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「GT」ほんとうに名乗れるクルマは 元祖GTからトンデモGTまでジャッジ 後編

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「GT」ほんとうに名乗れるクルマは 元祖GTからトンデモGTまでジャッジ 後編

ボルボ 123GT(1967年)

世界中でブランドイメージを高めるべく、1967年、突如としてボルボはGTの名を冠したモデルを登場させている。

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123GTは、1960年代を通じてボルボが集めてきたレース界からの数多くのフィードバックに基づき、2ドア版のアマゾンをベースに改良をほどこしたホットバージョンであり、その改造には強化サスペンションとフロントディスクブレーキ、フォグランプや大径のタコメーター、レカロシートの採用といったものが含まれていた。

P1800由来の1778cc 4気筒エンジンが発揮する117psは、4速マニュアルギアボックスを介してリアへと伝えられていた。

その後、1974年によりシャープになった242が登場するまで、ボルボでGTの名が使用されることは無かったが、2018年現在、そのラインナップには多くのGTの名を持つモデルが存在している。


判定:合格


ミニ 1275GT(1969年)

1969年、初代ミニ・クーパーに代わるホットモデルとして1275GTはデビューしており、その名は60psを発揮する1275cc 4気筒エンジンが由来だった。

このクルマのデザイナーは他のミニとの違いを際立たせるべく、より角ばったフロントエンドを与えたが、多くのエンスージァストにはあまり受けがよくなかったようだ。

一方、ミニには数多くの歴史的なモデル名が存在したことで、GTを名乗る必要はなかったが、2017年、102psを発揮する3気筒エンジンを積んだ限定モデルが登場すると、1499GTの名を与え、1275GTへのオマージュとしている。


判定:合格


三菱・ギャラン GTO(1970年)

1960年代、GTOという名には感染性があったに違いない。フェラーリがこの名を有名にし、ポンティアックがGTOは自分たちのものだと主張するなか、三菱はコルト・ギャランをベースにした、驚くほどマスタング似のクーペにGTOの名を与え、このブームに突如として便乗している。

このクルマの生産は1977年に終了したが、1990年、GTOの名は北米市場では3000GTと呼ばれたクーペモデルで復活している。


判定:合格


フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI(1975年)

1975年、フォルクスワーゲンから、もっとも有名なGTのバリエーション名が誕生している。グランツーリスモ・インジェクションの頭文字であるGTIは、第1次オイルショックの余波に苦しむ自動車市場において、GTの持つコンセプトが完全に違うものになったことを示すモデルだった。

もはやGTとは大きく豪華で、超高速を誇るモデルである必要はなく、活気溢れる加速と思わず笑顔になるようなハンドリングがあれば良かったのだ。この新たなGTのコンセプトはミニが1275GTで実現し、フォルクスワーゲンがそれに続いたものだ。

ゴルフGTIは元祖ホットハッチではなく、その栄誉はアウトビアンキA112 アバルトのものだが、ホットハッチというカテゴリーを人気にしたのはこのクルマに負うところが大きい。ゴルフGTIで不意打ちを食らったライバルメーカーたちは、雪崩を打ってそれぞれの小型ホットモデルに同じような名前を与えようとした。

GTIの成功に気を良くしたフォルクスワーゲンは、1982年にはゴルフのディーゼルモデルにGTDの名を、2014年にはプラグイン・ハイブリッドモデルにGTEの名を与えている。


判定:合格


シトロエン CX GTi(1977年)

1960年代、シトロエンにはGTの名に相応しいモデルは存在していなかった。2CV GTなど想像できないだろう。マセラティを買収したときには千載一遇のチャンスが到来したかと思え、SMはグランドツアラーにお誂え向きのモデルだったが、それでもGTの名が与えられることはなかった。

だが、1977年、ついにシトロエンはCXのフューエルインジェクションモデルに2400 GTiの名を与えている。ブラックアウトされたエクステリアとフォグランプ、ヘッドレスト一体型シートに130psのエンジンを組み合わせたモデルだった。さらに、その後、ヴィザとBX、AXの各モデルにそれぞれGTとGTiの名が与えられている。

2018年現在、シトロエンではパフォーマンスは脇に置いて、快適性に注力したモデルづくりを行っている。

一方、WRCでの活躍によって、例えばC3 GTといったモデルも考えられるが、そうしたモデルが登場するという確たる証拠はいまのところ存在しない。


判定:(おおむね)合格


アウディ・クーペGT(1980年)

上級市場へと移行するなか、アウディではクーペGTと名付けた2ドアモデルで、ショールームへとエンスージァストを呼び込めると信じるだけの自信を深めていた。

メカニカルコンポーネントの多くは80のものだったが、ファストバック風のリアエンドを持つ独自デザインを与えられたこのモデルは、価格やクラスを考えれば、十分にスポーツカーと呼ぶことのできるモデルであり、ラリーにおけるクワトロの活躍によって完全に日陰の存在となっていた100ベースのクーペモデル、初代クーペGTの真っ当な後継者だった。

2018年現在、クワトロはアウディのラインナップのほぼすべてのモデルに影響を与えており、GTの名を冠したモデルは存在しない。

だが、2018年のロサンゼルス・モーターショーでEトロンGTとして公開されたコンセプトモデルが、名前を変えることなく量産フェーズへと移行すれば、この状況も終わりを迎えることになる。


判定:合格


GMC ユーコン GT(1993年)

GTの名を冠したSUVとは希少な存在であり、車高が上がるにつれ、スポーツ性というものは徐々に薄れていくものだ。だが、大胆にもGMCは初代ユーコンの2ドアモデルにこの名を与えることで、GTという名の神に挑戦状を叩きつけている。

