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ニューモデル 2018.12.29

試乗 レクサスLFA、デビュー当時の評価は 価格に見合う魅力あった? 回顧録

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もくじ

ー レクサス初めてのスーパーカー
ー 超高回転型のV10エンジン
ー 非現実的なギアシフト
ー ステアフィールには不満も
ー 素晴らしいコーナリング性能
ー 高い品質と走行性能
ー 内外装の質感も良好
ー 価格に見合っているか
ー 他に類を見ないスーパーカー

    レクサスLFAアートカー 「F」10周年のワンオフ スパ24時間に登場

レクサス初めてのスーパーカー

レクサスに迷いはない。開発には現代のクルマとしてはかなり長い6年(しかもそのうち少なくとも1年間は大幅な方針の見直しに費やされている)の時間を要したが、LFAは今、確かにここに存在している。彼らはまだるっこしい説明もなくすぐにキーを手渡してくれたばかりか、ニュルブルクリンク北コースの関係者用入場許可証まで用意してくれていた。それほど自らの製品に自信を持っているのだろう。

となれば、レクサスがスーパーカーを製造するにいたったモチベーションやその登場のタイミングに関する疑問は、ひとまずあとの話である。とにかく今は、まだ4台しか完成していない量産型のうちの1台、この36万1000ユーロ(日本での正式価格は3750万円)の豪勢なクルマに失礼のないよう、ひたすら走ることに集中すべき時だ。

そう、トヨタはあの豪華絢爛なランボルギーニ・ムルシエラゴSVよりもさらに10万ユーロ(日本ではSVは4688.25万円でLFAより高い)も上回る値をつけてきたのである。

LFAの価格がまっとうな額なのかどうかを判断するには、そこにレクサスが投入してきたテクノロジーを知る必要がある。そのなかには専用開発された560psの4.8ℓV10エンジン、ふんだんにカーボン複合材が使われたシャシーとボディ、それにトランスアクスル配置の6段シーケンシャルトランスミッションなども含まれている。

超高回転型のV10エンジン

ただし、日本の外にいる人間がレクサスのクルマに期待するもの、つまりハイブリッドシステムは採用されていない。彼らがこのクルマで狙ったのは可能な限りピュアなドライビングエクスペリエンスなのだ。そのためには車重はぎりぎりに抑え込む必要があり、したがって電動式の駆動機構は当然ながら排除されたというわけである。

乗り込んでから20秒後には、わたしは長い間待たされた価値があると感じ(そして聞こえ)始めていた。560psで48.9kgmというスペックは、スーパーカーとすれば最低限の要件でしかないかもしれないが、この数字がLFAのV10エンジンの素晴らしさを十分に表現できているとはとうてい思えない。

9000rpmという掛け値なしの超高回転でレブリミッターが作動するまでまったくよどみなく吹け上がるこのV10の加速の立ち上がり方とシャープ極まりない音質は、まるで純然たるレーシングエンジンのようだ。

もっとも、ある意味ではまさにこれはレーシングエンジンである。なぜならエアリストリクターを除けば、この公道用LFAに搭載されたのは、レクサスが2008年と2009年のニュルブルクリンク24時間耐久レースにエントリーしたLFAに載せたものとまったく同じだからだ。そのうち1台は英国版編集部のスティーブ・サトクリフが今年のグッドウッドで走らせてもいるのだが、その顛末は続く記事にて紹介しよう。

非現実的なギアシフト

公称値の0-100km/h=3.7秒という加速性能を発揮させるためにはめいっぱい回す必要があるが、それがドライブするうえでなんの負担にもならない。なにしろ6000rpmからの加速はまるでミサイルのようで、しかもその際のエンジン音は現在市販されているクルマのなかでも最高の部類に属する。

BMW M5のV10とよく似たサウンドだが音程はさらに高く、音量ははるかに強烈だ。その点ではむしろポルシェ・カレラGTが同類項として思い浮かぶ。このエンジンはヤマハとの共同開発だが、レクサスに期待されるスムーズネスと洗練性はそのままに生々しさと強烈さが加わったこの成果には、深い満足感を覚えた。

そしてギアシフトだが、そこにはさらに非現実的な体験が待っていた。レクサスはエンジンの回転に伴うイナーシャを最低限に抑えたかったので、ギアボックスにはシングルクラッチ式を採用した。しかし、このメカニズムはデュアルクラッチ式よりも積極的なシフトマネージメントが求められるわけで、しかもそれは「ちょっと」といったレベルではない。

