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試乗 改良新型プジョー308 SW 新開発1.5ℓディーゼル(130ps)のワゴンを評価

掲載 更新
試乗 改良新型プジョー308 SW 新開発1.5ℓディーゼル(130ps)のワゴンを評価

もくじ

どんなクルマ?
ー 新ディーゼル 1.6ℓから1.5ℓユニットへ
ー 「DV5」 どんなエンジン?

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どんな感じ?
ー 回頭性よし 低重心の恩恵
ー 静音対策/燃費/装備は?

「買い」か?
ー オワコンどころか健在

スペック
ー プジョー308 SW(1.5ℓディーゼル)のスペック

どんなクルマ?

新ディーゼル 1.6ℓから1.5ℓユニットへ

変化あるいはチェンジといった前のめりなキーワードに酔って、自動運転やEVへの移行を焚きつける報道が増えた。確かに、市街への乗り入れ禁止とかガソリンエンジンへの回帰とか、欧州市場は20数年前の日本のような「ディーゼル・バッシング」の真っ最中にある。

が、それは10数年来、走行コストの安いディーゼルが主流としてユーザーに求められていた裏返しといえる。そもそもマクロ視点でいえば、原油を精製したら1/3から半分は軽油なので、使い切らないのは逆エコロジ―ですらある。欧州でディーゼルたけなわの頃は、他国から軽油を輸入していた国すらあったほどで、それだけ偏重傾向だったのだ。

だからこそ相対的に、ユーロ6以降のクリーンディーゼルになってから本格導入が始まった日本市場では、ディーゼルは今もって拡張期の普及フェイズにあるといえる。

これまでも508やSUVに積まれていた2ℓブルーHDi180は、ディーゼルとして大きめの部類、いわば「ラグジャリーなディーゼル」だった。しかし1.5~1.6ℓは、欧州市場のサイズ感でも背伸び無しのジャストなスタンダードである。

「DV5」 どんなエンジン?

プジョーが308ハッチバック、308 SWの双方に載せてきた1.5ℓブルーHDi130は、従来の1.6ℓブルーHDi120と同じく組立てはロレーヌ地方のトレムリー工場だが、開発はもちろん生産体制まで含め200億円以上が投資され、7割以上のパーツが別物という新設計パワーユニットだ。

トレムリー工場は一説によればPSAグループ最後のディーゼルともウワサされており、それだけにディーゼルというテクノロジーの集大成としても見逃せないはずだ。

ユーロ6.2以降の規制に対応するため、DV6(1.6ℓブルーHDi120の型式)と比べ、DV5(1.5ℓブルーHDi130の型式)では大幅な変更が加えられた。ボッシュ製インジェクションが「CP4.1」からよりキメ細かな高圧噴射と制御を可能とする「CP4.1エボ」に変えられ、NOxセンサーも1個から2個、実装された。ヘッド周りはシングルカムからツインカムに進化。ボアは据え置いたままストロークは3.5mm短くなり、圧縮比は17:1から16.4:1に下げられた。

ところがDV5の凄みは、先代より排気量はマイナス100ccにも関わらず燃費やパワー、排ガスのクリア化といった効率面の向上を、燃焼や吸排気のファイン・チューンで実現しただけではない。DV5の腰下に注目すると、クランク~コンロッドの軸間距離がDV6より8.4mmも切り詰められていることに気づく。

どんな感じ?

