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ニューモデル 2019.1.1

オープン4WDスポーツ対決 R8 vs 911 911改良の成果は 回顧録

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もくじ

ー 911の盛大なサウンド
ー 見事なデザインのR8
ー 前モデルより20ps増しに
ー 911より華やかなR8
ー 古典的スーパーカーらしいR8
ー 爽快感ある走り
ー 3.8ℓターボの強烈なトルク
ー 精密な機械らしいポルシェ
ー 楽で速いのは911ターボ
ー スーパーカーらしい資質は

    試乗 アウディR8パフォーマンス 実用性と豪快さ、見事なバランス

911の盛大なサウンド

まず最初に911ターボのほうに乗るとしよう。急速に押し込まれる吸気が発する強烈かつ急激なサウンド。911ではお馴染みのノイズだ。特にオーバーレブ寸前での甲高いさえずりは実に味わい深い。

今回はいつにも増して猛々しく聞こえるが、それは単純に騒音を遮蔽するルーフがないからという理由からではない。数m先を走るR8の5.2ℓV10が8500rpmのレッドライン直前で奏でる旋律をかき消してしまうほど、911ターボが響かせる音量はそもそも盛大なのだ。

われわれがはるばるウェールズ北部のスノードン国立公園までやってきたのは、走り甲斐のある難度の高い道を求めてのことだ。そしてもうひとつ、まだ冬のさなかの英国にもっとも早く春の兆しが訪れるのはこの地であると、天気予報が告げていたからでもある。

だから、その予報を聞いて繰り出したクルマがほかにも少なからずいるものと予想していたのだが、幸い道はすいていた。混雑していたのは、意外にも上空のほうだった。

ジェット練習機のT1ホークやCH-47チヌーク大型輸送ヘリが何機か飛び回り、米空軍のF-15イーグル戦闘機の編隊までが強烈な爆音を轟かせている。いくらこっちが2台合わせて1025psの出力を誇るといっても、頭上わずか1000フィート足らずの低空を飛んでいる推力23tの超音速ジェット機とは勝負になるはずもない。

見事なデザインのR8

だが、パイロットの視線はまず間違いなくこちらに注がれているはずだ。だからといって、近くで見たいと考えた米軍兵を、いったい誰が責められよう。オープンのスーパーカー1台だけでも衆目をくぎづけにするのに十分だというのに、まとめて2台も走っているのだから、騒ぎになっても不思議ではない。

それに最新のアウディR8スパイダーは、現在発売されているコンバーチブルのなかでもっとも購買欲をそそる物件だろう。昔のアウディはゴルフをちょっと上級に仕立てて値を上げる、いわば単なる「スペシャルティ屋」だったが、今や第1級のスーパーカーメーカーだ。自らのブランド価値を格段に向上させ、販売規模を劇的に拡大している。

このR8 V10スパイダーは現時点でのアウディでもっとも高価なモデル(6段Rトロニックを積む日本仕様は2250万円)だが、その価格がアウディのショールームにひとびとを集めるための障害にはならないだろう。たいていの人は、その見事なデザインを見るだけでも十分に満足するはずだ。

R8のスパイダーは突発的に発案されたものではないのだから、それも驚くには当たらない。ファブリックのルーフを格納すれば、紛れもなく価格どおりのエキゾティックなルックスが現れる。また、ルーフを閉じても決して閉塞感を覚えたりはしない。

ただ、ここで問題にすべきは、スパイダーへの変容を経て、R8クーペのあの驚愕の動力性能がどれだけキープされているかということだ。そしてもうひとつ、われわれが直面しているのが、最近マイナーチェンジを受けたポルシェ911ターボ・カブリオレ(日本仕様は7段PDKで2273万円)が相手でも圧倒できるのかどうかである。

前モデルより20ps増しに

ただ、後者については見極めに少々手間がかかるかもしれない。というのも、ターボ・カブリオレの外見はすでにお馴染みのものだが(外観上の変化は前後ライトとミラーとホイール程度)、その内側はかなり大幅な変更を受けており、それも単により速くなっただけではなく、より楽しめるクルマにもなっているからだ。

心臓部は最新の燃料直接噴射式3.8ℓに2基のターボを追加した水平対向6気筒で、前モデルより20ps増しの500psを発生するようになった。加えてオプションで新たにPTV(ポルシェ・トルク・ベクタリング)が用意され、スポーツクロノパッケージを選択すればダイナミックエンジンマウントも付いてくる。

ターボ系が2010年モデルへと切り替わった際にもっとも改善されたのがカブリオレだと言われているが、まだ新型のクーペに乗っていないわたしには、その真偽を判断する資格はない。だが、少なくとも旧型のカブリオレに試乗した経験はあり、それに照らし合わせた限りでは、今回の新型が以前とはまったく別のクルマに進化していると疑問の余地なく断言することができる。