LFAに用意されたシフトスケジュールは4種類で、オート/ノーマル/スポーツ/ウェットとなっている。オート以外ではそれぞれ7段階のシフトスピードが設定されているが、もっとも過激な設定での動作は凄まじい。

ステアフィールには不満も

フルスロットルでのシフトアップはリミッターが動作する寸前かほぼ同時だ。非常に正確かつ敏速で、LFAは衝撃的な勢いで速度を上げていく。だが、最高速でアタックするような状況を除いて、たとえばサーキットを離れて普通の公道の速度で走らせる場合には、少々積極的過ぎるようにも感じられる。

一方、それほど過激でないモードではギアシフトは遅くなり、機械的負担も少なくなるのだが、動作そのものはそれほどスムーズではない。いちばんスローな設定でも、ときどきクラッチが滑っているような感触があるのだ。全体的に見て、LFAに関してあまり納得できなかった点がふたつほどあるのだが、このトランスミッションはその問題点のひとつだ。

もうひとつはステアリングである。なんとスーパーカーらしからぬ電動式アシストなのだ。確かに十分に正確でクイックなのだが、あまりに軽すぎるため慣れが必要だ。ホイールからの情報は確かに伝わってきているし、中立位置からそれなりにプログレッシブな手応えがあるものの、最高のスポーツカーたちが備えているような直接的な感触が、LFAのステアリングには欠けている。

加えて下部をフラットにした奇妙な形のリムのおかげで、さらに操舵がややこしくなっている。レクサスによれば、この形状によりステアリングホイールの軽量化が可能になり、より自然な操舵復元性が得られるとのことだ。

意図はよくわかるのだが、もしそうなら、なぜレーシングバージョンのLFAは普通の円形ステアリングを装備していたのだろうか? ただ、ステアリングに関するこの些細な疑問を別にすれば、LFAのハンドリングはサーキットでも公道でも実に素晴らしい。

素晴らしいコーナリング性能

レクサスがカーボンファイバーを徹底的に使った理由は主にふたつある。ひとつはいうまでもなく重量だ。1480kgというLFAの車重はフロントエンジンのスーパーカーとしては並外れて軽い。

それもGPSナビや豪華なトリムを装備しての数字なのだから特筆に値する。ミドエンジンで余分な装備を削ぎ落としたフェラーリ430スクーデリアは確かにこれより軽いが、直接のライバルとなるであろう599は100kgも重いのだ。

第2に、CFRP製のバスタブ型シャシーは途方もなく剛性が高い。この軽さと剛性の高さはLFAの、ごくわずかしかロールせずまったくボディのねじれを感じさせないまま積極的に向きを変えようとする性格に表れている。

こうしたシャシー特性と、イナーシャが非常に少ないエンジンとの組み合わせにより、LFAは強力な旋回G(少なくともドライの路面では)を発揮する。この種のシリアスなマシーンとしては乗り心地も比較的良好で、硬くはあるが騒がしくはない。しかも可変式ダンパーのトリックに頼らずにそれが実現されているのである。

もっとパワーがあったり駆動輪が多いスーパーカーもあるが、コーナーがストレートよりも多いコースでLFAがついていけないような、もしくは確実に速いと言えるクルマは、少なくともわたしには思いつかない。それほどまでにLFAの走りは落ち着いていてフラットだ。

高い品質と走行性能

ブレーキもまたカーボンセラミック製である。フロントディスクの直径は390mmあり、効きは強烈かつ正確だ。サーキットでのLFAは、ほかのどのロードカーよりも自信を持ってブレーキングに臨める。そして公道では、この種のブレーキを装備するどのクルマよりも、低温からしっかりとした効き心地を感じさせてくれた。

こうした要素技術の集積により、LFAは十分すぎるほど速く、旋回性能も同様に卓越しており、制動にいたっては傑出していると言っていいくらいだ。サウンドも見事である。しかし、スーパーカーを名乗るに足るほどエモーショナルなクルマだろうか? そして、このような高価な素材は、半端ではない価格を正当化させるに足るだけの説得力に転化されているのだろうか?

