もくじ
どんなクルマ?
ー CR-V初ながら完成度の高いハイブリッド
どんな感じ?
ー 標準のガソリンモデルより優れた走り
ー 主役は183psの電動モーター
ー ターゲット好みの安定志向ハンドリング
「買い」か?
ー 説得力は高くても、安くはない価格
スペック
ー ホンダCR-VハイブリッドAWD EXのスペック
コンパニオン大特集(3) 大阪オートメッセ2019 画像71枚
どんなクルマ?
CR-V初ながら完成度の高いハイブリッド
CR-Vとしては初めて、5代目でハイブリッドを採用したが、ひとつの高みに到達した印象だ。SUVとしては、極めて知的で実用性にも優れ、ボディサイズも大きくなった。しかし、高くなった価格に見合った合理的な選択かどうかはわからないし、最新のハイブリッドによって、本格的なSUVになったとも、楽しさが減ったともいえないことは事実だろう。
クルマとしては非常に落ち着いた性格で、ドライビングを楽しめる種類のものではないことも、基本的には変わりはない。このクルマよりもスポーティさで劣るクルマを、現代の数え切れないほどある乗用車の中で見つけることは難しいかもしれない。
例えば、CR-Vハイブリッドにはエンジンと2基のモーターが組み合わされたパワートレインを採用しているが、ホンダは総合での最大トルクを何kg-mなのか明示していないことも、それを表している。エンジンは2.0ℓの4気筒ガソリンで、単体では145psを発生するが、主要なドライブモードではモーターが183psを発生するそうだ。だが、最大トルクが明らかでないということは、ターゲット層はその情報に興味が無いという裏付けでもある。全員がそうだとは思わないが、残念なことだ。
一方で、CR-Vに搭載されているマルチモード・ハイブリッド・システム「スポーツハイブリッド i-MMD」はなかなか面白い。従来のホンダのハイブリッドは、エンジンとモーターがトランスミッションを共有するように並列に並んでいたが、今回はエンジンと電動モーターが直列に並んでいる。しかも、プラネタリーギアで構成される機械式CVTのようなトランスミッションも搭載していない。どんな走りなのか、興味が沸くところだ。
どんな感じ?
標準のガソリンモデルより優れた走り
CR-Vには1.5ℓのガソリンターボエンジンを搭載した標準的なグレードもあるが、ハイブリッドの方も、車内は広々としており快適で、質感もソリッド。もちろん高級ブランドのアウディやメルセデスとは異なり、質感に目を見張るということはないものの、清楚でしっかり作り込まれた雰囲気は、しっかりドライバーへと伝わってくる。
ハイブリッド・グレードには駆動用のリチウムイオン・バッテリーがラゲッジスペースの床下に搭載されており、3列目シートが選択できない理由となっている。だがスペアタイヤは装備されているし、2列目のシートの居住性にも影響はない。ラゲッジスペースの容量も、僅かに減らされているが、不足のない497ℓが確保されている。
走り出してみると、車内空間の遮音性は高いうえ、ドライブトレインの洗練性や乗り心地も好ましく、ハンドリングなども含めて、標準のガソリンモデルよりも多くの部分で優れていることがわかる。またこの新しいハイブリッド・システムは、ハーフスロットルでのレスポンスが良く、ドライバビリティにも優れている。一般的に想像するような、エンジンとモーターとが組み合わされたハイブリッドとは一味違う。しかし、冒頭に触れたように、CR-Vがスポーティということではないけれど。
停止状態からの加速は、レスポンシブルでシームレス。クラッチの切断やギアチェンジがまったく起こらないから、まるでEVのように極めてスムーズにスタートする。しかし、そんな状態は長くは続ず、アクセルペダルのトラベル量を探っている間もなく、ガソリンエンジンがスタートする。
主役は183psの電動モーター
シングルスピード・ギアと電子制御クラッチがエンジンに組み合わされ、「ハイブリッド」モードでは2.0ℓエンジンのパワーが直接タイヤへと伝えられることはない。ガソリンエンジンが機械的にタイヤを駆動するのは、自動的に「エンジンドライブ」モードに切り替わる、高速度域でのクルージング時だけ。高負荷時を含めて殆どの場面では、エンジンは発電をするだけで、183psの電動モーターがクルマを動かすことになる。
