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新型「アウディA6」は大人のオトコを虜にする、上質なシームレスさが魅力

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新型「アウディA6」は大人のオトコを虜にする、上質なシームレスさが魅力

Audi A6

アウディA6

GRスープラ 全グレードをテスト! それぞれ明確に異なるフィーリングで魅せる

「アウディA6」シリーズがフルモデルチェンジ

今回は短い試乗ではあったが、その完成度にはうっとりさせられた。これこそが現行アウディの真打ちか。アウディの新型A6は、大人のオトコを虜にするアッパーミドルセダン&ワゴンである。

今回試乗したのは、3リッターV型6気筒TFSI(340ps)に48V駆動のマイルドハイブリッド(MHEV)を搭載した最上級モデル。ちなみに2リッター直列4気筒TFSI搭載モデルは年内秋頃の導入を予定しているという。

8世代目に進化したアッパーミドルセダン

まずはセダンから話を進めていくが、最大の特徴となるのは、そのウルトラシームレスな乗り味の気持ちよさだろう。来るべき時代を睨んだパワーユニットのMHEV(マイルド・ハイブリッド・エレクトリック・ヴィークル)化は、既に昨年登場したA7/A8が先鞭を付けたものであり、取り立てて何が新しいというわけではない。 しかし、A6はボディ側の仕立てが素晴らしく、さらに制御も洗練されたのだろう、驚くほどにその静粛性が高い。

ゼロ発進からの加速ではアクセル開度を深めることなく、最大で60Nmのトルクを発揮するベルト式オルタネータースターター(BAS)が出足の良さを発揮する。そして7段のギヤを持つSトロニック(DCT)がそつない変速でスピードを乗せていく。いやBASの存在すらも気取らせず初速を付け、あっというまに駆動領域からコースティング領域へと入っていく。

驚くほどの静粛性能と省燃費性能を両立

コースティングレンジは最低速度が55km/hと低く、160km/hという高い速度域までこれをカバーする。アクセルを完全にオフにするとエンジンの運転が停まり、再びアクセルを踏み込めばリチウムイオンバッテリーから電力が供給され、クランクシャフトと直結したBASがエンジン回転をそのスピードレンジまで上げる。

ちなみに極低速域では車速が22km/hを下回るとエンジンストップ&スタート機能が作動。信号ストップからのゼロ発進時も、このBASがエンジンを始動させるから、実に静かである。

可変ダンパーとリヤステアが快適性能を底上げ

しかしA6はあまりにその走りが快適かつファン・トゥ・ドライブで、いつの間にかコースティングを意識することすらすっかり忘れてしまった。その大きな要因となっているのは、優れたダンピングを発揮するサスペンションと、リヤステアだ。試乗車にはオプションのドライビングパッケージが装着されていたのだが、特にその可変ダンパーが素晴らしい。

245/45R19サイズのタイヤはそれなりのエアボリュームでバウンスするが、その入力はサスペンションが短時間で柔らかく吸収する。その角の取れた入力の受け止め方には、思わずエアサスが投入されているかと思ったほどだった。スプリングが柔らかくとも過大なロールを感じなかった理由は、リヤステアの恩恵だろう。機能的には60km/h以下の低速領域だと最大で5度、それ以上の速度域では最大で1.5度前輪とは逆位相にタイヤをトーアウトし、回頭性を向上させるという。この電力供給もBASが行っている。

しかしこの4輪操舵すらも、A6は意識させない。A8やA7スポーツバックでわずかに感じた後輪制御は少なくとも日常領域の所作においては消し去られており、コースティング同様ドライバーは、ただただ自然に気持ち良くクルマを走らせるだけなのである。

意識させないといえばACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の制御も、さらに洗練を帯びていた。特に操舵制御は緻密で、実に微少な領域から静かに継ぎ目なくステアしてくる。

クワトロらしさは失われたが上質性はアップ

こうした運転が退屈かといえば、まったくそんなことはないから、いやになる。なぜならドライバーが走りたい! と感じ、アクセルを踏み込んだ瞬間からV6TFSIは瞬時に目を覚まし、スコーン! と突き抜けるからだ。命令されれば命令されただけのパワーを、それ以上でもそれ以下でもなく提供するロボタイズ感は、有能なコンシェルジュか執事のようで、男の支配欲を満たしてくれる。

オートモードを選んでおけばコーナーではダンパー減衰力が自動的に高まり、意識することはできないが前述した後輪操舵と共に、その回頭性を高めてくれる。コーナーにおけるロードホールディング感はソフトにしてリニア。硬さはないが限界は高く、A6のポジショニングを見事に表していた。

唯一残念な部分があるとすれば、新世代のクワトロがセンターデフ式ではなくなったことだろうか。後輪の駆動を多板クラッチで断続することによって燃費性能を少しでも上げることがその狙いだが、確かに後輪から押し出されるような、クワトロらしい蹴り出し感は薄れた。

