N-BOX一極集中打破の真打ちとなるか!?
2019年7月18日、ホンダの新型N-WGNがついに正式発表。ホンダの軽自動車といえば、N-BOXが圧倒的な人気で販売日本一を達成しているが、実は軽自動車全体のシェアでみると、ホンダはダイハツ・スズキの2強に次ぐ「3番手」で変わらない。これだけN-BOXが売れてもなおだ。
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N-BOX一本足打法からの脱却には、新型N-WGNのヒットが必須。
果たしてN-WGNは第二のN-BOXとなり、ホンダの屋台骨を支えるヒット車となれるのか!?
文:ベストカーWeb編集部
写真:HONDA
取り残されていたN-WGNが「N-BOX基準」で大幅進化
新型N-WGN・標準仕様の外観。丸目のヘッドランプを採用したシンプルな造形が印象的
N-WGNは、スズキのワゴンRやダイハツ ムーヴと同じ「ハイトワゴン」に属する従来軽自動車の王道だったカテゴリーのモデル。
“だった”と表現したのは、ご存じのとおり今ではN-BOXやタントに代表される、より背の高い「スーパーハイトワゴン」が、最も売れるカテゴリーに急成長したからだ。
ただ、それでも2018年度にムーヴが軽自動車で5位の13万2320台、ワゴンRも同7位の10万2553台を販売するなど、ハイトワゴンの人気は未だ根強い。
一方N-WGNは? といえば、同10位の5万6599台どまり。N-BOXがあれだけの人気を得ていることを考えると、対ダイハツ・スズキで厳しい戦いを強いられている。
その最大の理由は「従来型N-WGNは安全装備を含め、軽の進化に取り残されていた」(ホンダ関係者談)とホンダ自身も認めているところ。
それゆえ新型N-WGNは、プラットフォームを共用するN-BOX同様、最新の軽自動車基準で商品力を大幅に高められている。
ただし、外観は昨今トレンドとなっている“ドヤ顔路線”とは一線を画す。
全体の形状はスクエアながら、ヘッドランプは親しみやすい「丸目」を採用。丸っこいN-ONEと従来型のN-WGNをミックスさせたようなシンプルなデザインは、カスタムも含めて近年に珍しいアクのない方向性で好印象だ。
新型N-WGNの室内。ホンダの軽初となるテレスコピック&チルトステアリングも採用
その一方、中身は先述のとおり、“N-BOX基準”で大幅に刷新。
従来型は30km/h以下でしか作動しなかった自動ブレーキも、100km/h以下で作動する最新タイプに進化。軽乗用車としては初の横断自転車に対応する機能も備わっている。
さらに、先行車追従型のクルーズコントロール(ACC)は、渋滞時でも追従できる0km/hまで対応するタイプとなった。ちなみに、この機能はN-BOXにもまだ付いていない(N-BOXのACC作動速度は30km/hまで)。
こうした安全性能の進化はもちろん、ハンドルの上下・前後調整が可能なテレスコピック&チルトステアリング機構をホンダの軽として初採用、オートハイビームも採用するなど機能面でも「登録車の基準を軽に持ち込んだホンダ」らしく、抜かりない。
となれば、気になるのは「価格」だ。
注目の価格は「ライバルに寄せた絶妙な立ち位置」
新型N-WGNカスタムの外観。ギラギラ感薄めのデザインはN-BOX等のカスタム系と一線を画す
新型N-WGNは、標準/カスタムの2系統があり、それぞれにNAとターボエンジン、そして2WDと4WD車のグレードを設定。
そして、気になる価格帯は【表】のとおり。2WD車で「G・ホンダセンシング」の127万4400円からカスタム「L・ターボ ホンダセンシング」の166万3200円という範囲となる。
【表】N-WGN 価格一覧。※4WD車は各13万680円高
自動ブレーキ非標準装備の従来型と比べて概ね10万円ほど高くなっているものの、ムーヴは「スマートアシスト」付きグレードの価格帯が117万7200円~162万5400円、ワゴンRも「セーフティパッケージ装着車」に限れば127万3320円~165万8800円という価格。
新型N-WGNは、かなりライバルに“寄せた”値付けであることがよくわかる。身内のN-BOXと比較してもかなりリーズナブルな価格だ。
値付けにも、新型N-WGNを柱にしたいホンダの意気込みが感じられる。
新型N-WGNは“第二のN-BOX”になれるのか!?
N-WGN標準モデルのリアスタイル。余計なキャラクターラインは一切なく、クリーンな面構成となっている
さて、新型N-WGNは果たして“第二のN-BOX”となれるのか。
商用車も含む軽自動車のシェア(2018年度)は、ダイハツが31.7%で首位、僅差でスズキが30.9%と続き、3位のホンダは19.4%と水をあけられている。
ちなみに、ホンダの同期軽自動車販売台数は37万2793台。N-BOXは23万706台だから実に62%をN-BOXが占めていることになる。
対してダイハツ・スズキは? というと、タント・スペーシアへの依存度は、それぞれ20%台と高くない。
従来型N-WGNは、月販目標台数を1万2000台に設定していたが、2018年度はこの目標を大きく割り込んだ。新型の台数は現時点で未発表ながら、従来型の目標を達成できればムーブ・ワゴンRの台数を年間で上回ることができる。
N-BOXと同じ手法が通用すれば、新型N-WGNがライバルを倒し、第二のN-BOXになる可能性は大いにある。
ただ、ホンダ関係者も「(N-WGNなどのハイトワゴンは)主に地方のお客様が多い商品」と言うように、コストパフォーマンスを含めた商品力を軽に求めるユーザーに、どう訴求できるかが、その成否をわけそうだ。
いずれにしても軽ハイトワゴンの競争激化は必至。新N-WGNの船出に注目が集まる。
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