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ニューモデル 2019.2.9

回顧録 スモールクーペ対決 ミニ・クーペJCWとライバルたち 後編

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もくじ

ー やや質感の劣るロードスター
ー パッケージングの優れたシロッコ
ー 切れ味鋭いミニ
ー コントローラブルなロードスター
ー すべてを巧みに融合したシロッコ

    2019年を占う ミニ、将来の鍵握るEV化 初代登場から60周年へ

やや質感の劣るロードスター

ロードスターがミニに(ほかのライバルにも)負けているもうひとつの点はインテリアだ。樹脂パーツの質感は長所とはなり得ないし、デビュー当初から改善されてもいない。シートはフラットだし、前後調節のないステアリングホイールの位置が低すぎて快適に座っていられない。

センタートンネルに押されてフットレストに左足を置きにくい問題もある。また、4台のなかでクルージング時にもっとも騒音が大きいクルマだ。

比べると、ミニ・クーペのキャビンはずっと好印象である。ハッチバックのミニに座ったことがある人なら、このファンキーで賑やかなインテリアデザインはもうお馴染みだろう。ただし、傾斜の強いウィンドシールドとそのトップの低さにより、ハッチより囲まれ感が強くなっている。

室内環境でミニに対抗できるのはアウディTTだけだ。まず、素材の質感ではミニより優れている。それに、ワイドなウィンドスクリーンのおかげで視界が広く、低く座るスポーツカーフィールも味わえる。ミニのシートはやや小さく浅いのに対して、TTのそれは快適でサポート性がよく、ドライビングポジションも素晴らしい。

パッケージングの優れたシロッコ

シロッコはミニやTTとロードスターのあいだにくる。期待に違わずドライビングポジションは正しいのだが、ダッシュボードのデザインが全体に殺風景で(三角形のドアグリップは個性的でいい)、あまりうれしい居心地とはいえない。

その代わり、後席にふたりの大人が座れるのは、ほかの3台には真似のできない長所だ。ミニとロードスターは2シーターだし、TTの後席はほとんど役に立たない。ライバルたちを基準にすれば、シロッコのパッケージングはミラクルである。

ツイスティな道を走らせても、シロッコはしっかりとした乗り味というミラクルを披露する。このクルマを「スポーツカー」とまで呼ぶ人は少ないだろうし、今回の比較テストにふさわしくないと考える人さえいるかもしれない。しかしそれは違う。

ステアリングを切り込んでいくと操舵力がきわめてリニアに増していき、しかも舵感は正確そのものだから、コーナーからコーナーへ駆け抜けるのが楽しくなってしまう。2.0ℓターボのエンジンにも「リニア」の言葉がよく似合う。レスポンスはシャープとはいえないものの、スムーズで、トルクの出方を予測しやすい。スリルはないけれど活発で、走りに満足できる楽しいクルマだ。

切れ味鋭いミニ

残念なことにTTはちょっと違う。コンプライアンスの効いた乗り心地ではあるが、ボディの抑え方はいささかルーズだ。そして、それはまだいいとしても、手応えが曖昧で軽すぎるためにステアリングを切り込んだときの感動がほかの3台より薄く、ブレーキにはサーボが強すぎる印象がある。

エンジンとギアボックスはシロッコと同等に優れているし、0-100km/h加速はTTのほうが速い(シロッコの6.9秒に対して6.1秒)にもかかわらず、不思議なほどドライビングに満足感のないクルマなのである。

そういう不満は、少なくとも路面がよければという条件付きではあるが、ミニにはない。スムーズな路面でのミニは、切れ味鋭く俊敏である。ステアリングはレスポンスがよくて正確だ(アルカンターラ張りのステアリングリムもこの印象に貢献している)。

ギアシフトはシロッコやTTよりもスパッと決まるし、過給圧を上げる「スポーツ」ボタンを押さない限りエンジンは気持ちよく反応してくれるので、0-100km/hは6.2秒と速さ自体はシロッコやTTとほぼ同等ながら、どちらよりも飛ばしたくなれる。そう思って実際にコーナーを攻めても限界付近ではアンダーステアになり、基本的には後輪がコーナリングラインから外れることはない。

コントローラブルなロードスター

一方、英国らしい荒れた路面ではグリップが失われがちになり、コーナリングラインよりボディの挙動が気になってくる。スムーズな路面では楽しさをもたらしてくれたクルマが荒れた路面では一転してフラストレーションの原因になり、ピタリとした安定性が暴れ回るじゃじゃ馬へと変わってしまうのだ。

こうした二面性はじつに残念なところだが、それでもわれわれとしては、総合的にミニ・クーペはTTを凌ぐと評価したい。

ロードスターはどうだろうか? ここまでの評価では、ボタンひとつでルーフを格納できるという明快な個性を持つにもかかわらず、ライバルたちの後塵を拝している。しかし、今回の4台のうちでロードスターだけが持っているセールスポイントは、可動式のハードトップだけではない。その後輪駆動シャシーのコントロールしやすさは、ほかの3台では得られないものだ。

ミニ・クーペでも、コーナーへの進入で注意深くブレーキとステアリングを操れば、後輪の軌跡をコントロールできる余地はある。しかし、ロードスターならそんな小細工なしに、いつだって活気に満ちたコーナリングが可能だ。

すべてを巧みに融合したシロッコ

限界付近の挙動は穏やかで、それにチャレンジできる道であれば、あるいはサーキットに行けば(それが望ましい)、後輪駆動のバランスと正確なステアリングを存分に堪能できる。それに、エンジンパワーが比較的小さいおかげで(0-100km/hは7.9秒)、アクセルをどこまで踏んで良いのかがわかりやすい。以上の理由から、ロードスターこそが4台中最高のドライバーズカーだ。これは疑いない。

よって、評価基準をドライバーズカーであることに置いて選ぶなら、そして週末の足としてファンなセカンドカーを選ぶなら、これにて議論は終了だ。しかし、今後3年間、毎年1万km以上をともにするクルマを探しているとしたら、ロードスターでは最後にウンザリする結末になってしまうかもしれない。

そういう使い方に望ましいのは、運転の楽しさ、快適さ、そしてスタイルのよさを併せ持っているクルマだろう。それを最高に巧みに融合できているのは、今回のテスト車のなかで1台だけである。

3年前、わたしは「スモールクーペが帰ってきた。それはVWシロッコと呼ばれる」と書いた。当時も今も、この思いに変わりはない。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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