現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 新型BMW X5 操縦感覚【試乗記】(AWD/8AT)

ここから本文です

新型BMW X5 操縦感覚【試乗記】(AWD/8AT)

掲載 更新
新型BMW X5 操縦感覚【試乗記】(AWD/8AT)

こんにちのSUVムーブメントがここまで盛況となった背景には、ファッション的な要素や実用面での使い勝手の良さ、日本市場ならば同じく背高のミニバンに慣れたユーザーのネクストチョイス、などがあったとみていい。

SUVでも駆けぬける歓びへのこだわり

シトロエン 空飛ぶ魔法の絨毯 C5 エアクロス SUV詳細解説

けれども、もうひとつ大事なことを忘れてはならないと思う。いくら格好良く見えたとしても実際にドライブしてみたら違和感があった、というのでは、SUVがここまで人気を博することなどなかったに違いない。

つまり、それまでクロカン四駆などと呼ばれてきた背の高い4WDワゴンの“ゆらゆら”とした走りが、まるでセダンのように“しゃきっ”となってくれたからこそ、ごく普通の乗用車ユーザーもSUVを選んでくれるようになった。

SUVがサルーンのように走る!特に大型モデルの場合、初代X5登場がその画期だった。SUVでありながら機敏なスラローム走行でさえこなすそのパフォーマンスには、当時、心底驚かされたものだ。間違いなくそこにも“駆けぬける歓び”があった。BMWが特に自社製のSUVのことをSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼んで、まったく新しいカテゴリーのクルマだと宣言したことにも納得できたものだった。

ゴージャスの極みというオーラ

初代の登場から早20年が経とうとしている。X5もこの新型で第四世代(G05)を迎えることとなり、すべての面でめざましい進化を果たしている。

日本仕様プレスカーの準備が整ったので、早速試してみることに。グレードはX5 xDrive35d Mスポーツだ。当面、日本市場へ導入されるモデルは、3.0L・直6DOHCディーゼルターボ(B57A30A型)を積む35dのみ。

待ち合わせ場所に現れた真っ白な新型X5は、さすがに旧型よりひと回りボディサイズが大きくなったというだけあって、ゴージャスの極み、といったオーラを放っていた。試乗と撮影の都合で山間のパーキングを待ち合わせ場所に選んだが、緑に囲まれた場所よりも都内のラグジュアリィホテルのほうがよっぽどお似合いだ。

なかでもホイールベースの延伸に注目したい。全長の延びが25mmながら、ホイールベースは40mmも延ばされた。これはさぞかし後席も広くなったことだろうとまずはリヤドアを開けてみれば、なるほど乗り込んだ瞬間から広さを感じる。足元も十分に広い。ちなみに室内スペースでいえば前席でもいっそうゆったりとした気分になれる。ラゲッジ容量も旧型より格段に増した。にもかかわらず車両重量に関しては減量できている。“走り”が要のBMWゆえ、燃費性能面もあわせて、そこだけは譲れなかったというわけだろう。

羨ましいポイントはこれ

それにしても、インテリアの豪華さにはエクステリア以上に目を見張るものがあった。実は集合場所まで最新の8シリーズで向かったのだが、ほとんど見劣りしなかった。それもそのはず、新型X5には8シリーズと同様に「BMWオペレーティングシステム7.0」が搭載されており、ダッシュボートまわりを中心としたコクピットの印象がほぼ同じ、だからだ。

それだけじゃない。派手過ぎず、かといって硬派に過ぎず、豪華さを演出しながらもスポーティさを忘れないという絶妙なバランスのデザインと、光り具合、見映え質感ともに上等なマテリアルの組み合わせもめっぽう上手くなったというほかない。特にシートのデザイン紋様がゴージャス!ひょっとすると旧型オーナーが最も羨ましく思う新型X5のポイントは、インテリアの見映えの良さかも知れないとさえ思う。

各種最新装備の搭載も羨ましいはずだ。なかでも運転支援システム(ADAS)に関しては、BMWが現在揃えているアイテムを惜しみなく積み込んだ。もろもろあるメニューのなかで、個人的に最も“使ってみたい”、というか“これは助けられそう”だと思ったのが、3シリーズで話題になったリバース・アシスト機能だ。車両がその直前に前進した最大50m分のルートを記憶しており、正確にバックで辿り返すことができるというもので、突き当たり路地の多い京都(筆者の自宅がある)では、大きなクルマゆえ重宝しそうだ。