回頭性よし 低重心の恩恵

2ℓディーゼルのDW10に比べたら、16.5mmも短い。これはどういうことかといえば、エンジン全体の高さは1mm増し、重量も5kg増して130kgになったにも関わらず、ピストンやコンロッドの作動域だけでなくクランク軸まわりも下方に寄せたことで、エンジン稼働時の重心を大幅に下げているのだ。

ちなみに308 SWブルーHDi130は日本の車検証では、前車軸の重量は850kg。1.6ℓディーゼルもまったく同じ850kgだったが、後車軸は20kg軽い550kgで、パノラミックガラスルーフのためか車両重量は1400kgだった。いずれ、今どきのCセグメントのステーションワゴンとしては、かなり軽いことがうかがえるはずだ。

実際、いざ走り出すと、少ないステアリング操舵角でもノーズが軽快に、だがしっとりと切れていくEMP2特有の感触が、さらに低重心化したおかげで磨き込まれていることに気づく。

試乗車は16インチ履きだったが、決していたずらにクイックに設定されたステアリング・レシオではなく、柔らかく滑らかなストロークを伴ってクルマが向きを変えていく。とにかく雑味や曖昧さがなく、ドライバーの意志に従うかのように切れていくハンドリングに、ある種の高級感すら覚えるはずだ。

静音対策/燃費/装備は?

エンジン音も、始動直後はディーゼルっぽくゴロゴロしているが、暖まりきってしまうと滑らかで低くくぐもった音質に変わり、室内で聞く限りディーゼルらしさが極力消されたような感じだ。

とはいえ旧1.6ℓより出力は10ps増しの130ps、トルクは据え置きの30.6kg-mを1750rpmから発生するので、力強さより滑らかさが増した印象だった。トランスミッションは無論、アイシンAW製8速トルコンATだ。

今回は長距離こそ試せなかったものの、カタログ燃費で従来比15.7%増しとあった通り、燃料計の針がなかなか動かなかった。強いて難をいうなら、街中ではアイドリングストップをこまめにこなすし、再始動の揺れも気にならないほどマナーもよいのだが、なかなかエンジンが暖まらずヒーターが効いてくるまでに時間があった。この点、冬だけの話とはいえ、シートヒーターが付いていたら尚、よかったと思う。

ちなみにアクティブクルーズコントロールなどADAS関連も標準装備で、高速道路での車線キープしたままの追従巡航といった走り方をしても、頭を不愉快に揺さぶる制御はほぼ皆無だった。

「買い」か?

オワコンどころか健在

新しいディーゼル・パワーユニットを得て、熟成を重ねた308 SWは、長時間、乗り続けていても神経に触るところが何一つない。

むしろ滑らかで豊かなトルク感、軽快だが過敏すぎないニュートラル・ステアリングを味わいながら、プジョーならではのホールド性も快適性も高いシートに身を任せていると、決して高級車ではないながらも308 SWが掲げて到達した、あらゆるスタンダードの高さに気づく。

走れば走るほど走行コストが嵩むのはクルマの常だが、308 SWは走りたい気分にブレーキをかけるどころか、ひたすら後押ししてくるところがある。長距離を走りたいとか、走りを楽しみたいとか、荷物も載せたければ人も乗せたいというドライバーの要望に、快適な乗り心地や優れたドライバビリティ、使い勝手のいい室内や、低い走行コストによって、恐ろしく高いレベルで応えてくる。

このパフォーマンスと経済性の優れたバランスを鑑みれば、一方の雄であるVWのゴルフ7に対しても単なるオルタナティブや二番煎じではなく、現代の欧州Cセグの良質なコンパクトのあるべき姿として、1.5ℓディーゼルを積んだプジョー308は究極の完成度を手にしている。ディーゼル技術のPSAによる集大成としても、見逃すべきでない1台といえる。

プジョー308 SW(1.5ℓディーゼル)のスペック

プジョー308 SWアリュール・ブルーHDi

■価格 329万7000円
■全長×全幅×全高 4600×1805×1475mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 –
■燃費(JC08モード) 21.6km/ℓ
■CO2排出量(JC08モード) –
■車両重量 1380kg(パノラミックガラスルーフ付き:+20kg)
■パワートレイン 直列4気筒1498ccディーゼル・ターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 130ps/3750rpm
■最大トルク 30.6kg-m/1750rpm
■ギアボックス 8速オートマティック



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