。セルフレベリング機能の付いたリアサスペンションは、油圧スフェアが故障すると硬い乗り心地になる。油圧ラインは錆びやすく、修理されていないことが多い。燃料パイプやブレーキまわりも同様。

不具合を起こしやすいポイント

エンジン

オールアルミニウム製のV8エンジンは、基本的なメンテナンスさえ抑えておけば、永遠に稼働するといえそうなほど頑丈。多くのクラシックモデルと異なり、極端に安いクルマでない限り、大概のSECは整備記録もしっかりしている。タイミングチェーンの交換には1200ポンド(15万円)から1500ポンド(19万円)程度はかかる。タイミングチェーンを交換してもメカニカル音が目立つ場合、カムの摩耗の可能性が高い。

インテリア

全体的に頑丈だが、ベロア生地はすり減りやすいし、天上の内張りも垂れてくる場合がある。一部の専門店でないと修理は難しい。サンルーフの修理には、かなりの覚悟が必要だ。

サスペンション

フロント・ボトムアームのボールジョイントの交換には特別な道具が必要。凹凸を通過した時に聞こえるガタガタという異音はボトムアームのスラストリンクの劣化による。ステアリングラックの交換は、リビルト品で300ポンド(4万円)程度。

トランスミッション

全般的に頑丈だが、最初にだめになるのはリバースクラッチの場合が多い。シフトレバーでリバースにして、つながるまでに数秒待つ場合は、1500ポンド(19万円)程度のリビルト品を探しておこう。

ボディ

リアウインドウ・シールがひび割れていないか、パーセルシェルフのトリムが傷んでいないか、ラゲッジスペースのフロアの状態は大丈夫化を確認する。修理が完璧でないと、錆びてしまう。

オーナーの意見を聞いてみる

トマシュ・ビルテクは500SECを所有して3年になる。「レストア前提のクルマとして、2000ポンド(26万円)ほどで手に入れました。走行距離は英国では短い方といえる、16万kmほど。購入時はトゥイッケナムからリバプールまで、自走して戻ってきました」

「レストア作業はかなりゆっくりですが、一度始めたら止められません。すでに1万5000ポンド(195万円)以上は掛かっています。ボディ周りを直して再塗装し、インテリアも直してあります。ダッシュボードの木目パネルやサスペンション、エグゾースト、ホイールも交換しました。部品を探すのは少々大変で、値段も安くありません」

「部品取り車からいくつか部品を調達しています。そのかわりにメルセデス・ベンツ・クラシックパーツ社のレストアも少し手伝いました。作業を続けてはいますが、まだ満足はしていません。新しいブレーキディスクとキャリパーも取り付けたいですし、今年の10月にはポーランドへ行って7000ポンド(91万円)ほどでエンジンのリビルトもしてもらう予定です。SECが大好きなんですよ」

SECは完璧といえるグランドツアラー。アウトバーンをかっ飛ばすか、フランス南部の海岸を、窓を全開にして流すのがよく似合う。高級ホテルのラウンジのような上質さだけでなく、突出した製造品質にも感銘を受ける。大きなボディの割に軽量で、想像よりも燃費がいいのが嬉しい。

掘り出し物を発見

メルセデス・ベンツ560SEC 登録1987年 走行25万8000km 価格1万7995ポンド(233万円)

28枚の完璧な整備記録が残り、殆どが正規ディーラーによるもの。2016年以降の走行距離は少なく、新しいリアのブレーキキャリパーに、複数のサスペンションブッシュやアーム類、点火系交換されているだけでなく、タイミングチェーンとガイドも新調してある。タイヤは2014年のファイアストーン製で磨耗も少ない。

ラゲッジスペースのカーペットが湿っぽいが、シール材は2017年に交換済み。内装はきれいでカーペットやヘッドライニングの状態も良好。レザーシートとダッシュボードの両脇にヒビが見られる。バッテリートレイの下とサスペンションタワーのサビ修理に少々費用が掛かりそうだ。アピアランスの状態もよく、ペイントも恐らくオリジナル。プラスティック製のパーツは交換してあるだろう。

エンジンの始動性も良く走りも滑らか。ATの動作やブレーキの効きも良好。時計は時折止まるようだが、すべての機能が正常に動いている。オーナーズ・ハンドブックとレザー製のポーチ、2本の鍵が付く。

まとめ

数年前なら、メルセデス・ベンツSECは車検が残ったクルマでも1000ポンド(13万円)出せば購入できた。低価格なゆえに多くのクルマの状態は良くない。近年価格は上昇しており、部品取りの数も減少し、スペアパーツも品薄状態。新品のパーツは高く、多少のリスク覚悟で手を出した方が良いだろう。値段の高いクルマの方が、長期的に見た場合お金がかからない可能性が高い。

嬉しい点

当時最高水準の製造品質を持ち、耐久性も非常に高い。適切なメンテナンスを施していれば、SECは数十年に渡って信頼できるクルマになり得る。

残念な点

手入れの良くなかったSECは、財布の中身をあっという間に吹き飛ばす。サビの修理やスペアパーツの手配に追われるだろう。

メルセデス・ベンツ380SEC-560SECのスペック

価格:1986年時 3万6255ポンド(471万円・420SEC)/4万400ポンド(525万円・500SEC)/4万9700ポンド(646万円・560SEC)
生産台数:7万4060台
全長:4910mm
全幅:1816mm
全高:1407mm
最高速度:209-249km/h
0-96km/h加速:9.8-6.7秒
燃費:6.0-8.8km/L
CO2排出量:-
乾燥重量:1585-1748kg
パワートレイン:V型8気筒3839-5547cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:203ps/5250rpm-300ps/5000rpm
最大トルク:32.0kg-m/3250rpm-46.2kg-m/3750rpm
ギアボックス:4速オートマティック

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