とはいえ、BMWの魅力といえば、皆さんもご存知の通り、“乗ってナンボ”。ちょうど頃合いのワインディングルートもあったので駆け抜けてみることに。

ワインディングでの驚き

35d MスポーツにはX系で初となる四輪アダプティブエアサスペンションを組み合わせている。まずはコンフォートモードで一般道へと繰り出す。“快適”というだけあって、さすがにクルマのサイズをめいっぱい楽しむといったドライブフィールだ。実におおらかで、気分もゆったり。その上、車内は至って静かだから、ディーゼル車に乗っていることなど速攻で忘れてしまった。そして次第に見下ろす世界(実際まわりのほとんどのクルマを見下ろしている)の忙しさを鼻で笑えるような気持ちになっていく。落ち着いて、ゆっくり進みたいときにこそ選びたい。

峠道が近づいてきたので、スポーツモードに切り替えてみた。するとどうだ。まるでアスリートの筋肉が盛り上がりをみせたかのように、車体が引き締まったじゃないか。それはもうはっきりと、隅々まで力が漲ったという感覚がある。そうなれば俄然、積極的なドライビングを楽しみたくなるというのがBMW好き的人情だ。

上りのワインディングロードをぐんぐん駆け上ってゆく。6気筒ディーゼルの魅力は何といってもその加速のスムースさと力強さにある。トルクの波にのっていく感覚もさることながら、エンジンフィールだってクルマ運転好き好みで悪くない。

アクセルペダルの踏み込みに巨体が弾かれたかのように反応する様子も素晴らしい。速度がある程度のってくれば、もうボディサイズや重量のことなどすっかり忘れてしまえる。否、ひとサイズ小さなSUVを操っている感覚にさえなった。

前輪を思い通りの場所に常にもっていける、という操縦感覚は、最新BMWに共通する美点だ。ステアリングホイールを握った手からフロントタイヤまでがよどみなく繋がっているというフィールが頼もしい、どころか清々しい。もちろん、そこからの旋回は自ら望んだラインを正確になぞっていくもので、これぞ“駆けぬける歓び”というものだろう。

ドライバーズカーを味わう

撮影を終えて、こんどは高速道路を使って都心に向かった。最新の運転支援ADASの各機能はとても頼もしく、加減速の滑らかさやレーンキープ力の気持ちよさは正に日進月歩。新しいモデルであればあるほどに上手になっていく。もちろん、アシストなどに頼らずとも道をクルマがよく知るかの如く乗り手をリラックスさせながら突き進む様は、やはり一流のドライバーズカーであった。

オフロード?その楽しみはオーナーのシアワセのためにとっておこう。<文:西川淳/Jun Nishikawa 写真:小河原認/Mitomu Kogahara>

【価格(税込)】

  • BMW X5 xDrive35d Standard:920万円
  • BMW X5 xDrive35d M Sport:999万円(試乗車)
【試乗車諸元】

  • エンジン:3.0L・直列6気筒ディーゼル・エンジン(B57A30A型)
  • トランスミッション:8速AT
  • 最高出力:265ps/4000rpm
  • 最大トルク:620Nm/2000-2500rpm、0-100km/h加速:6.5秒
  • 燃費:WLTCモードで11.7km/L
  • ボディサイズ:全長4935mm×全幅2005mm×全高1770mm×ホイール・ベース2975mm
  • 車両重量:2190kg
マニアック評価
「駆けぬける歓び」を深掘り