少々ギクシャクするトランスミッションを別にすればLFAは驚くべき実力を備えており、やや冷静に過ぎる感はあるものの、決して無表情なクルマではない。スロットル操作への反応の仕方からシャシーのバランスにいたるまで、LFAは一貫してハイレベルなシャープネスとシリアスさを備えており、スーパーカーと認定するに足るだけの内容があることに疑問の余地はない。

加えてLFAは、レクサスのクルマだけが可能な特徴も合わせ持っている。ディテールへの気配りや高い組み付け品質などがそれだが、これらはいうまでもなく一級品である。ドアやボンネット、トランクを開ければいたるところにカーボンファイバーが露出して見えるが、その仕上げがあまりにも見事で思わず見とれてしまったほどだ。

内外装の質感も良好

同様に、インテリアの作りもかなりものだ。トリムには本革とカーボンファイバー、それにアルミが組み合わされ、ハイテクなTFT液晶タコメーターが組み込まれている。さらに12スピーカーのオーディオも標準装備だが、通常のレクサスのものよりも小型/軽量に仕上げられている。

キャビンの起伏がどうなっているのか、あるいはドライバーとして大きく盛り上がったトランスミッショントンネルを横にした感覚や低い着座位置については、おそらく写真を見ただけではよくわからないだろう。

1980年代に逆行したような赤と黒のコンビネーションはあまり趣味がいいとは思えないが、しかしレクサスが普通のスーパーカーの定石に盲目的に従うのをよしとせず、独自の世界を狙った点は好ましい。ひと目で日本車とわかるデザインながら、スーパーカーに求められる勘どころはしっかりと押さえてある。

同様のことはエクステリアにも言える。カッコいいだとかスタイリッシュだとはお世辞にも言いかねるが、独特の魅力が確かにそこにはある。スポーツカーとしては異例だが、このクルマはディテールを子細に観察できる停止した状態のほうが美しく見えてくるシェイプだとわたしは考えている。

その一例が巨大なリアウイングで、リフトの抑制に効果的なのは事実だが、それよりも油圧で(それもSFのメカのような音で)動作する様子がなかなか感動的で、しかも機能的そのものだ。

価格に見合っているか

このように高品質な作りと徹底した完全主義からLFAは紛れもなくレクサスのクルマであるとわかるのだが、そのコンセプトと目的は、これまでに存在したどのレクサスともトヨタとも違っているように思える。レクサスによれば、LFAの役割はFシリーズのクルマ(この時点ではIS Fのみ)にとっての後光のようなモデルとなることだそうだ。

そして実際のところ、LFAはどの量産車よりもはるかに真摯なクルマにでき上がっている。それは単に走りの性能においてだけでなく、クルマとしての純粋さにおいても同じだ。少人数の才能あるエンジニアたちのチームにより作られた作品であり、それは見ればすぐにわかる。

以上を踏まえたうえで、果たしてLFAは掲げられた価格に値するのか? こと動力性能に関しては、残念ながらノーと言わざるを得ない。既存のスーパーカーはいずれももっと強烈なパワーとストレートでの最高速度、それに(主観の問題だが)はるかに高級なブランドイメージを、格段に安い価格で提供している。

しかし、驚くほどに高いレベルの標準をめざして(おそらく天文学的なコストをかけて)開発されたテクノロジーが、LFAにはぎっしり詰め込まれていることに変わりはない。たとえば、トヨタはカーボンファイバーの品質を確保するため、自社の生産設備に投資している。LFAはわずか500台の限定生産なのだから、この価格でも1台売れるたびに損をするのは明白にもかかわらずだ。

他に類を見ないスーパーカー

LFAで得られるのはハイテクと希少性だけではない。ほかのどのスーパーカーとも違った、このクルマだけのなにかを提供できているのは間違いなく、それは必ずしもほかに優るとは限らないのだが、とにかく独自の世界がある。洗練さと荒々しさは文字にするとあり得ない組み合わせに思えるが、それが現実になっているのである。

イタリア車に比べたらやはり堅実であり、華々しさでは勝負にならないが、堂々とした威厳と危険を匂わせる切れ味では決してひけを取っていない。もしかするとメルセデスとマクラーレンがSLRでやろうとした(が失敗した)のは、こういうことだったのかもしれない。

いわゆるスーパーカーを運転できる(そしておそらく所有している)限られた幸運な人たちにとっても、LFAは単なるガレージの「もう1台」では収まらない。このクルマは比類ない信頼性とエキサイティングな走りを兼ね備えた、ほかに例のないスーパーカーである。

そしてわれわれ普通のひとびとは、今でもスーパーカーを作っている(そしてそれに投資している)メーカーが存在し続けていることに感謝すべきであろう。特にその企画が成功しているとなればなおさらである。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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