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アウディ、ポールスター、シトロエン、VW、フィアット、電動化に注力する欧州メーカーの狙い

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アウディ、ポールスター、シトロエン、VW、フィアット、電動化に注力する欧州メーカーの狙い

 スーパースポーツとともに、2019年のジュネーブ・モーターショーで目立っていたのが電動化自動車。今回のジュネーブで世界初公開された“ポールスター2”や、昨年の秋に発表されたメルセデス・ベンツMQC(写真下)やアウディeトロンといったブランニューの電気自動車専用モデルが数多く出展され、注目を集めていた。さらにピュアEVだけでなくプラグインハイブリッド、いわゆるPHEVのニューモデルが多数輩出されていたのも今回の特徴と言えるだろう。

 ピュアEVやPHEVの増加は2021年に現在の130g/kmから95g/kmへと強化される二酸化炭素排出ガス規制への対策に因るところが大きい。この規制は罰則を伴うため、どこのメーカーも排出量をなんとか95g以下に抑えたい。そのためには電気の力が必要なのだ。規制に対して有利なのはPHEVよりもピュアEVだが、二酸化炭素の量は“二酸化炭素排出量×販売台数”でカウントされるため、いくら二酸化炭素の排出量が少ないクルマを作っても、売れなければ何の意味もない。そこが各メーカーで戦略が分かれている大きな要因でもある。

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 今回のジュネーブ・モーターショーで電動化へのアピールで入っていたのはアウディ。ひな壇に3台のピュアEVを並べるだけでなく、プレスデイではブース内をすべて電動化モデルで埋め尽くすなど、電動化への積極な取り組みをアピールしていた。

アウディ

 そんなアウディの目玉は“Q4 eトロン・コンセプト”。コンパクトサイズのSUV型電気自動車で、2019年春から欧州でのデリバリーが開始されるアウディ初の量産型ピュアEV、“eトロン”よりひと回り小さい。既存のモデルと比較すると、全長は若干短いものの“Q5”に近いサイズだ。前後に1つずつ、計2つのモーターを積んだ4WDで、フロントモーターの出力は102ps、リアモーターの出力は204psで、システム総合出力は306ps。82kWhのリチウムイオン電池を床下に積み、欧州で新たに採用された燃費測定法のWLTPサイクルでの航続距離は450kmを誇る。アウディ第5のピュアEVとして2020年末市販化される予定だ。

 派手な擬装のラッピングが施されているのは“アウディeトロン・スポーツバック”。eトロンをベースにしたSUVクーペスタイルのピュアEV。プラットフォームをはじめ、中身は基本的にeトロンと同じ。2019年後半には市販モデルがお披露目される予定だ。

 “eトロンGTコンセプト”は2018年11月のロサンゼルスモーターショーでデビューしたセダンタイプの電気自動車。2019年秋に登場するポルシェ初のEVスポーツモデルの“タイカン”の兄弟車で、A7スポーツバックをさらにスポーティに仕上げたようなデザインはかなりカッコいい。PPEと呼ばれるポルシェと共同開発した電気自動車専用プラットフォームを使用する。

 どうやらアウディは今後、電気自動車を中心にポルシェとの関係を深めていくようだ。前後に2つのモーターを搭載し、システム最高出力は590ps。0‐100km/h加速は3.5秒。これは新型ポルシェ911カレラSと同等のタイムとなる。2020年内に正式発表されたのち、翌2021年にはデリバリーが開始される予定。



ポールスター

 ポールスターは2018年に初めてジュネーブ・モーターショーに参加したボルボの電気化専用ブランド。2回目の2019年は、前回の“ポールスター1”に続く第2弾、“ポールスター2”を出展した。ポールスター1がクーペタイプの高性能PHEVだったのに対し、ポールスター2はコンパクトセダン・ボディを持つピュアEVとなる。そのコンセプトや性能を見る限り、テスラのコンパクトセダン、“テスラ3”を強く意識したクルマであることは想像に難くない。

 プラットフォームはボルボXC40などに用いられている“CMA”の改良版で、前後に1つずつ計2つのモーターを積み4輪を駆動。システム総合出力は408ps/660Nmで、0-100km/h加速は5秒以下というから、加速性能はポルシェ718ケイマンを凌ぐ。78kWhのリチウムイオン式電池により航続距離は最大500km。価格は3万9900ユーロ(=約500万円)~。ただし、最初の1年は5万9900ユーロ(=約750万円)の“ローンチエディション”のみとなる。販売はインターネットのみというところも、ちょっとテスラっぽい。生産拠点は中国で、2020年初頭から製造が始まる予定だ。

シトロエン

 フランスのシトロエンが発表した電気自動車はシティコミューターの未来像を描いたコンセプトカー、“アミ・ワン・コンセプト”。かつて1960年代から70年代に掛けて販売されたシトロエンのコンパクトカー“アミ”の名が付けられたこのクルマは、バスや電車といった公共機関や自転車やスクーターなどの個人向け移動手段に替わるとして企画された。最高速度を45km/hに抑えることで、フランスなどの欧州では原付免許で運転できるカテゴリーに照準を合わせているのがポイント。全長2.5m、全高1.5mの超コンパクトボディで2名乗り。都市型の移動手段と割り切っているので航続距離は100kmと短い。

フォルクスワーゲン

 ジュネーブショー開幕後に10年後の2028年までにグループ全体で2200万台の電動化モデルを販売するという大きな目標を掲げたフォルクスワーゲン。その戦略において軸となるのが“ゴルフ”サイズの電気自動車、“ID.”である。残念ながら正式発表は2019年秋で、今回のジュネーブには出展されなかったが、ID.と同じ電気自動車専用のモジュラープラットフォーム“MEB”を用いたコンセプトカー“ID.バギー”が出品された。

 1960年代にアメリカ・カリフォルニアで流行った初代“ビートル”ベースの“デューンバギー”がモチーフ。屋根もドアもないボディは全長4063mm×全幅1890mm×全高1463mmで、ホイールベースは2650mm。18インチの大径タイヤにより最低地上高は240mmに及ぶ。204ps/310Nmのモーターはリアに搭載され後輪を駆動。床下に敷き詰められた62kWhのリチウムイオン電池により航続距離は250km。このまま市販されるかどうかは微妙だが、フォルクスワーゲンはライバルメーカーをはじめとする他企業にMEBプラットフォームを提供する用意があるようなので、もしかしたら、どこかのコーチビルダーがデューンバギーを復活させてくれるかもしれない。



フィアット

 FCAのCEOとして手腕を発揮していたセルジオ・マルキオンネ氏を失ってから初のジュネーブ・モーターショーを迎えたフィアットはコンパクトな電気自動車のコンセプト“フィアット・テェントヴェンティ・コンセプト”を発表した。初代“フィアット・パンダ”がモチーフで、シンプルかつおしゃれなデザインが特徴となっている。リアのテールゲートには液晶パネルが備わり、ビルボードとして機能させることで走りながらにして収入が得られるとフィアットは言う。



取材・文/編集部 撮影/望月浩彦

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