BMW X5 関連記事
BMW X5 関連記事
BMW 公式サイト

こんな記事も読まれています

845万円のトヨタ「超すごいヤリス」発売! 斬新デザインの反響は? 各100台限定の進化した“GRヤリス”展示も
845万円のトヨタ「超すごいヤリス」発売! 斬新デザインの反響は? 各100台限定の進化した“GRヤリス”展示も
くるまのニュース
美しいフレームラインで構成された電アシ「ZORO.」 CYCLE MODE TOKYO 2024/名古屋MCSに出展
美しいフレームラインで構成された電アシ「ZORO.」 CYCLE MODE TOKYO 2024/名古屋MCSに出展
バイクのニュース
【MotoGP】ヤマハで適応道半ばのアレックス・リンス、クアルタラロとは「なにか違うこと」が必要と実感
【MotoGP】ヤマハで適応道半ばのアレックス・リンス、クアルタラロとは「なにか違うこと」が必要と実感
motorsport.com 日本版
メルセデスAMG『G63』に改良新型、585馬力ツインターボを電動化
メルセデスAMG『G63』に改良新型、585馬力ツインターボを電動化
レスポンス
ENEOSなど3社、EVのバッテリー交換ステーションを京都に開設 最短5分で交換
ENEOSなど3社、EVのバッテリー交換ステーションを京都に開設 最短5分で交換
日刊自動車新聞
ルノーはベストセラーモデルに新風を吹き込む 新型「クリオ」の全情報とドライビングインプレッション!
ルノーはベストセラーモデルに新風を吹き込む 新型「クリオ」の全情報とドライビングインプレッション!
AutoBild Japan
伊豆縦貫道「最南端区間」開通で「25分短縮」も!? 全通まで大詰め 河津~下田の「危険な山道」解消から1年「驚きの効果」とは
伊豆縦貫道「最南端区間」開通で「25分短縮」も!? 全通まで大詰め 河津~下田の「危険な山道」解消から1年「驚きの効果」とは
くるまのニュース
フォルクスワーゲン・グループ 自動運転、自律走行分野でモービルアイとの協力関係強化により、高レベルな機能へ加速
フォルクスワーゲン・グループ 自動運転、自律走行分野でモービルアイとの協力関係強化により、高レベルな機能へ加速
Auto Prove
2月の新車販売ランキングで軽はN-BOXだが登録車はカローラシリーズが1位! まだまだ「潜在顧客」の多いカローラが2024年は勢いを増す予感
2月の新車販売ランキングで軽はN-BOXだが登録車はカローラシリーズが1位! まだまだ「潜在顧客」の多いカローラが2024年は勢いを増す予感
WEB CARTOP
トヨタ新型「ランクル“ミニ”」はどんなモデルに!? コンパクト×カクカクの「本格SUV」登場へ! 待望の「新ランクルシリーズ」とは
トヨタ新型「ランクル“ミニ”」はどんなモデルに!? コンパクト×カクカクの「本格SUV」登場へ! 待望の「新ランクルシリーズ」とは
くるまのニュース
ヤマハ「NIKEN GT」 2024年4月21日をもって受注を終了
ヤマハ「NIKEN GT」 2024年4月21日をもって受注を終了
バイクのニュース
ドライブ中の突然の曇り問題にサヨナラ! DIYでウインドウ曇り防止 ~Weeklyメンテナンス~
ドライブ中の突然の曇り問題にサヨナラ! DIYでウインドウ曇り防止 ~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
アウディ A4/A4アバント/A4 オールロードクワトロ【1分で読める輸入車解説/2024年現行モデル】
アウディ A4/A4アバント/A4 オールロードクワトロ【1分で読める輸入車解説/2024年現行モデル】
Webモーターマガジン
SHOEI「グラムスター アバイディング」登場! 普遍のアメリカンスポーツをイメージしたグラフィックモデル
SHOEI「グラムスター アバイディング」登場! 普遍のアメリカンスポーツをイメージしたグラフィックモデル
WEBヤングマシン
全米最大の自動車取り扱いボルティモア港で貨物船が橋脚に衝突!! 前代未聞「橋の崩落事故」で日本の自動車メーカーへの影響は!?
全米最大の自動車取り扱いボルティモア港で貨物船が橋脚に衝突!! 前代未聞「橋の崩落事故」で日本の自動車メーカーへの影響は!?
ベストカーWeb
大波乱の軽乗用車市場、3カ月連続の前年割れ!(SUV除く軽自動車販売TOP15・2024年2月)
大波乱の軽乗用車市場、3カ月連続の前年割れ!(SUV除く軽自動車販売TOP15・2024年2月)
カー・アンド・ドライバー
日産が新型「小さな高級車」世界初公開! 全長4.3m級で「クラス超え上質内装」採用! “高級スニーカー”な「新型キックス」 特徴は?
日産が新型「小さな高級車」世界初公開! 全長4.3m級で「クラス超え上質内装」採用! “高級スニーカー”な「新型キックス」 特徴は?
くるまのニュース
ポルシェ新型「パナメーラターボEハイブリッド」受注開始 最高時速315km 680馬力のスーパーセダン 気になる価格とは
ポルシェ新型「パナメーラターボEハイブリッド」受注開始 最高時速315km 680馬力のスーパーセダン 気になる価格とは
VAGUE

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1198.01520.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

46.01058.0万円

中古車を検索
X5の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1198.01520.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

46.01058.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村