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ニューモデル 2019.7.5

V8を五感で体感 マクラーレン720Sスパイダーに試乗 性能はクーペと遜色なし

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もくじ

どんなクルマ?
ー バットレスにガラスを採用し後方視界を確保
ー オープンなら325km/h、クーペなら341km/h
どんな感じ?
ー 4.0ℓV8ターボエンジンを体感できるシアター
ー 720psと78.3kg-mのフェスティバル
ー Eクラス・カブリオレのようにも流せる
「買い」か?
ー 揺るぎない720Sスパイダーの訴求力
スペック
ー マクラーレン720Sスパイダーのスペック

    字幕付き動画 フェラーリ488ピスタ・スパイダーに試乗 同カテゴリー内で最良

どんなクルマ?

バットレスにガラスを採用し後方視界を確保

新しく登場したマクラーレン720Sスパイダー。価格は23万7000ポンド(3436万円)。クーペの720Sから720Sスパイダーを作り出すに当たって、実は変更された部分はさほど多くはない。すでに一度試乗はしているものの、英国の道で確かめるのは初めてとなる。

このスーパーカーにまつわる注目すべき数字は沢山あるが、面白いのが12%というもの。ライバルモデルと比較してマクラーレンは安全面も充分に考慮しており、斜め後方の視認性がわずかでも向上することは、評価できるものだろう。新しくデザインし直されたドライバー背後に伸びるバットレスの一部には、透明なガラスが用いられているのだ。

そこを支点に展開するカーボンファイバー製のルーフは、センターコンソールのトグルスイッチを押すと作動。すべてのプロセスは11秒で完了する。またカーボンファイバー・モノケージIIと呼ばれるタブシャシーと一体になっていた、ルーフ中央の構造がなくなった。運転席に座ると上方に伸びていた骨格だから、明確にその違いが体感できる。

オープンなら325km/h、クーペなら341km/h

またドライバーの背後に折りたたみ式のルーフを収納することに合わせて、必要なメカニズムが収容され、ボディ構造が見直されている。結果、タブシャシーはモノケージII-Sと名前が改められているが、その極めて高い剛性は引き継がれている。

油圧式ではなく、8基のモーターを用いて静かに動作する、ルーフの開閉機構自体も注目に値する。650Sスパイダーが29km/hまでだったのに対し、720Sスパイダーでは49km/hまでなら走行中も開閉が可能になっている。

また軽量さも大きくは損なわれていない。タブシャシー自体への補強は特に不要だったとのことで、クーペと比較しての重量増は50kgに抑えられている。乾燥重量は1332kgだという。つまり、走行パフォーマンスの面では、クーペとスパイダーとでは大きな違いはないといえる。

0-100km/h加速に必要な時間はどちらも同じ2.9秒。0-200km/hに要する時間で見るとクーペの方が僅かにリードし7.9秒となっているが、その差は0.1秒だけ。スパイダーの場合、ヘッドルームが無限に広がっている状態の最高速度が325km/hへ制限されてしまうという点があるが、こんな数字を出せるのはドイツのアウトバーンでも限られている。それに、カーボンファイバー製の屋根を閉じれば、クーペと同じ341km/hを出すことができる。

確認はこれくらいにして、走り出してみよう。

どんな感じ?

4.0ℓV8ターボエンジンを体感できるシアター

ルーフを閉じてしまうと、走行パフォーマンスでクーペとの違いを実感することは難しい。しかしこれこそ、720Sスパイダーだけの唯一無二の特徴であり、ストロングポイントとなる。すべてのオープンエアを楽しめるライバルモデルは、クーペと同等のステアリング精度や機敏なボディコントロール性を備えていない。コーナリング時の即時的なレスポンスを得ることが難しいのだ。

車重が僅かに増えているから、路面状況が完璧ではない低速コーナーでは、スパイダーの方がアンダーステアが気持ち出やすい傾向にはあるだろう。しかしスパイダーは全般的に極めて正確に、フロントタイヤの強い感触を伝えながら、安定してカーブを曲がっていく。この点はまったく変わりがない。

720Sスパイダーではルーフを閉じたまま、バットレスの間のリアガラスをエンジンルームとキャビンとの間の隔壁に下げることが可能になった。これはクーペにはできない。このガラスを開くことで、マクラーレンが渾身のチューニングを施した4.0ℓV8ターボユニットの実際を体感できる、シアターになる。

8500rpmのレッドゾーンめがけて吠え立てるエンジンに、従来以上に激しく息継ぎをするターボの吸気音。激しくブレーキングすると、カーボンファイバー製のエンジンフードに滞留していた排熱と匂いまでもがキャビンの中に流入してくる。まさに全身でエンジンに浸ることができる。

これが洗練された体験かと聞かれれば、確かに違うとは思う。しかし、ドライバーと感情面でまで強い一体感を味わわせてくれるようなクルマの場合、これはひとつのポジティブ要素だと思う。

