プレステージ性を高め迫力を増したルックス
あくまでマイナーチェンジゆえ、ボディサイズやプロポーションに大きな変更はない。ところがルックスは、全面改良を受けたと聞いても疑わないほどに大胆な変貌を遂げた。
【試乗】新型デリカD:5は走り激変! フルモデルチェンジを名乗らないのが不思議なほどの進化を体感
フロントでは三菱の新世代デザインを表す「ダイナミックシールド」を採用しつつ、縦型ヘッドライトを組み合わせて迫力がアップ。リヤコンビランプは従来型の面影を残すものの、S字型のテールライトを組み込むなど洗練性が高められている。
新設定のアーバンギアには専用の外装パーツを装着。前後バンパーやドアガーニッシュがエアロタイプとなるほか、テールゲートガーニッシュがクリアタイプとなり、都会でも映えるルックスに仕立てられた。
ボディサイズは従来型と比べて10mm長く、5mm高くなったが、5.6mの最小回転半径は変わらない。最低地上高は従来型の210mmに対して185mmになったが、ロードクリアランスは十分なレベルにある。悪路走破性に寄与するアプローチ&ディパーチャーアングルも標準仕様で20度以上を確保。悪路も走れるミニバンというデリカD:5の美点は健在だ。
ヘッドランプは内側がハイビームで外側がロービーム。その下にウインカーとフォグランプを配置。最上部の薄型ポジションランプはグリルに連なるデザインを採用する。
S字型のテールランプには上部にウインカー、下部にブレーキランプを組み合わせる。リバースランプはその内側のテールゲートガーニッシュ内に組み込まれた。
ターンランプ付き電動格納式リモコンドアミラーを全車に装着。Pグレードとアーバンギアはメッキカバーが装着される。
ドアミラーカバーと同様、アウタードアハンドルもPグレードとアーバンギアはメッキ仕上げ。ほかはボディ同色となる。
衝突被害軽減ブレーキシステムなど、最大6つの機能で構成される運転支援システム「e-Assist」は全車に標準装備。
テールゲートスポイラーはエンジンフードエンブレムとセットまたは単体で、ディーラーオプション設定される。
ホイールはD:5のMグレードを除く全車に切削光輝仕上げの18インチ(タイヤサイズは225/55R18)を装着。アーバンギアは専用デザインを採用。Mグレードのみ16インチ(タイヤサイズは215/70R16)を装着。タイヤは全車マッド&スノー仕様だ。
オールラウンドミニバンにふさわしい機能性や美しさを表現
新型のインテリアは、運転するうえでの機能性とゆとりの向上が図られた。三菱が「ホリゾンタルアクシス」というコンセプトを掲げるインパネデザインは、ダッシュボードが水平基調でまとめられ、運転中の車両姿勢の変化が掴みやすくなっている。ワイド感を高めたインパネは前傾させることに加えて、フロントピラーの断面をスリム化させてグラスエリアを拡大。これらにより明るく開放感の高い視界が確保されている。
全車で本革巻き仕様が標準となるステアリングホイールやシフトノブ、そして高い品質感を持つ各操作系などにより、洗練性の高いコックピットを実現した点も新型の大きな特徴と言える。
インパネのデザインは水平基調。ワイド感を強調するとともに、前傾させることによって居住空間を拡大させたほか、フロントピラー断面をスリム化させてグラスエリアを拡大。明るく開放感の高いコックピットを実現している。
ステアリングホイールのセンターパッドには各種操作スイッチを配置。右側はクルーズコントロールや安全機能装備の設定変更などが、左側ではAVやハンズフリーの設定が行なえる。パドルシフトは全車に標準装備される。
運転席ドアパネルにはドアミラーの調整ボタンのほか、パワーウインドウスイッチを配置。パワーウインドウは4カ所すべてがオート式となっている。
メーターは2眼式で常時照明点灯タイプのハイコントラスト仕様。右側の速度計、左側の回転計の間に設けられたマルチインフォーメーションディスプレイでは、運転支援機能の作動表示に加えて、トリップメーターや平均燃費、アイドリングストップの積算時間といった各種車両情報がわかりやすく表示される。
シフトノブを配置するセンターパネルも質感の高さが際立っている。このスペースには空調ボタンのほか、駆動方式を選ぶダイヤル式セレクター、電動パーキングブレーキ&ブレーキオートホールドのスイッチなどが並ぶ。
10.1型のモニターを組み合わせるデリカD:5オリジナルナビゲーションシステムが全車にオプションで設定。
マルチアラウンドモニター付き自動防眩ルームミラーはPに標準。その他グレード(M除く)はオプション設定される。
運転席&助手席にはバニティミラー付きのサンバイザーが全車に標準で備わる。バニティミラーは照明付きで、蓋にはチケットホルダーを組み合わせる。
前席頭上にはルームランプ用スイッチに加えて、前席用読書灯スイッチを配置。その手前側には開閉式のサングラスホルダーが設けられている。
