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バンザイMT! ルノー・メガーヌR.S.カップでサーキットを激走する

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バンザイMT! ルノー・メガーヌR.S.カップでサーキットを激走する

ルノー・メガーヌR.S.に待望の6速MTやトルセンLSDを搭載した本気仕様「R.S.カップ」で、袖ヶ浦フォレストレースウェイをドライブする機会を得た。スプリング、ダンパー、アンチロールバーもそれぞれ固められ、ブレーキも強化されるなど、完全にサーキット走行を見据えた仕立てになっている。果たしてその実力や如何に?TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)PHOTO●三橋仁明(MITSUHASHI Noriaki)

セールスポイントは6速MTだけではない

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 いよいよメガーヌR.S.のMT仕様に乗る機会がやってきた。常日頃から「MTがあれば買うのに」が口癖のMT至上主義者の自分は、現行メガーヌが登場してからずっとこの日を待ちわびていた。多くの好事家が筆者と同じ心境かと思う。

 そんな待望のMT仕様だが、従来のDCT仕様との違いはトランスミッションにとどまらない。シャシーを全方位的に鍛え上げた「カップ仕様」として日本に上陸したのだ。

 まずは試乗を前に、R.S.カップの主な専用装備をまとめてみよう。

● シャシーカップ
 スタンダードのメガーヌR.S.に対し、スプリングレートをフロント23%、リヤ35%、ダンパーレートを25%高め、加えてフロントアンチロールバーの剛性も7%高めたシャシーのシャシーカップを採用。ロールを抑え、正確なハンドリングをもたらす。さらにラバー・バンプストッパーが10mm長くなっている。

●トルセンLSD
 トルセンLSDとは、サイドギヤを分割し、結合部にワンウェイ構造のヘルカルスプラインを採用したLSDのこと。 左右輪のトルク配分比を高め、トラクション性能や走行時のフィーリングを向上させるといった機能に加え、アクセルオンの時は差動制御が大きく機能することでトルク配分比を大きく高める。一方アクセルオフの時には差動制御の効きを抑え、最適なトルク配分とドライバビリティの向上を実現する。メガーヌR.S.カップにはジェイテクト製の「トルセンType-B」が採用された。

●バイマテリアルフロントブレーキ
 フロントブレーキに、鋳鉄製のベンチレーテッドディスクにアルミ製ハブを組み合わせたバイマテリアルブレーキを採用。スタンダードのメガーヌR.S.と比べて片側だけで1.8 kg軽量化を達成し、 冷却性能も向上している。

●6速マニュアルトランスミッション
 スタンダードのメガーヌR.S.は6速DCTのみの設定だった。あわせてサイドブレーキが電磁スイッチ式からコンベンショナルな機械レバー式にあらためられ、サイドブレーキターンに代表される、リヤブレーキのみを使って車両の姿勢をコントロールするテクニックが使えるようになる。

 なお、車両重量はスタンダードのメガーヌR.S.よりも20kg軽い1460kgとなっている。

 早速コースインだ。シートに腰を下ろしてまず感心するのは、ペダルが一枚増えたMTモデルにも関わらず足元には余裕があり、レイアウトには一切の不満を覚えないことだ。

 ルノーはかねてから右ハンドル車のペダルレイアウトが優れていることで知られる。その理由のひとつに、右ハンドル市場の販売比率の高さがある。もともとルノーの主要モデルはイギリスやアイルランドでのシェアが高い。

 さらにルノー・スポール系モデルはその傾向が強く、最も販売台数が多いのがフランスなのは当然として、2位はたいていイギリス、そして3位と4位を日本とオーストラリアが争っているのが常なのだ。つまり上位4傑のうち三カ国が右ハンドル市場ということで、左ハンドルの国のメーカーとしては珍しい現象だが、当然ながら開発において右ハンドルにもプライオリティが置かれるわけである。

駆動輪が路面を掴んでゴリゴリ加速!

