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フェラーリSUV、V6またはV12ハイブリッドの4WD? 新エンジニアリング挑戦

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フェラーリSUV、V6またはV12ハイブリッドの4WD? 新エンジニアリング挑戦

既存のSUVとは全く異なる一面を持つ

フェラーリは近い将来に発表を予定しているSUVの開発を熱心に進めている。快適性、インテリア・デザイン、車内の広さ、パワートレインのテクノロジーなどの点において、このクルマは同ブランドをまったく新しい方向性に導くものになる。

【画像】フェラーリSUVのライバルたち 全278枚

2022年の発表に向け、「プロサングエ」(イタリア語でサラブレッドという意味)というコードネームで開発されているフェラーリのSUVは、市場ではアストン マーティンDBX、ランボルギーニ・ウルス、ベントレー・ベンテイガ、ロールス・ロイス・カリナンなど、他の高性能で超高級なSUVとは一線を画した独自の地位を築くことが約束されている。

昨年、フェラーリは2023年までに15台の新型車を発表すると予告した。当初「175」という開発コードで知られていたこのSUVは、その中の1台だ。

これらの新型車では、2種類のプラットフォームを使って2種類の異なるモデルラインが作られる。1つはF8トリブートのようなミドエンジンのスーパーカーで、もう1方はフロント・ミドエンジンのGTだ。新型SUVもこちらに含まれる。

「わたしはこの新型車とその技術コンセプトに納得しています」と、フェラーリで最高技術責任者を務めるマイケル・ライターズは独占インタビューで打ち明けた。

「われわれは、一面においては本物のSUVとなるコンセプトとパッケージを見つけ出しました。SUVの購入者に対しても説得力を持つでしょう。しかし、その一方では既存のSUVとは全く異なる一面も持ちます」

全く新しいエンジニアリングに挑戦

そのコンセプトはフェラーリの専用アーキテクチャを組み合わせる手腕に掛かっている。ベンテイガやウルスが、同じグループのフォルクスワーゲン・トゥアレグやアウディQ7など、多くの車種と同じMLBプラットフォームを共有しているのとは対照的だ。

プロサングエはフェラーリ・レベルのパフォーマンスやダイナミクス性能のみならず、SUVに求められる快適で使いやすいキャビンを併せ持つものになるという。

「この挑戦はフェラーリが新たなセグメントを切り開くためのものです」と、ライターズは語った。「われわれは常にとても先鋭的な地位にいます。そのため、クルマを開発する際には方針をどこに絞り、代わりに何を捨てるかを決定することが容易です」

「今回は何を捨てるかを決定するのではなく、全く新しいエンジニアリングに挑戦することになるでしょう」

フェラーリは、プロサングエの仕様については依然として口を固く閉ざしているものの、輝かしいその72年に及ぶ歴史の中で、最も急進的な方向にブランドを導くことになる理論や挑戦については喜んで語る。

2種類のフレキシブルなアーキテクチャ

このSUVのデザインは既に承認されており、様々なサイズに適応可能なフロント・ミドエンジンのアーキテクチャを使うことがわかっている。これはフェラーリの将来の全モデルを支えることになる2種類の非常にフレキシブルなアーキテクチャの1つだ。

もう1つは伝統的なミドエンジン・レイアウト用で、どちらのアーキテクチャもV6、V8、V12エンジンのすべてに適応できるだけでなく、ハイブリッドを組み合わせることも織り込まれている。デュアルクラッチ式ギアボックスをトランスアクスルに搭載し、純粋な後輪駆動と四輪駆動のどちらも可能。ホイールベースを調整することで、キャビンは2シーター、2+2シーター、4シーターのいずれにも対応できる。

ボディはクーペ、スパイダー、そしてプロサングエのようなスタイル(プロサングエにもフェラーリの伝統的な大型V12フロントエンジンGTの特徴が受け継がれるという)を作ることができ、最低地上高を引き上げたモデルにも対応できる。

ハイブリッド技術はSF90から

このように設定可能な様々な仕様の中から、プロサングエは全長5m程度の4シーターで、最低地上高の高いモデルになる。おそらく電子制御式の車高調整機構とアンチロールバーを備え、オンロードの素晴らしいダイナミクスと、ある程度のオフロード走破性を兼ね備えたクルマになるはずだ。

厳しさを増す排ガス規制の圧力から、プラグイン・ハイブリッド・テクノロジーも採用される見込みだ。このパワートレインはSF90ストラダーレから受け継がれる。

SF90ストラダーレは、フェラーリのレギュラー生産モデルで初めてハイブリッドを採用したクルマで、4.0L V8エンジンに3基の電気モーターが組み合わされている。1基のモーターはエンジンとギアボックスの間に組み込まれ、あとの2基はそれぞれ左右の前輪を駆動するためにフロントに設置されている。

このハイブリッドの四輪駆動システムをベースにしたものが、プロサングエにも使われる見込みだが、エンジンは現在開発中のV6ターボになる可能性が高い。ただし、最上級モデルとしてV12バージョンも検討されているかもしれない。フェラーリは当分、V12エンジンの開発に取り組むとしているからだ。

新しいインテリア・レイアウトを採用

「SF90は多くの新技術を投入した新型車です。その開発において、われわれは他のモデルにも転用可能な要素を見つけ出しました」と、ライターズは語る。

「SUVの開発で課題となることは、SF90とはまったく異なります。新たな新技術の発明が必要になるでしょう。しかし、われわれの組織は新技術を発明する方法を学びました」とライターズは付け加え、プロサングエには独自の新技術が採用される可能性に言及した。