もちろん、クーペに比べれば多少の妥協が残るのは当然ではあるが、今回はその差はごく小さく、「ターボ」というエースの名を辱めるような不出来は一切ない。ルーフが開閉するかどうかにかかわらず、これより速く公道を疾走するクルマを想像するのはかなりむずかしい。たとえ525psのV10エンジンをミドに搭載するスーパーカーをもってしても、それは容易ではないはずだ。

911より華やかなR8

R8に対しては、ちょっと完璧すぎであり、ドイツ的な精密機械のイメージがあまりにも強烈で華やかさに欠けるという声がよく聞かれる。だが、隣に並ぶのがフェラーリならば確かにそれも事実かもしれないが、今回のペアリングであれば、派手に見えるのは間違いなくR8スパイダーのほうだ。

ポルシェの実用的な面を知ってしまうと、R8は実に華々しく感じられる。必要以上に頻繁にシフトダウンしたくなる欲求を抑えられなくなるはずで、そのたびに派手なブリッピングで周囲の注目を浴びるだろう。なお、どちらのクルマも自動化されたトランスミッション(アウディは6速シングルクラッチで、ポルシェは7速デュアルクラッチ)が用意されているが、今回の試乗車はどちらも3ペダルの6速マニュアルである。

この2台を同じ道で何度も走り比べてみると、すぐにいくつかの明瞭な事実に気づく。

まず最初に、どちらのクルマも同じモデルのクーペに比べると車体の剛性低下は明らかだが、だからといって両者とも剛性感に不満を抱くほどのものではない点だ。しかし、本当に過酷な道路では、先に音を上げるのはR8のほうである。911ターボがクーペからカブリオレへの変換に伴って背負った重量増が75kgなのに対し、R8のそれは100kgなのだが、おそらくこの25kgの差がかなり効いているのではなかろうか。

古典的スーパーカーらしいR8

さらに興味深いのは、魅力的なワインディングロードを攻略する手法の対照的なまでの相違である。特に脱出時の加速特性はまったく別種と言っていい。

R8はスーパーカーとしてはもっとも扱いやすいクルマではあるが、古典的なスーパーカーそのものの走りを体験できるのはこちらのほうだ。紛れもなくロー&ワイドなプロポーションであり、さらにドライバーのすぐそばに最大の重量物をマウントしたおかげで、クルマとのメカニカルな対話が実に豊かである。

自然吸気のV10エンジンはパワーの出方が完璧なまでにリニアで、のんびり巡航するだけなら6速に入れたままでもまったく困らない柔軟性を持っているが、本気で走りを追求したければ、常に回転域のトップエンドを目指して踏んでいかなければならない。

しかし、そうしてさえいれば、R8はいかなる意味においても真のスーパーカーの走りを見せる。この点ではいかに911ターボがF-15のターボファンエンジンのごとき鋭い吸気音と高周波のタービン音を響かせようとも、とうてい比較になるものではない。さらにこのスパイダーでは、ルーフを開けばV10の咆哮をいっそう身近に聞くことができるのだ(実はルーフを上げていても小さなリアウインドウのみを開けられ、そうすればオープンと同等だ)。

爽快感ある走り

スパイダーの乗り味はクーペよりも確実にソフトであるが、それでも旋回時のロールは非常に少なく、それはマグネティックライドをノーマルモードに設定していてもさほど変わらない。それでいて、この道路を絶好のテストコースたらしめている邪悪なバンプや舗装の荒れを踏んでしまっても、決してうろたえたような挙動を見せたりはしない。

グリップの限界に近づくと、四輪駆動とはいえトルク配分が後輪寄りである素性を、R8ははっきりと挙動で示す。唐突にトラクションを失ったりはしないが、自分は押されているのであって、決して引かれているのではないという実感が、コーナリングの途中で明瞭に感じられるのである。

このときの感覚は、R8で得られる経験のなかでもある種の爽快感をもたらすものだ。人によっては望んで味わいたくなる種類のフィールであり、そこにはまったく恐怖は存在していない。

一方、911ターボ・カブリオレはまったく別種の動物である。そしてそれは66.3kg-mにも達するトルクに起因するものであり、しかもそのトルクは1900rpmから5000rpmにいたるまで、フラットに湧き出し続けるのだ。R8はわずか54.0kg-mを得るために6500rpmまで回さねばならないのだから対照的である。

3.8ℓターボの強烈なトルク

911の新たな3.8ℓターボエンジンは、ほとんどまったくラグを感じさせることなくスロットルに反応する。絶対的な火力において先代に優っているだけでなく、それを路面へと放出する確度においても優れているのである。その最終結果として得られたのが、驚異的に高まったコーナー脱出速度だ。

