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試乗 ジャガーXE P300 R-ダイナミック 2020年トップグレードは2.0ℓ4気筒ターボ

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試乗 ジャガーXE P300 R-ダイナミック 2020年トップグレードは2.0ℓ4気筒ターボ

もくじ

どんなクルマ?
ー 伸び悩むジャガー製サルーンの売れ行き
ー 欧州規制に適合するディーゼルエンジン
どんな感じ?
ー 引け目を感じないインテリア
ー 2.0ℓの4気筒ターボがトップグレードに
ー 楽しさに溢れたハンドリングは従来どおり
「買い」か?
ー XEの新しいベストはディーゼルか
スペック
ー ジャガーXE P300 R-ダイナミックSのスペック

長期テスト ジャガーXE(1) 第一印象、作り込まれた良いクルマ

どんなクルマ?

伸び悩むジャガー製サルーンの売れ行き

英国のジャガーという自動車メーカーは、4ドアサルーンとの関わりが極めて深く、サルーンなしではこのブランドの存続は難しいとさえ思える。英国のジャガー本社には非常に多くのプロダクト戦略を練るスタッフが在籍し、その将来を今も思案しているはず。


そこで気になるのが、ジャガーのトラディショナルなエグゼクティブ4ドアサルーンの商売は、近年あまり芳しい状況だとはいえないこと。強みを伸ばすために、コストを削減しつつ人気のあるクルマに予算を割いていきたいところながら、現行のXEやXF、XJの売れ行きは、素直に予算を回せるほど良いわけではない。むしろいくつかのモデルを合理化させて、将来のラインナップを見直す可能性すら考えられる。


1960年当時、ワールドクラスの4ドアサルーンとして評価を得てきたXJやmkIIを生産していたジャガーだが、近年はドイツ勢を中心とする強力なライバルとの勝負にあえて挑んでいるような状態にある。厳しい勝負であることは違いなく、大きな損失を招く状態をも生み出してしまっているのだ。


具体的に見ていくと、現行のXJが昨年売れた台数はわずか5000台。2015年にリリースされたXEは評判を集めたが、ひと回り大きな兄貴分、XFの販売台数を分け合ったに過ぎず、XEとXFを合わせた2018年の全世界での販売台数は、3万台に留まっている。どちらも楽観視できるほどの数字とはいい難い。

欧州規制に適合するディーゼルエンジン

このような状況の中で、今回試乗するのは英国・ゲイドンの本社が発表した、XEの2020年モデル。自信に満ち溢れた雰囲気を漂わせる最新のコンパクト・エグゼクティブ・サルーンは、市場での人気を獲得することができるのだろうか。もちろん、2018年に40万台近くを販売しているメルセデス・ベンツCクラスのように、台数を稼ぐことはないとは思う。


しかし、もし年間5万台を売り上げることができれば、ジャガーのモデルラインナップから消えることは避けられるのではと、想像する。その販売台数を実現するべく、モデルライフ中期に施されたアップデートの内容は、しっかり吟味されているようだ。


特に180psを発生する2.0ℓのインジニウム・ディーゼルエンジンは、欧州の「RDE2(Real Driving Emissions Step 2)」と呼ばれるNOx規制に合致するようになったことが、非常に重要なポイントだといえる。XEでも重要な位置を占めるディーゼルエンジンモデルのうち、ビジネスユーザーは4%の税金割増しを回避することができるのだから。一方でライバルモデルは、すべてRDE2の適合を通っていないから、大きなアドバンテージとなるだろう。


アピアランスの変更は、ヘッドライト周りやバンパーなどのデザインが変更された程度だが、今回のフェイスリフトで視覚的な大きな変化を受けているのは、インテリアにある。大きな予算が注ぎ込まれたことは明らかで、前期モデルの最大の弱点を克服した格好となる。その仕上がりを確かめてみよう。

どんな感じ?

引け目を感じないインテリア

フェイスリフトを受けたXEの車内は、ソフトタッチな素材が使われている部分が増え、ウッドパネルも上等なものになり、センターコンソールやステアリングホイールのデザインも新しくなった。オプションとはなるものの、ジャガーiペースやレンジローバー・ヴェラール、イヴォークなどに採用されているものに似た、タッチプロ・デュオと呼ばれるインフォテインメント・システムのモニターも、ダッシュボードにレイアウトできるようになった。


これらが組み合わさって、車内の雰囲気は大きく生まれ変わっており、テクノロジーの面での洗練性とラグジュアリーさを上質に表現できている。このクラスをリードするドイツ勢のインテリアと、大きな引け目を感じることもなくなったと思う。


従来のXEの車内は、安価な素材感に悩まされてきたし、アルミニウム製のシフトパドルや金属質なコラムレバー、Fタイプに使われているようなシフトノブなど、分かりやすい装備も採用されていなかった。正直、アウディA4やメルセデス・ベンツCクラスなど、インテリアの質感で秀でたクルマと並ぶことは難しかったし、アルファ・ロメオ・ジュリアとも異なる雰囲気で、安っぽい印象は拭えなかった。しかし、それが様変わりしたのだ。