プロサングエという名前は、フェラーリが今後4年の間に発表を計画している新しいGTファミリーに使われるとも言われていた。それは従来よりも実用性と快適性を高めたモデルになる。GTC4ルッソの後継車もその中に含まれる見込みだ。その将来はSUVの発表による影響を受けないという。

フェラーリのGTモデルはSUVも含め、まったく新しいインテリア・レイアウトが採用される。これは「目はロードに、手はストリートに」と呼ばれるアプローチをベースにしたもので、新しいデザインのステアリングホイールや、新開発のインフォテインメント、ヘッドアップディスプレイ、メーター・パネル、キャビンの新しい操作方法、後部座席用エンターテインメントを装備し、乗降性も改善される。

難しい挑戦であり、楽しみでもある

ライターズはまた、フェラーリが初めてのSUV開発で直面した挑戦についても語った。「車内はどれだけの広さがあれば適切だと、自信を持って判断するにはどうすればいいのか? 快適でくつろげる乗り心地とは? フェラーリならではのスポーティなレイアウトを、SUVの顧客が求める快適性重視のデザインと結びつけるにはどうすればよいのか?」

「HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)はどうするか? これまでフェラーリのHMIはドライバー主体に考えられていました。しかし、それをもっと民主的にするにはどうすればよいか? 快適機能はどのようなものを装備すればよいのか? 快適性に結びつくフェラーリの純粋なDNAとは何か?」

「それは難しい挑戦であると同時に、チャンスでもあり、楽しみでもあります。わたしはそういうことがとても好きなのです。いくつかのコンセプトは互いに関連しています。しかし、わたしたちが175のようなクルマでやりたいことの1つは、今までとは違う新たな製品ラインを構築することです」

需要に応じて様々な仕様が実現可能

ライターズによれば、2つの新しいアーキテクチャは非常に高い柔軟性を、将来のモデルにもたらすという。

「われわれはV6ともV12とも明言したことはありません。しかし、多くの可能性は考えられます」と、ライターズは言う。「わたしの仕事は、会社に様々なモデルの可能性を与えることです。すると会社はわれわれ開発陣に、市場ではどんなモデルが求められているのかということを伝えてきます」

「様々な顧客の需要に応じて、どれだけの広さが必要か、6気筒にするか8気筒にするか、ホイールベースはどれくらい長くするかを検討します。それによって、われわれはV6でもV8でもV12でも、フロントエンジンでもミドシップでも、ハイブリッドでもそうでなくても、二輪駆動でも四輪駆動でも、2シーターでも2+2シーターでも4シーターでも提供することができます。ホイールベースも様々な長さに調整可能です。非常に簡単に、大きな負担もなく対処できるのです」

デザイナーとエンジニアが協力

デザイン部門を率いるフラヴィオ・マンゾーニによれば、デザイナーたちはブランドにとって議論を呼ぶこの新モデルのプロポーションを最適化するため、最初からエンジニアリング部門と共に作業を進めたという。

「われわれはまず最初に、クルマのデザインを定義することから始めます」と、マンゾーニは言う。「この定義する過程において、われわれはエンジニアたちと共に取り組みます。それによってデザインの最適なベースとなるプロポーションとディメンションを明確にすることができるのです」

「SUVの場合も同様です。多くのSUVは別のクルマから派生したモデルとして作られています。デザイナーには技術面から多くの制約が課せられます。しかし、われわれの場合、一切の妥協はありません」

「エンジニアたちと一緒にパッケージングを定義することから始めなかったら、間違いなく問題が生じます。われわれが新しいプロジェクトに着手したとき、そこには称賛に値する多くの共同作業がありました」

フェラーリSUV 今後のライバルたち

ランボルギーニ・ウルス

車高の高いフェラーリというコンセプトに最も近いクルマは、おそらく同じイタリアの最も顕著なライバルとして認識されているランボルギーニから登場したウルスだろう。

昨年の発表時には意見が二極化したものの、ウルスは今年の現時点で、他のランボルギーニ車の2倍以上もの売り上げを記録している。この事実をフェラーリは無視できないはずだ。

その4.0L V8エンジンは最高出力650psを発生し、0-100km/hまで3.6秒で加速、最高速度は305km/hに達する。

アストン マーティンDBX

アストン マーティン初のSUVが、この成長著しいセグメントにどれほどのインパクトを与えるかはまだ未知数だ。しかし、今年末には新型DBXの全貌を目にすることができるだろう。

大排気量のガソリン・エンジンと(遅れて登場する)ハイブリッドの組み合わせとなるのはフェラーリと同様。DBXの発売時には、メルセデスから供給を受けるV8とアストン自社製のV12から選択できる見込みだ。

この英国のメーカーとって、販売台数増加の大きな期待を担うモデルとなる。

ベントレー・ベンテイガ・スピード

ライバルであるロールス・ロイスのカリナンは、価格の面から見ればフェラーリと肩を並べるだろう。しかし、ベントレーのベンテイガ、特にベンテイガ・スピードはもっと本質的な意味で張り合うことになる。

最高出力635psを発揮する6.0L W12ツインターボ・エンジンと、強化されたシャシーは、よりダイナミックなドライビングに向けて磨きが掛けられている。フェラーリにとっては、インテリアの品質や車内の広さ、長距離ドライブの快適性も、指針となるはずだ。

ロータスの新型SUV

ロータスが初めて試みるSUVスタイルのクルマも、プロサングエと同時期に発表が予定されている。価格はフェラーリより大幅に安く、10万ポンド(約1300万円)以下になる見込みだが、本物の運転が楽しめるSUVとしてはフェラーリと同等の精神を持つ。

親会社であるジーリーホールディングのもと、同じ傘下に属するボルボのプラットフォームとハイブリッド・パワートレインを使用する。最上級モデルはフェラーリの対抗馬となり得るだろう。

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