 1速に入れ、慎重にクラッチをミートする。最初の右コーナーはゆっくり惰性で曲がり、続くストレートでアクセルをジワッと踏み込む。路面は明け方までの雨がうっすら残ったハーフウエット状態だから無理は禁物だ。

 2コーナーを軽くアクセルオフでやり過ごしたあとフルスロットルを与え、そこから3コーナーを目指してブレーキングとシフトダウン。ヒール・アンド・トーが難なく決まる。サーキット走行にしてはずいぶんと穏やかな走り方だと思うが、やはりMTを操る気持ちよさは格別だ。限界まで攻めなくても、全身を使って能動的に運転に関わっているという満足感が得られる。

 Rがきつく右に回り込むような4コーナーのクリッピングポイントを過ぎ、少し早めにアクセルを踏んづけてみる。DCT仕様にはR.S.デフと呼ばれる電子制御デフが装着されていたが、やはり機械式のトルセンLSDは効きがまるで違う。アウト側に逃げていくような頼りなさが微塵もなく、駆動輪が路面をガシッと掴んでゴリゴリと加速していくような感覚で、サーキットにおけるトラクションの差は明らかだ。

 ただ、公道のワインディングなどで楽しむだけならR.S.デフでも十分に満足できるはずだ。

 トルセンLSDの頼もしさを体感すると、徐々にペースも上がってくるというもの。そのうちオーバースピード気味になってオットット、となるのも筆者レベルの自称クルマ好きにはありがちなパターンだが、絵に描いたようなアンダーステアを出しても、そこからアクセルを踏み込んでラインを修正し、車体を安定させることができるのがFF離れ(そんな言葉ある?)している。

 もちろんこれは4コントロールなる4輪操舵システムのおかげだ。60km/h(レースモード選択時は100km/h)以下ではリヤホイールを最大2.7度の逆位相とすることで旋回性を高め、60km/h以上では最大1.0度の同位相として安定性を高める。

 この4コントロールはDCT仕様にも搭載されているもので、カップでもとくに変更はないが、やはりメガーヌR.S.の高い運動性能に大きく寄与している。

 ペースの乗った2周目以降の、1コーナーから緩い2コーナーを抜けて3コーナーへ向かう高速セクションにおける安定感の高さは、間違いなく同位相のおかげだろう。

 4周のテストドライブはあっという間に終わった。

 MT至上主義者にとって6速MTがもたらすドライビングプレジャーは格別のものがあったが、多くの走り屋にとっては実はトルセンLSDがもたらすアドバンテージの方が大きな恩恵を感じるのかも知れない。

 もちろん4コントロールやHCC(ハイドリック・コンプレッション・コントロール)といったメガーヌR.S.がもともと備えているデバイスがもたらすアドバンテージも相変わらず顕著だ。

 ひとつ強調したいのは、こうした飛び道具はすべて「ドライバーを助けるため」のものではなく、「ドライビングプレジャーをより引き出す」ように躾けられているということ。けっしてウデに覚えのある人から楽しみを奪わないのだ。それは、メガーヌR.S.に試乗した何人かのレーシングドライバーから話を聞いた上での結論だ。

 試乗を終え、トップガンドライバーのロラン・ウルゴンに「DCTとMT、個人的にはどちらが好み?」と聞いてみた。

「もちろん変速が速いのはDCTだよ。僕だって敵わない。でも、どっちが楽しいかと聞かれたら……MTに決まっているじゃないか」

ルノー・メガーヌR.S.カップ
全長×全幅×全高:4410×1875×1435mm ホイールベース:2670mm 車両重量:1460kg エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー 総排気量:1798cc ボア×ストローク:79.7×90.1mm 最高出力:205kW(279ps)/6000rpm 最大トルク:390Nm/2400rpm トランスミッション:6速MT フロントサスペンション形式:マクファーソン リヤサスペンション形式:トーションビーム 乗車定員:5名 タイヤサイズ:245/35R19 ハンドル位置:右 車両価格:440万円 販売台数:100台

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