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ニューモデル 2019.3.9

新型マツダ3(アクセラ)開発車に試乗 新旧・雪上評価で見えた、シャシー制御の進化

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もくじ

どんなクルマ?
ー 北米仕様2.5ℓプロトタイプ

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どんな感じ?
ー GVC 人間に例えると…
ー GVCプラス 雪上で分かったこと
ー GVCプラス ON/OFFを比較
ー 4WDの進化 新/旧を比較

まとめ
ー 新型マツダ3 ポイントは前席
ー 新旧マツダ3 ココが違う

どんなクルマ?

北米仕様2.5ℓプロトタイプ

国内向け車名が「マツダ3」となるか「アクセラ」となるか。業界内井戸端では「マツダ3」が有力だが、いずれにしても現行アクセラの後継車である。マツダ3では高圧縮自己着火ガソリンエンジン(爆縮で燃焼促進させるためのプラグを備える)のスカイアクティブXの搭載が予想されているが、それは先の話のようだ。

新型車のプロポーションや骨格レイアウトは現行アクセラによく似ている。車体サイズもほぼ同じだ。ただし、剛性配分などのフレーム設計に新しい理論を導入。リアサスはマルチリンク式からトーションビーム式となった。

リアサス形式については従来の視点からすると退歩のように思われるが、トーションビームの中央を括れさせた形状により横力への剛性を高めながら柔軟なロール特性を実現させている。マルチリンク式なみの性能を維持し、なおかつ軽量化が図れるのが大きな強味である。

試乗したのは北米向け市販プロトの2.5ℓ車。しかもいきなり雪上試乗である。国内一般用途での実力を図るには難しい状況だが、これまでのマツダ車の一般走行と雪上走行での関連を考えれば大まかな推測は可能だ。

また、マツダ3の走行性能面の特徴のひとつにiアクティブAWD(4WDシステム)があり、この効果を確認するには最適な状況でもある。

どんな感じ?

GVC 人間に例えると…

操る手応えのない走りとでも言えばいいのだろうか。完全なる「人馬一体」を求めたと換言してもいいだろう。これを制御システムとして具現化したのがGVC(Gベクタリング・コントロール)であり、次期マツダ3にはGVCをさらに進化させ、戻し舵の時にも作動するGVCプラスが採用されている。

GVCの目的は素直な回頭性の実現。方法は舵角増時に “一瞬のエンブレ” を入れて、シャシー系の緩みを取って前輪の接地荷重を増加させる。エンブレと言っても全閉にする訳ではなく、“一瞬” は1気筒の制御で文字通り一瞬。従って減速を感じることはできない。

人は走り出す時には前傾姿勢になる。止まる時には後傾。直立姿勢で走り出したり止まったりすれば転倒である。次の行動のために体勢を作ることが無駄のない動きには重要だ。GVCがやっているのはコレ。

増舵角操作ではアクセルを緩めるのが大原則。それを自動化させてなおかつドライバーに感じさせないのが凄い。

体感不可の瞬間減速など超絶のペダルワークをしても不可能だ。逆にセオリーに従って転舵に合わせてアクセル操作をするとGVCの効果は出ない。ただし、横風や轍等の外乱時修正操舵でも有効であり、直進性の向上あるいは修正操舵のストレスが減少する。

それではGVCプラスはどうか?

GVCプラス 雪上で分かったこと

GVCプラスは戻し舵の姿勢収束の効果を加えている。コーナリング等で直進に復帰した時の揺れ返しを抑えるのだ。

前輪の外輪にブレーキを掛けて車体ヨー運動を素早く収束させる。トルクベクタリングを利用しているわけだ。また、その制御を体感することはできない。

舵を入れる時も抜く時も過不足なく、素直に走行ラインに乗せていけるのが大きな特徴。緩み取り舵や止め舵といった小技を使わなくても綺麗に走れるのがGVCプラスであり、これは雪上走行でも大きな長所をもたらす。

例えば直進の安定。微小舵角でも反応するので直進の維持が容易になる。試乗路面では柔らかな圧雪と深雪。路面コンディションは良好だが、それでも舗装路のような方向安定は得られない状況。雪の抵抗等での外乱も起きやすい。

GVCプラス機能をオン/オフと切り替えて走り比べてみよう。

GVCプラス ON/OFFを比較

GVCプラス・オフでは僅かなスリップによる操舵初期の応答遅れ等で舵角が大きくなりやすい。的確な操舵で直進を維持するのも手間なら、大きくなった舵角で破綻を招きやすい状況も不安である。舗装路走行と比べものにならないほど直進性は重要である。

GVCプラスをオンに切り換える。誤解されると困るので付記するが、市販車では切り換えスイッチはなく、これは効果確認用の特別装置。市販仕様は操舵システムの一環としてGVCプラスは常時稼働状態となっている。