インパネやインナードアパネルにあしらわれるデコレーションパネルは、D:5にはブラウン系のサバ杢が、アーバンギアにはブラック系のバール杢が用いられている。モダンでハイクラスなキャビン空間の演出に大きく貢献しているアイテムだ。
D:5
D:5アーバンギア
3列すべてのシートでくつろげる空間を確保
3列目シートまですべての乗員がくつろげ、快適に移動できる空間が確保されているのは、従来型から受け継ぐ特色だ。
新型ではファブリックシートのデザインが一新。座面と背もたれに動きのある幾何学柄があしらわれ、力強さと躍動感が表現されている。この幾何学柄部分は凹凸のあるラミ付きエンボス加工が施され、丈夫で上質な仕立てが特徴だ。
エアコンは左右独立温度コントロール式のフルオート仕様を全車に標準装備。2/3列目用の吹き出し口を備えた後席用のマニュアルクーラーと合わせて、快適な環境が整う。
2列目シートがキャプテン仕様となる7人乗り。前席は内側に、2列目シートには両側に折りたたみ式のアームレストが備わる。シート表皮は全車ファブリックが標準。シートカラーはD:5がブラックとベージュの2色から選択でき、アーバンギアはブラックのみとなる。
7人乗り
前席 2列目 3列目
2列目シートが3人がけのベンチタイプとなる8人乗り。2列目シートは6対4の分割スライドおよび可倒機構が備わる(3列目シートは7人乗りを含めて5対5の分割可倒機構付き)。また2列目シートには折りたたみ式のセンターアームレストが装備されている。
8人乗り
前席
2列目
3列目
最低地上高が185mm確保されていることから、乗り込み口はSUVのエクリプス クロス(前席440mm/後席455mm)よりも高い設定となる。だが、前後ドアともにピラー部内側にアシストグリップが備わり、快適な乗降をサポートする。
前席用のアシストグリップはフロントピラーの内側に配置。ピラーにはSRSエアバッグが内蔵されている。
運転席パワーシートはGパワーパッケージ以上に標準装備。その他のグレードは手動のハイトアジャスターが付く。
運転席&助手席のシートヒーターもGパワーパッケージ以上に標準装備。その他のグレードにはオプションで設定される。
室内を華やかに演出するルーフビームガーニッシュ(天井照明)は最上級のPグレード専用装備。その他のグレードではオプションでも装備できない。天井中央部には全車、後席用マニュアルクーラーのコントロールスイッチが備わる。
豊富な収納スペースで使い勝手の高さが光る
大胆なフロントマスクを採用するなど、大きな改良を受けた新型だが、荷室のアレンジや豊富な収納スペースなど、使い勝手のよさは従来型から受け継がれている。
シートアレンジは基本的に従来型を踏襲している。3列目は両脇に跳ね上げることが可能。2列目は左右分割でスライドできるほか、座面だけをチップアップさせて前方へスライドさせれば荷室空間をさらに広げられる。さらに前席&2列目または2/3列目の背もたれを倒したフルフラットモードも設定され、あらゆる使い方に対応する。収納スペースやドリンクホルダーは新型でも豊富に設置されている。
3列目シートは左右個別に跳ね上げられ、2列目シートは左右個別にスライド&座面チップアップが可能。従来型同様に、新型も荷室乗車人数や荷物の量・形状に合わせて多彩なアレンジを実現する。2列目シートの座面をチップアップさせ、前方にスライドした荷室最大長は1.6m近くにおよぶ。そのほか、前席&2列目または2&3列目のシートバックを倒したフラットモードは車中泊などに便利だ。
2列目シートの座面は左右個別にチップアップが可能。前席の直後に高さのある荷物が積めるほか、その状態で前方にスライドさせれば荷室容量をさらに拡大できる。
荷室のアンダーフロアにはパンク修理キットやジャッキなど、各種車載工具が収納されているほか、排気ガス浄化システム「尿素SCRシステム」の尿素水(AdBlue)タンクが搭載されている。AdBlueの補充はこちらから行なう。
インパネ助手席側のグローブボックス。雑誌や小物が収納できるスペースを確保。助手席足もとには車検証入れが収められるアンダートレイを設置する。
センターパネル下部には、車内の整理整頓に重宝しそうなインパネロアボックスが配置されている。ティッシュボックスサイズの小物が収納できる。
前席の間に設置されているのがフロアコンソールボックス。蓋付きの小物入れは深さにゆとりがある。さらにその前後にはドリンクホルダーが備わる。
フロントドアのインナーパネルには小物入れ用ポケットを設置。ドア前端部にはドリンクボトルが収められる。
フロアコンソールボックスには前席乗員用に2本分、さらに2列目乗員用に2本分のドリンクホルダーが備わる。
左右のスライドドア内側のドア開閉レバー下部には、それぞれ1本分のドリンクホルダーが設置されている。
3列目シートの両側に備わるドリンクホルダーは、それぞれ2本分の計4本のボトルを収めることが可能だ。
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