ASTON MARTIN DBX Prototype
アストンマーティン DBX プロトタイプ
アストンマーティンDBXの開発状況を訊く! グッドウッドで直撃インタビュー
グッドウッドでデモランを行ったDBXの完成度は?
新しいセント・アサン工場で先行試作車の生産が始まったと伝えられているアストンマーティン初のSUVであるDBX。これまでも外誌などでテスト中のプロトタイプの写真がスクープされてきたが、アストンマーティンは自身がホストメイクスを務めたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの会場に2台の艤装したプロトタイプを持ち込み、大勢の観衆の前でデモランを行なった。
今回アストンマーティンが走らせたのは、艤装が施された黄色と赤の2台のDBXプロトタイプだった。まだ正式にスペックや仕様が公表されていないので正確なことは言えないが、会場で見た限りではボディサイズはポルシェ・カイエンやBMW X4などと同程度。ただディテールに関しては、2台のプロトタイプでドア、リヤクォーターウインドウ周り、テールライト周辺などの艤装が異なっていた。一方で両車ともに共通なのは、前後座席の頭上に大きなグラフルーフが装備されていたことだ。
果たして、現在DBXの開発状況はどのようになっているのか? その詳細はどうなっているのか? DBXのキャリブレーション・シニアマネージャーを務めるイアン・ハートレーに話を聞くことができた。
キャリブレーション・シニアマネージャー/イアン・ハートレー
「ここにあるプロトタイプはM2レベルと呼んでいるもので、まだ初期の開発段階のクルマになります。ここでエンジン、サスペンション、駆動系などの開発を進め、次の段階に進むことになっています」
イベントではアストン・ワークスの一員であるダレン・ターナーのドライブで非常に軽快な走りを見せていたのだが、そのドライブフィールはどういうものなのだろうか?
「クイックかつダイレクトで、思ったラインを正確にトレースできる足まわりに仕上がっています。フリックウォール(ヒルクライム・セクション後半のシケイン)の切り返しではクイックかつ姿勢も安定していて、走っていて本当に気持ちいいですよ」と、ハートレーは満足気に語る。その言葉の通り、SUVではあるもののどちらかというとオンロードに主眼を置いたクルマ作りになっているようだ。
「パフォーマンスとラグジュアリー。これがDBXのテーマです。ラグジュアリーといってもカリナンやベンテイガのような方向性ではありません。カイエンよりもプレミアムといったら分かりやすいでしょうか」
SUVに必須のオフロードの走破性はどうなのか?
「もちろん砂漠や雪道などあらゆる環境でテストをしており、オフロードの性能も十分に確保しています。しかしながら我々はディスカバリーのような本格的なオフローダーを目指していません。ですからオンとオフどちらを重要視しているかといえば、オンロードでの走行性能ということになります」
ハートレーによると、DBXの駆動系は他社からの流用ではなく、すべて社内で設計・開発されたものだという。またエンジンやトランスミッションなどについては、ついぞ口を滑らせてはくれなかったが、見た限りでは外誌などの予想通りDB11 V8などでお馴染みのV8ツインターボを搭載しているのは間違いなさそうだ。しかしコースサイドで聞いた限りでは、そのエキゾーストノートは驚くほど静かだったことを付け加えておく。
「この後、1PTと呼ぶ次のステージのプロトタイプに開発が移ります。そこではエクステリアのデザインなどもさらに進化することになっています」
エクステリアはまだ煮詰め中、内装はこれから
確かに2台のプロトタイプはともにボディパネル上に偽装のカバーがついており、プレスラインのディテールやウインドウのカットラインなどが巧妙に隠されていた。ハートレー曰く、基本的なアウトラインは変わらないが、最終的に生産型の見た目の印象は変わるはずだという。
一方インテリアに関しては、そのほとんどにカバーが掛けられていたが、リヤシートも無い上に(フロントシートはおそらくDB11からの流用だった)ロールケージががっちりと組まれ運転席以外は「がらんどう」だった。
「現段階ではダミーの人形を載せたり、荷物を満載してその影響を評価するなどのテストに使われているので、インテリアはついていません。今、並行してインテリア・デザインも進められており、年末には明らかになる予定です」
アストンマーティンらしい品質の確保は絶対条件
そこでもうひとつ気になるのは、そのクオリティだ。全くの新工場、そしてこれまでにないコンセプトの新型車を生産するにあたって、生産体制、品質のコントロールなどバックアップ体制は大丈夫なのだろうか。
「まだセント・アサンではプロトタイプの製造がスタートしたばかりですが、そこで作業する人々は皆、ゲイドンでしっかりと研修を積んでアストンマーティンのクルマ造りのすべてを習得しています。特に今回のモデルは、今までのアストンマーティンとは違いファミリー・ユースがメインとなるので、品質、信頼性の確保には、より気を遣っています」
彼の話を聞いていると、アストンマーティンが昨今のSUVブームに乗るためだけに開発したのではなく、しっかりと腰をすえて、その名に相応しい1台を作り上げようとしている姿勢がひしひしと感じられた。まだ内装もないプロトタイプを走らせ、柵などを設けず一般客にも近くで披露しているのは、その自信のあらわれのようにも感じられる。
「我々にとって新しい挑戦ですが、日本を含む多くの市場に受け入れられるモデルになると確信しています。これまでのSUVにはないラグジュアリーなインテリア、そしてスポーツカーにも劣らない動力性能、さらに女性ドライバーにも安心して乗っていただける扱いやすさを兼ね備えた1台になる予定です。楽しみに待っていてください」
DBXプロトタイプの細部をチェック
話を聞いたDBXのキャリブレーション・シニアマネージャーを務めるイアン・ハートレーは「パフォーマンスとラグジュアリーが融合したこれまでにないモデルになる」と胸を張る。
展示されていたDBXプロトタイプのコクピット周りは、カバーだらけで良く見えなかった。ドライバー正面にはスクリーンが設置されている。インパネはDB11のような液晶ディスプレイになるのだろうか? タイヤはフロント285/40ZR22、リヤ325/35ZR22のピレリPゼロを履き、ブレーキは前後ともスチールのベンチレーテッドディスクとなっていた。
デモランを行った赤いモデルと黄色いモデルを比較すると、リヤウインドウ、Cピラー周り、テールランプ、マフラーなどの艤装が異なっているのがわかる。どうやら赤いプロトタイプの方がより市販モデルに近いらしく、我々が近くで見られるような場所には展示されなかった。
REPORT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
PHOTO/藤原功三(Kozo FUJIWARA) 藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
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