720psと78.3kg-mのフェスティバル

カーボンファイバー製のルーフを開けてみる。空恐ろしいほど速く、徹底的に磨き込まれた姿とは別の、720Sの側面が見え始める。最も強くその違いを感じたいのなら、両サイドのガラスを全開にして、パワートレインをトラックモードに合わせると良い。短いエグゾーストからは7速デュアルクラッチ・トランスミッションをシフトダウンさせる度に、華々しく破裂音を打ち鳴らしてくれる。

最高出力720ps、最大トルク78.3kg-mが生み出す、カオス的なフェスティバル。キャビンには強風が吹き荒れ、ドア横の景色が滑るように流れていくが、冷静で落ち着いたハンドリングが同在する。とても奇妙な体験ではあるが、間違いなく楽しい。

このマクラーレン720Sスパイダーのドライビングの幸福感と満足感を支えているのは、シャシーにある。どんな速度域でも乗り心地は良好で、それに対しての意識は運転中はほとんどしなくて済む。アクセルを踏み込めば、2秒以内に30km/h以上の加速を得られるから、常に欲しい速度が即時的に得られる。

ほとんど発生しないボディロールにも驚かされる。従来の650Sと比較して100mmもエンジンの搭載位置を低くすることに成功したマクラーレンのエンジニアの努力だ。クルマの力学的変化は瞬時に完了し、無駄な動きは完璧に抑え込まれている。

ミドシップのスーパーカーは往々にして、乗り心地で落ち着きに欠けている場合がある。タイヤに掛かる荷重が少ないためで、スプリンレートを下げることで改善させることができる。しかし720Sスパイダーのしなやかさは魅惑的といえるほど素晴らしい。

Eクラス・カブリオレのようにも流せる

ゆったりとシートに座って、流すことも造作ない。リアとサイドのガラスを上げて、クロスリンクされたサスペンションを最も柔らかい状態にすれば、車内の乱気流に苛つくこともなく、高速道路でのクルージングを楽しめるだろう。プロアクティブ・シャシーコントロールIIと呼ばれるサスペンションにはアンチロールバーは備わらず、ショックアブソーバーのフルードを任意に調整し、減衰力を変化させ、快適さを保ってくれる。

パワーデリバリーはエネルギッシュなままだが、アクセル操作さえ気を配れば、メルセデス・ベンツEクラス・カブリオレのように走らせることも可能だ。恐らくランボルギーニ・アヴェンタドール・ロードスターでは不可能な芸当だろう。

ご存知の通り、AUTOCARは720Sクーペがお気に入りだ。これまでも電動油圧パワーステアリングの素晴らしさについては詳しく紹介してきたし、優れた乗り心地や使い勝手の良さにも触れてきた。このパフォーマンスを備えたクルマとしては、肩を並べられるライバルはいないだろう。

スパイダーもその良さは変わらない。しかし、追加費用を払ってまでオープントップのスーパーカーを買うようなドライバーは、ハードトップのスーパーカーを買う層とは異なる優先順位を持っているはず。パフォーマンスだけでなく、優雅で気品あるエクステリアデザインも重要な要素となってくる。

その視点で見ると、残念ながらマクラーレンはフェラーリやランボルギーニと同等のドラマを提供してはいないといえる。一方で、マクラーレンのデザインは、スーパーカーとして過小評価されているようにも思える。これは数値化できる評価ではないが、エキゾチックなクルマとしては非常に大切な側面だ。

「買い」か?

揺るぎない720Sスパイダーの訴求力

フェラーリ488スパイダーは好敵手ではある。V8ツインターボは甘美なユニットだし、ハンドリングの遊び心もより大きい。オープントップのスタイリングも、マクラーレンを凌駕しているように感じる。どちらもクルマの性格としては似通っているが、それぞれの個性は強い。ランボルギーニ・アヴェンタドールSロードスターは、マクラーレンより4気筒多い12気筒エンジンを搭載するが、720Sよりもピュアで満足感の高いドライビングを味わわせてくれるわけではない。

新しいポルシェ911スピードスターという選択もワイルドカードでありかもしれない。直接的なライバルとなる関係ではないものの、ドライビングの味わいは濃厚で、その特別感あふれる仕上がりはセンセーショナルと呼べるほどだ。

だとしてもマクラーレン720Sスパイダーの訴求力は揺るぎないと思う。クーペとのパフォーマンスの差に憂慮するのなら、間違いなく720Sスパイダーが最有力となるだろう。

マクラーレン720Sスパイダーのスペック

■価格 23万7000ポンド(3436万円)
■全長×全幅×全高 4544✕1930✕1196mm
■最高速度 341km/h
0-100km/h加速 2.9秒
■燃費 8.2km/ℓ(WLTP複合)
■CO2排出量 276g/km(WLTP)
■乾燥重量 1468kg
■パワートレイン V型8気筒3994ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 720ps/7500rpm
■最大トルク 78.3kg-m/5500rpm
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ・オートマティック

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(AUTOCAR JAPAN リチャード・レーン)

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