また、横方向の余裕が生まれるようにドア内張りのデザインも新しくなり、身長にもよるが、肘周りや膝周りが窮屈に感じることはなくなっている。フェイスリフト前は、もう少し広ければ、と思っていたひとも少なくないだろう。ただし、前席のヘッドルームはやや不足気味なままだし、後席は小柄な大人か子供でない限り、心地良くは感じられないことにも変わりはないけれど。

2.0ℓの4気筒ターボがトップグレードに

もうひとつ注目するべきは、今回のフェイスリフトに合わせて、XEのモデルレンジからエンジンのラインナップが減らされていること。かつて6種類だったものが3種類に減らされ、排気量は大きくても2.0ℓまでで、シリンダーの数は4本に統一されてしまった。その中で2020年版XEのトップグレードとなるのが、今回われわれが試乗したP300。300psを発生する2.0ℓ4気筒ガソリンエンジンに4輪駆動が組み合わされている。


新しいトップグレードは、かつてのスーパーチャージャーで過給されたV型6気筒エンジンに後輪駆動が組み合わされた、XE Sとは異なる仕上がりになっているのは明確。そのXE Sは、数年前にわれわれの高い評価を受けたグレードで、腕利きのドライバーたちからの支持も集めていたクルマだった。


トップグレードに押し上げられたP300のエンジンには、狙って調律された唸り声を持たされているが、豊かな味わいやスムーズさという点ではV6エンジンに劣っている。クルマとしてのパフォーマンス・レベルは充分に高いものの、突出しているわけでもない。


ライバルとなるBMW 330iは、スペック上ではXE P300より40psほど劣るものの、一般道での速さは同等だと思うし、アルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェの方が僅かに速いと思う。どちらのライバルも、車重が軽いことが理由となってくる。

楽しさに溢れたハンドリングは従来どおり

加えて、XEが4輪駆動であることと、冴えない8速ATが、ドライビングの喜びをスポイルしている要因になっている。特にオートマティックは、マニュアルモードでの操作時の反応がやや鈍く、オート状態でも優柔不断で、思い描いた段数を選んでくれないことがあるし、変速自体のフィーリングもラフでどこかぎこちない。それが原因で、クルマのあらゆるレスポンスがわずかだがヌルくなり、より積極的に走らせたいという思いと、噛み合っていないように感じられる。なにか不自然な力が及んでいるように。


一方で、滑らかでバランスに優れ、楽しさに溢れたハンドリングも変わらない。パワートレインでライバルには至らない部分があっても、ツイスティな郊外に伸びる道を、夢中になって運転できるドライバーズカーだと思う。アルファ・ロメオ・ジュリアと比べると、フィーリングはやや重厚で柔らかく、反応もやや不自然なところがある反面、しなやかでフィードバックが濃く、ハンドリングの特性も漸進的。クルマをより意のままに走らせることができる。


この4輪駆動システムは限界付近でのハンドリングバランスでは、かつてのXE Sが備えていた甘美さには届いていないように思える。しかし、多くのドライバーにとっては高められたトラクションと安全性に、充分納得できるはずだ。


XEの実世界での燃費にも触れておこう。一部かなり飛ばした区間も含めて、様々な走行パターンを試した結果として、8.8km/ℓに留まっている。古いV6エンジンを積んだ「S」並の良好とはいえない数字だが、この手のハイパワーサルーンだから、それほど燃費が重視されることもないかもしれない。

「買い」か?

XEの新しいベストはディーゼルか

XEのトップグレードとなるP300のドライブトレインにはいくつかの理由でがっかりさせられたが、その反面、平均的なユーザーにとっては、従来以上に購入候補の選択肢の上位に食い込んでくる実力を備えたといえるだろう。


確かに気になる点もあるし、もっとパワフルであっても良いとは思う。それでもXEは、毎日の運転をずっと素晴らしい雰囲気のものに変えてくれる力を持っているはずだ。その理由は、上質になったインテリアと新しくなったディーゼルエンジンの組み合わせにある。今回は叶わなかったが、近い内にディーゼル版のXEのレポートもお届けしたいと考えている。


XEを取り巻く状況は、外的にも内的にも厳しくなっていることは違いないが、ジャガーのエグゼクティブ・ジュニアが、まだ消えてしまうと決まったわけではない。

ジャガーXE P300 R-ダイナミックSのスペック

■価格 4万1005ポンド(594万円)
■全長×全幅×全高 4672×1850×1416mm
■最高速度 249km/h
0-100km/h加速 5.7秒
■燃費 10.8~11.8km/ℓ(WLTP複合)
■CO2排出量 -
■乾燥重量 1615kg
■パワートレイン 直列4気筒1997ccターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 300ps/5500rpm
■最大トルク 40.7kg-m/1500-4500rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

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