エンジンは非常に静かに回り、実際の走行スピードに関係なく、アクセルを踏み込んでいる量に応じて回転数が変化するようだ。また、右足でペダルを思いっきり蹴飛ばしたとしても、エンジンの回転数が不必要に上昇するということもない。ハーフスロットル領域でのパフォーマンスも充分で、日常的な交通の流れに合わせて走ることも簡単だし、追い越し加速や高速道路への合流時でも、不足のないパワーを示してくれる。
現実的な利用条件での燃費も良好で、今回の試乗では、様々な条件で走行した平均でも15.9km/ℓという結果を出してくれた。読者が通常の環境で運転したり、CR-Vの特性に慣れてEVモードでの走行距離が伸ばせるようになれば、さらに良好な燃費が得られるだろう。だだ、その差は大きくはないが、三菱アウトランダーPHEVほどEVモードを保つことは簡単ではなさそうだ。
乗り心地は印象的なほど穏やかで、SUVの平均で見るとやや旧来的な、柔らかい設定になっている。ボディコントロールは低速域では好ましいものの、路面が荒れてくると少し落ち着きがなくなってくるし、コーナーを活発に走ろうとすると、ギクシャクした挙動になってしまう様子。
ターゲット好みの安定志向ハンドリング
ハンドリングは安全志向で、フィードバックの正確性も評価できるレベル。この手のクルマをスポーツカーのように飛ばすオーナーはいないだろうし、運転感覚もどこかリモート感のあるものだから、それなりの正確性を備えていれば充分というところがある。
だが、決してクルマが進路を積極的に変えてくれるような性格ではないから、高速道路のジャンクションやスーパーマーケットの駐車場などでは、少し扱いにくく感じるかもしれない。まったく何とも感じないドライバーもいるかも知れないが、それはホンダが狙った通りのターゲットだといえるだろう。
わたしには、ホンダCR-Vのオーナーは、安定性を好み、賢明で思慮深い落ち着いた大人のひと、というステレオタイプが思い浮かばれてしまう。従来モデルのCR-Vに長年乗っているオーナーが、ダッシュボードに並んだボタンが何なのかわからず、オーナーズマニュアルをしっかり読み込んで、機能を理解するまで触れなかった、と話していたことをつい思い出してしまった。
「買い」か?
説得力は高くても、安くはない価格
クルマ自体の完成度を見れば、充分に煮詰められ、現実的な利用環境でも優れた環境性能とドライバビリティを獲得している。CR-Vを選択するうえで、ハイブリッドという選択肢は説得力があると思う。今後追加されるであろう、CR-V以外のハイブリッドモデルの前哨戦としても、評価できる仕上がりだといえる。ファミリーカーとして、穏やかに紳士的に、ゆったりとしたペースでドライブするのには、適した1台ではないだろうか。
自身のクルマ選びの条件に合致していると感じた読者もいるかもしれないが、最後に価格をお伝えしなければならない。われわれのテスト車両の価格は、およそ3万7000ポンド(525万円)となっている。CR-Vのエントリーグレードとなる、前輪駆動モデルのスターティング・プライスなら3万ポンド(426万円)を切る設定だし、前輪駆動の方が四輪駆動よりも燃費も良いはず。
CR-Vハイブリッドの価格を考えると、他にも視野に入ってくるモデルはあるはず。鏡で自分の顔を見みながら、しっかり考えてみると良いだろう。
ホンダCR-VハイブリッドAWD EXのスペック
■価格 3万7305ポンド(529万円)
■全長×全幅×全高 4600×1855×1689mm
■最高速度 180km/h
■0-100km/h加速 9.2秒
■燃費 18.2km/ℓ(NEDC相当)
■CO2排出量 126g/km (NEDC相当)
■乾燥重量 1726kg
■パワートレイン 直列4気筒1993ccアトキンソンサイクル+同期モーター
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 145ps/183ps(エンジン/モーター)
■最大トルク 17.8kg-m/32.0kg-m(エンジン/モーター)
■ギアボックス シングルスピード
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