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いまだ大人気のスズキ・ジムニーの実力は本物か? レーシングドライバーが徹底的に斬る!

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いまだ大人気のスズキ・ジムニーの実力は本物か? レーシングドライバーが徹底的に斬る!

 世界中が注目するコンパクトSUVの実力やいかに

 昨年フルモデルチェンジを受けて以来、大人気となっているのがスズキ・ジムニーだ。まもなく1年になるが、その人気高さは世界レベルにまで広がっていて、まったく衰えを見せていないという。僕もあやうく衝動買いしそうになったが、納車まで半年以上待つ、と聞かされて断念した。

【WCT TV】国沢光宏の気になるクルマvol.5 スズキ・ジムニー前編

 実際スズキは衝動買いしたくなるようなクルマ作りが上手で、以前も現行ハスラーを危うく注文しそうになった。しかし、試乗してみて高速道路での走行安定性に疑問を感じ見送ったのだった。今回ジムニーも試乗テストをする機会を得られたので一般道から高速そして極悪路のテストコースも走ってみた。

 ジムニーの実車を初めて見たときの印象は「大きい」ということだった。思っていた以上に存在感があり、ルーフやボンネットの位置も高く大きさに圧倒されたのだ。軽自動車のわずか660ccのエンジンでちゃんと走るのか? と疑問に感じるほどだ。

 クルマに乗り込むとアイポイントも高く見通し性が高い。インパネや内装も丁寧に作り込まれていて、軽自動車ながら質感が高い。エンジンを始動すると小さなエンジン音は迫力がなく、動力性能に不安を感じながら走りだしてみた。

 まずは市街地だ。動力性能的には流れに乗るのにまったく問題なく、不思議なほどにトルクが発揮されスムースに加速できる。市街地レベルではエンジン音も静かなままで、乗用車として普通に使えそうだ。

 高速道路に乗り入れると、若干不満なところが見え隠れする。それは意外にも動力性能面ではなく、シャシーの質感に関連する部分だ。4輪駆動は高速道路の操縦安定性も高めることができるので積極的に4Hを選択して走っていたが、フロアから微妙なバイブレーションが感じられたのだ。タイヤは175/80R16と大径だが、マット専用ではなく普通乗用も可能なタイプ。感覚としてはトランスファーユニットあたりから微振動が発生しているような印象だ。

 のちに2018年12月にスズキからリコールが発せられ、フロントデファレンシャルの減速比が異なる部品が仕様され、前後輪感で回転数差が生じるというリポートが出された。試乗車が該当しているのか不明だが、まさにそれで説明が付くような振動だった。

 ジムニーにシエラのエンジンとオーバーフェンダー装着で完璧!?

 それを除けば室内は快適で音も静か。ただ大柄に見える車体も室内はさほど広くなく、とくに後席は足もともシートもミニマム。後席シートは中央に寄せられて設置され、左右2分割可倒式だが両サイドにホイールハウスによる大きな隙間がありシートの座面もフラットで座り心地は最悪だった。そこだけを見れば20年以上昔の基本設計のまま、2017年まで販売されていた三菱のパジェロ・ミニと同じレベルで、車体のほかの部分が良くできているだけに残念に感じられるのだった。

 ハンドリングもまた問題点が露呈した。スズキ車としては珍しくフロントサスペンションにスタビライザーを備えるが、大きなルーフとボンネットにより重心が高く高速旋回は得意ではない。ロールは抑えていても内輪の接地圧が減少し、アンダーステアが徐々に強まりコーナー外側にはらんでしまうのはいただけない。

 より大径タイヤでトレッドも広がる普通車のジムニー・シエラならコーナリングも安定しているのではと期待して試してみたが、タイヤサイズ拡大と拡幅の手法が適切でなく、路面アンジュレーションや轍にステアリングが影響を受けるワンダリングが起こりやすく、バネ下重量も増加したことで乗り心地も悪化。シャシーのバランスは軽のジムニーのほうが勝っていた。

 結果、外観的にはオーバーフェンダーを備えるジムニー・シエラがカッコいいが、シャシーバランスはジムニーが上。動力性能は1.5リッターエンジン搭載のジムニー・シエラが上と、どうにも決めようがない事態となってしまった。ジムニーでシエラのオーバーフェンダーを装着したら良さそうだが、最大幅を超えないよう工夫しなければならないだろう。

 市場においてもノーマルのまま乗るのではなく、さまざまなモデファイを行ってジムニーを楽しむユーザーが増えていて、新しいアフターマーケットとして世界中でムーブメントを巻き起こしているという。メルセデス・ベンツGクラスに似せたグリルやトヨタのランクルもどき仕様など、遊び心でジムニーを楽しむユーザーも増えているようだ。ベース車両の今後の進化と合わせて、引き続き注目していきたいと思う。

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