ただ、A6全体としてはそのシームレスで大人っぽい走りになんら不満はなく、それ以上を求めるならばS6やRS6の登場を待てばよいのではないかと感じた。ジャーマンスリーで言えばそのパラメーターは、BMW 5シリーズよりもしっとり大人びており、メルセデスEクラスよりも軽やかな方向性。現状A6は、1000万円級のアッパーミドルサルーンとして実に素晴らしい1台へと仕上がっていた。

アバントの魅力は若々しいテイスト

セダンの完璧さもさることながら、アウディと言えば“アバント”。A6ベースの快速エステートは、どのようになっていたのか? その魅力をひとことで表せば、ずばり“若々しさ”だろう。

ワゴン形状のボディを取ったことで確実に剛性は落ちているはずで、さらにラゲッジ容量に対する要求も高いことからその足まわりは、セダンよりもやや硬めにセットされている。よってステアリングからはノイズ/バイブレーションが微かに伝わって来るが、乗り心地としては件(くだん)のダンピングコントロールが、上手に突き上げを吸収していた。そしてサスペンション剛性が上がったことからだろう、そのハンドリングが実にキビキビとしている。まるでA4のような感覚があり、運転が実に楽しい。

また試乗車には前後を別々にカバーするパノラミック・サンルーフがふたつ備わっており、電動シェードを開けた際の開放感が非常に高かった。後部座席は座面長がやや短く、張り出している形状に不満を持ったが、この光さす開放感があれば窮屈さは相殺される。春の到来を待ち焦がれるヨーロピアンのニーズを反映したサンルーフは、A6アバントのキャラクターをさらに若々しく演出していた。高い位置に広大なグラスエリアを設けてもハンドリングへの影響が感じられないのも素晴らしかった。

スタイリッシュなボディデザインが魅力

セダンに比べ断然スタイリッシュであることもアバントの魅力だろう。欲を言えば、アウディにはQシリーズがあるから、アバントはさらにスタイル方向へとリヤハッチまわりの造形を攻めてもよいと思う。たとえばボルボのように。しかし、それをしない愚直さもアウディらしさだといえば、頷けなくもない。室内空間を先代よりも広く取った影響もあり、1680リットルのラゲッジをこれ以上減らしたくなかったのかもしれない。なにせアバントは、A6の売り上げの半分を占めるというのだから。

塊感のあるボディには前後にキャラクターラインが走り、フェンダーの盛り上がりはクワトロの存在感を静かに主張する。濃紺のボディにシルバーのウインドウトリムが映える。 クラシカルな美しさをもった、魅力的なサイドビュー。A6アバントは、若さと質感の両方を備えた欲張りなエステートであった。

精密機械感は健在。大人っぽさとシームレス感を実装

もともとアウディはどの時代においても、ロボットのような乗り味が特徴的だった。精密機械を動かすかのようなライド感こそがクオリティの高さを表していると感じていたが、新型A6はそれを通り超して、さらに人間側へと近づいてきたと感じた。

大げさに言えばこれまでカクカク、キチキチと命令通りに動いていたサイボーグの仕草が、より人間らしくシームレスになったと言えばよいだろうか。ポリゴンで作られた3Dアニメーションの角が取れて、自然に動き出すかのような。映画『ターミネーター』で言えばT800(シュワルツネッガー)からT1000へと発展したような。そしてこうしたシームレス感は、e-tronを始めとした電動化によってさらに加速していくだろう。

相変わらず血が通った感じはしないのだが、それこそがアウディの魅力。対話型AI搭載ではメルセデスやBMWに遅れを取ったが、それを通り超してそのうち勝手にしゃべり出すのも時間の問題だと思える試乗であった。

REPORT/山田弘樹(Kouki YAMADA)

PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

アウディA6セダン 55 TFSI クワトロ S Line

(アウディA6アヴァント 55 TFSI クワトロ S Line)

ボディサイズ:全長4950 全幅1885 全高1430(1465)mm

ホイールベース:2925mm

トレッド:前1625 後1610mm

車両重量:1880(1930)kg

エンジン:V型6気筒DOHC インタークーラー付ターボ

総排気量:2994cc

圧縮比:11.2

最高出力:250kW(340ps)/5200 – 6400rpm

最大トルク:500Nm/1370 – 4500rpm

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:前後245/45R19

燃料消費率(JC08):12.3km/L

【車両本体価格(税込)】

アウディA6セダン 55 TFSI クワトロ S Line:1006万円

アウディA6アヴァント 55 TFSI クワトロ S Line:1041万円

【問い合わせ】

アウディ コミュニケーション センター

TEL 0120-598-106

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