オプションのGTパッケージでは、オーバーフェンダーとアルミホールに加え、203psを発揮する5700cc V8エンジンを選択することができた。


判定:不合格


ポンティアック・バイブ GT(2002年)

もし、自動車業界に陪審員制度というものがあれば、おそらくポンティアックが初代と2代目バイブでGTを名乗ったことに意義を唱えただろう。

苦境に喘ぐこの米国メーカーでは、ラインナップ中、スポーティなモデルにGTの名を与え、さらにスタンダードモデルが積むトヨタ製1800cc 4気筒エンジンのパワーを166psまで引き上げることで、その魅力を訴えようとした。

当然ながら、低迷する販売によって、初代GTはスタンダードモデルに先立ってラインナップから姿を消している。


判定:理解不能


ベントレー・コンチネンタル GT(2003年)

ほとんどすべてのベントレーが、特別に意識せずともグランドツアラーのコンセプトに合致したモデルとなっている。

ベントレーの名は、ゆったりとした、豪華で快適、かつ速いクルマを創り出すことで知られており、初代コンチネンタルGTは、多くのライバルたちを凌ぐGTとしての性能を、いささかもその英国風味を損なうことなく実現することに成功していた。

さらに、そのGTとしての性能は、当初ラインナップされたエンジンが560psを発揮する強力なW12のみだったことによっても裏打ちされていた。


判定:合格


クライスラー PT クルーザー GT(2003年)

歴史的に、クライスラーがGTの名を汚すようなことはなかったが、1980年代に入ると、とくに豪華でも、ロングツーリング向きでもないルバロンでGTSとGTCの名を冠したモデルを登場させ、さらに2003年には218psのPTクルーザーGTをデビューさせている。

当時を知る多くが運転の楽しいクルマだったと評価しているが、クライスラーは1950年代にイタリアンメーカーが形作ったGTの定義からは大きく逸脱していた。


判定:理解不能


BMW 5シリーズ GT(2009年)

グラースGTの後継モデルである1600GTを除き、数十年にわたってBMWからGTの名を冠したモデルが登場することはなかったが、それも、非常にシンプルなネーミング方法と、強力なそのブランドイメージによって、パフォーマンスカーであることを示すためにわざわざGTを名乗る必要などなかったからだ。

だが、その状況も2009年のフランクフルト・モーターショーで議論を呼ぶ5シリーズ・グランツーリスモがデビューしたことで終わりを告げている。このクルマにおける「GT」とは、通常の5シリーズよりもスペース効率に優れ、考え抜かれたツーウェイのテイルゲートを備えたモデルであることを表していた。

2013年には、5シリーズGTとほとんど同じ方法論を踏襲した3シリーズGTが公開されている。

2018年現在、5シリーズGTは6シリーズGTへと道を譲り、3シリーズGTはモデルライフの最終版を迎えているが、後継モデルが登場する予定はなさそうだ。


判定:理解不能


ヒュンダイ・エラントラ GT(2013年)

エラントラやティブロンに代表されるとおり、ヒュンダイではしばしばGTの名を単にグレード名として使用してきたが、2013年モデルとして米国市場で発売したエラントラGTがこの状況に変化をもたらしている。

他の市場ではi30として販売されていたこのハッチバックだが、クラスのなかではそれなりの競争力を誇ったものの、このクルマのGTとは、ディズニーランドにおける足漕ぎボート程度の意味だったのだろう。


判定:不合格


メルセデス-AMG GT(2014年)

メルセデス・ベンツではサーキット向けモデルであることを示す必要がなければ、基本的にはGTの名の使用を避けてきたが、2014年に新たにメルセデス-AMGを立上げ、ポルシェ911のライバルとして単にGTと名付けたモデルが登場すると、その伝統も過去のものとなった。

さらに、GT S、GT CとGT RといったモデルでGTのラインナップ拡大を進めると、2018年にはEクラスをベースとしたGT 4ドア・クーペというモデルまで登場させている。


判定:合格
注:写真は2020年モデルのGT R プロ


キア・スティンガー GT(2017年)

キアは2011年のフランクフルト・モーターショーでGTコンセプトと名付けたモデルを発表し、多くの注目を集めた。

ほとんどが単なるデザインスタディだと考え、当初はまさにそうだったのだが、好意的な反応に気を良くしたキアでは、量産化に向けた検討を開始した。

こうして2017年に正式デビューを果たしたこのクルマは、キア初の真のGTとなったのだ。


判定:合格


2018年のGTモデルたち

2018年現在、多くの自動車メーカーから少なくともひとつはGTの名を冠したモデルが発売されている。GTをラインナップにもたない主要メーカーとしては、キャデラック、ジープ、ランドローバー、レクサスやリンカーンといった名前をあげることができる。

GTを含んだ多くのアルファベットの組み合わせが考え出されており、これまでにGTA、GTB、 GTC、 GTD、 GTE、 GTI、 GTL、 GTO、 GTR、 GTS、 GTV、さらにはGTXといった名前が、サーキット向けの軽量なアルファ・ロメオのクーペモデルから、驚くべき機敏さを誇るポルシェ・ケイマンといったモデルで使用されてきた。

この名前は真のGTに与えられることもあれば、ポルシェ911 GT2 RSといったモデルのように、サーキット向けであることを主張するために用いられることもあった。

さらに、時には、単に販売戦略上のギミックとしてGTの名が使われることもあり、このことは、2018年でも、1950年代同様、GTという名前には強力な魅力が備わっていることを証明している。
注:写真は2019年モデルのフォード・マスタングGT

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