修正舵角も戻し操舵量も減少。揺れ返し押さえの止め舵も不要もしくはわずかで済む。

神経質に細かく操舵していたのが、だいぶ楽になる。乱暴な操舵は論外だが、適性な舵角に収まっていれば心情的にはアバウトな操舵で「OK」という感じである。

もうひとつ効果が大きいのが勾配のあるコーナー。ふつうは上り勾配ではアンダーステア傾向が、下り勾配ではオーバーステア傾向が強くなるが、どちらも前後のグリップバランスが整っている。ハード面でのシャシー設計が優秀ということもあるのだろうが、速度維持のために加減速が制限される状況なのでGVCプラスの有り難さがよく分かる。

AWDの制御についても新しくなったことがある。

4WDの進化 新/旧を比較

iアクティブAWDは姿勢制御に積極的に4WDを用いる方向で進化。後輪へのトルク伝達を制御する多板クラッチの制御領域の拡大とパワートレインやGVCとの制御ロジックの統合が行われている。

このシステム変更の効果確認用車両はCX-3の実験車が用意され、やはりスイッチで現行と新制御の切替が可能となっていた。

何が現行と違っているか。操舵追従と舵角減少、直進復帰時の収束性の向上である。

前記したGVCプラスがやっているのと同じだが、こちらは高速寄りというか大きな加減速を行っている状況との相性がいい。開けたり閉じたり激しくアクセル操作している時にGVCプラスの効果はあまり感じられない。そういった状況での新制御iアクティブAWDの効果は絶大。

現行制御では大きなカウンターステアで抑え込む高速スラロームに近いような急激なレーンチェンジで、新制御はわずかな当て舵量で直進に復帰する。現行制御とは操舵と回頭感覚、走行ラインの一致も明確な違いがあった。

GVCプラスも新制御iアクティブAWDも目的は同じ。人間の感性に合った素直な運転感覚にある。「操る手応えがない」は無自覚に操れるという意味であり、無意識下のフィードバックループでの対応や雑音的挙動の除去により予備操作や補正操作なく滑らかで理に適った走行状態を生み出せる。対話の先にある「一体化」と言ってもいい。

GVCプラスと新制御iアクティブAWDはシームレスに融合されているのも確固たる目的があるからこそなのだ。

まとめ

新型マツダ3 ポイントは前席

新型マツダ3の具体的な訴求点のひとつはフロントシートがある。座面前端の高さ調整でトルソ角(座面傾斜)とサイサポート(大腿部支持)の最適化を図るとのこと。

骨盤を立たせた着座姿勢もシート調整機能も珍しいものではないが、興味深いのは目的。運転疲労の軽減だけでなく、人の反射行動に着目した点だ。

意識では感じられないような揺れも身体は捉えているようで、これが不規則だと身体を支えるために無意識に体位の補正も頻繁になる。綺麗に舗装された道と凸凹道を歩いた時の違いを想像すれば分かりやすい。この感覚をドライバーに正しく伝えるためのシート設計である。

舗装路と砂利道の違いを感じやすくするだけでは意味がない。ドライバーに伝わる揺れが走行状況を正しく反映していなければ意味がない。実はここが車体設計の要点になっている。

新旧マツダ3 ココが違う

車体設計というと「剛性」の一点張りだが、歪み量を少なくするだけでなく、歪み方が正しくなければ正しい走行情報がドライバーに伝わらない。捻れ変形の時に対角同士車輪の間が一つのバネとして作用するように設計している。波打ったりどちらかの車輪周りだけ歪むようではドライバーの身体は正しく反応できない。つまり、弾性設計を用いて雑音の少ない走行情報をドライバーに伝える訳である。

なお、新旧モデルで乗り心地を比較すると硬さでは同等レベルだが、新型のほうが微小振動も含めて減衰感が高い。硬さの中にしっとりとした落ち着きが感じられた。フレーム周りの変形が綺麗に制御されているためだろう。

付け加えるなら後席はクッション厚が増しているせいもあって新旧の乗り心地改善は前席以上。寸法的には大差ないが、後席乗員への気配りも従来車以上だった。

新型マツダ3の特徴の一部ではあるが、こうして並べていくと共通した一つの事実が浮かび上がる。「人間中心」である。

と言っても上げ膳据え膳ではなく、ドライバーにとっての違和感や無駄な操作を排除し手脚の先のように扱える一体感である。そこには無意識に行っていた操作や体位反射も含まれる。そういった部分は一般的に言う性能とは言い難く、肌触りや安心感のような質感に近いだろう。

新型マツダ3がそういった「人馬一体」の集大成というのは早計かもしれない。進化過程と考えるべきだが、迷いなく進んでいるのが感じられる。雪上限定で限られた範囲とはいうものの、国内デビューへの期待値は高まるばかりである。

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(AUTOCAR JAPAN 川島茂夫)

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