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ホンダ・フリード:時代に合わせた「ちょうどいい」を提供

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ホンダ・フリード:時代に合わせた「ちょうどいい」を提供

旬なクルマの情報を網羅した「モーターファン別冊 統括シリーズ」。今回は「Vol.108 2018-2019年 最新ミニバンのすべて」から「ホンダ・フリード」を抜粋してご紹介。レポート=佐野弘宗[本文]/山本晋也[写真解説] フォト=神村 聖/平野 陽

ライバルを凌ぐ優秀な居住性 活発なガソリンエンジンも◎

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 ホンダの国内市場において、フリード(2列仕様のフリード+を含む)は軽自動車のN-BOXに次いで、フィットとほぼ同じくらい売れている日本におけるホンダの屋台骨だ。4.2m台というコンパクトカーに毛が生えた程度の全長に、2列シートを詰め込んだ例は少なくとも先進国市場では非常に珍しく、日本でも現在はフリードとトヨタ・シエンタの二台しか存在しない。

 この種のミニミニバンは、日本では「あって当然」といった風情でシレッと走っているが、改めて考えると、その技術と執念には感心するほかない。なにせ、この小さいナリで最新の安全基準をクリアしつつ大人7人を座らせて、しかも電動スライドドアやハイブリッドまで用意する。まるで米粒にお経を書くかのような超絶技巧(?)である。

 そんな日本が世界に誇る二台のミニミニバンでも、このフリードは「多人数移動車」として、宿敵シエンタより本格的であることが特徴である。そのキモとなるのは、シエンタより35mmほど大きな全高と「収納性より椅子の機能を優先した」という左右跳ね上げ式3列目シートだ。

 シエンタも大人7人がギリギリ不足なく座れるが、そのパッケージ思想は良くも悪くも3列目を緊急用として割り切っている部分がある。対するフリードの空間は全方位でさらに余裕があり、着座姿勢も健康的。2列目スライドをうまく融通すれば、身長180cm級の男性6人が身体のどこも当たらずに座ることができるし、2列目をめいっぱい使いきれば、足元空間はそれこそメルセデス・ベンツSクラスすら凌ぐ。さらに、1+2列、もしくは2-+3列の2パターンでフラット化できるなど、伝統的なミニバン機能をこのサイズでも確保している点も評価すべき。

 動力システムは基本的にフィットやヴェゼルと共通で、1.5ℓのガソリンエンジン車(CVT)とDCTを使った1.5ℓハイブリッドの2機種。さらにハイブリッドでも4WDが選べるところは、積雪地域ではシエンタに対する絶対的なアドバンテージとなるだろう。

 フリードも二代目となり、またオデッセイやジェイドなどスポーツミニバンも手掛けたホンダだけに、フリードのフットワークもなるほど手慣れた感があり高度なデキ。シャシー開発も歴代タイプRなどの経験を持つ腕利きたちが手掛けている。そんなこともあってか、フリードはフル乗車でも安定した姿勢をキープして、正確なライン取りと適度に快適な乗り心地の両立ポイントはなかなかの高みにある。こうした走りはガソリン車でもハイブリッド車でも大差なく、ともに優秀である。

 静粛性や中間加速ではいうまでもなくハイブリッドが少し有利だが、フリードの美点には、安価な1.5ℓガソリン車が意外なほど活発であることも挙げられる。柔軟なエンジン特性と軽いボディを利して、少なくとも1~2名の軽負荷状態であれば、トータルでハイブリッドよりパワフルで速く感じられるほどだ。また、価格でもハイブリッドより約40万円ほど安いが、実際に乗り比べると、その価格抜きでも、純粋に1.5ℓガソリン車を選びたくなるクルマ好きも少なくないと思われる。

G-Honda SENSING(6人乗り)
全長×全幅×全高(mm):4265×1695×1710
室内長×室内幅×室内高(mm):3045×1455×1285
ホイールベース(mm):2740
トレッド(mm) 前/後:1480/1485
車両重量(kg):1350
エンジン種類:直列4気筒DOHC
総排気量(cc):1496
最高出力(kW[㎰]/rpm):96[131]/6600
最大トルク(Nm[kgm]/rpm):155[15.8]/4600
燃料タンク容量(ℓ):36(レギュラー)
トランスミッション形式:CVT
駆動方式:FF
タイヤ・サイズ:185/65R15
最小回転半径(m):5.2
JC08モード燃費(km/ℓ):19.0
車両本体価格:210万円

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