オープンロードでのエンジンやトランスミッションの使い方も、R8の場合とはまったく異なってくる。911のフラットシックスは7000rpmまでよどみなく吹け上がるが、実際にそこまで使う場面はめったにない。むしろ早めにシフトアップして、トルクの波に乗り続けられる回転域にとどめておくべきと感じるはずだ。

さらに、実は上空を飛んでいる戦闘機と同様、このクルマにも独自のアフターバーナーが用意されている。スポーツクロノパッケージに追加費用を投じればスポーツモードでオーバーブースト機能が使えるようになり、一時的に最大トルクを71.3kg-mまで上げることができるのだ。

そのトルクを2速や3速で行使すると、最初のうちはなんとも野蛮極まりない挙動と感じるかもしれない。だが、スロットルの反応がこの状況でも常に正確無比であること、そして本当に尻に火を付けて全力疾走する必要などめったにないことに気づいたなら、むしろこのターボのほうがR8よりも沈着冷静に思えてくるから不思議なものだ。

精密な機械らしいポルシェ

その理由のひとつは実際に使うエンジン回転域の低さにあり、そしてもうひとつはエンジンが実際よりはるか遠くに位置しているかのごとく感じられるため、存在感がまるで魔法の原子炉のようだからだ。

こういうとまるで運転に熱中できるタイプではない、走っても報われないクルマのように聞こえるかもしれないが、決してそんなことはない。求められる考え方がアウディとはまったく異なっているだけで、目的に適合すべく精密に設計された機械を操作するという充実感がそこには待っているのである。

R8から911に乗り換え、見た目がごく普通の、より角度の立ったキャビンと向き合ったときに受ける印象が、それを象徴している。

また、スタイルの点でポルシェに欠けているものがあるとしても、実質が十分にそれを埋め合わせてくれる。ドライビングポジションはこちらのほうが適切で、ペダルの位置も合理的で、さらにシートも優れている。

楽で速いのは911ターボ

ただし、ギアに関しては判断が悩ましいところだ。とても見事なルックスながら使い勝手は今ひとつなR8のシフトまわりに対し、911のそれは一見したところ素っ気ない(少なくとも今回の試乗車に装備されていた下品なカーボンには目をつむるとしても)が、シフト操作の信頼性の高さは素晴らしいのひと言に尽きる。

コーナリングの挙動も同様で、911のほうがハイテク寄りのアプローチを取っているのが明白に実感できる。確かにこの最新型はこれまでよりもかなりエンターテインメント寄りにシフトしているのは事実だが、それでもR8に比べれば四輪駆動らしさを強く感じさせる走りである。

今回の個体はPTVを装備してはいなかったが、それでも特筆に値するほどどっしりと落ち着いたフィールだ。ダイナミックエンジンマウントが重量移動を抑えるのに役立っているのも忘れてはならない。

どちらが速いか? 狭く、そして視界が悪い不慣れな道を速く走るのなら、911ターボのほうがはるかに楽であるのは確かだ。圧倒的に優るトルクがコーナーの脱出時に存分に生かされるからで、R8で911ターボと同等の走りをするためには相当の集中力が要求されるのは間違いない。逆にスムーズなサーキットであればR8のほうが速いことも、同じく間違いなかろう。

スーパーカーらしい資質は

では、運転して満足できるのはどちらだろうか? このウェールズを走るのであれば、個人的には911ターボを推薦する。それは優れたバランスや卓越したエンジンのためではなく、こちらの制御系のほうが自信を持って操れると、走り込むにつれてわかってきたからだ。機械としての核心的なところではR8のほうが優れているものの、申し訳ないが、こればかりはやむを得ない。

しかしながら、勝者はまたしても911ではない。地上を走破する能力では911ターボに多少のアドバンテージがあるとしても、R8にはオープントップスーパーカーに何よりも求められる華があるからだ。「R8のほうが昼夜を問わずはるかに魅力的だ」とは、わたしの個人的意見ではなく、今回の試乗中に声をかけてきた人たち全員の総意である。

さらに、ソフトトップの作りについてもR8のほうが優れている。それは作りが単純とか開閉が速いとかといった次元の問題ではない。R8にはオープンのスーパーカーならではの演出があり、仕上げも本当に美しい。技術的に見た場合にR8のオープンのほうが911よりもベースのクーペに忠実である点も見逃せない。

そして最大の決め手は、R8のほうが実用的な範囲内でより手軽にスリルを味わえるところである。特にこの種のクルマが使われるほとんどの局面でそれが可能だというのは大きい。911ターボ・カブリオレには破壊的とでも形容すべき底知れぬ実力で驚嘆させられたが、残念ながらR8スパイダーがふんだんに提供するものを欠いていた。ドラマである。そしてドラマこそが、スーパーカーに欠かせない資質なのである。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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