ライバルはM3? 190E 2.5-16?
ボナムス・パドーヴァ・オークションならではの出品車といえるのが、イタリア国内ツーリングカー選手権を席巻したアルファ・ロメオ155GTAに計画されたストラダーレのプロトタイプだ。
製作は実質アバルトのアルファ・コルセが担当したもので、パワートレインは155Q4をベースに、ランチア・デルタHFインテグラ―レのテクノロジーを注ぎ込んだグループNスペックを備える。ポジショニングとしてすでに成功を収めていたメルセデス・ベンツ190E 2.5-16やBMW M3の対抗馬を狙っていた。
その姿は大きく張り出したブリスターフェンダー、別体式の大型リアウイングとフロント・スポイラーが組み込まれたスカート、クイックフィラー風デザインのフューエル・フィラー、そして革装の豪華なインテリアトリムが識別ポイントになる。
こうして様々なテストが行われ、プロタイプはその後プロモーションも兼ねて1994年にアウトドローモ・モンツァで開かれたイタリアGPの際に、あのシド・ワトキンス氏が乗るドクターカーに使われたヒストリーを持つ。
同年12月のボローニャ・ショーで展示されたたが、結局試作だけでカタログモデルとはならず市販されなかった。当時のフィアットの首脳部は6気筒エンジンを積むことを望み、それよりも生産コストの高さから開発が中止され、ストラダーレ・プロトタイプはコレクターに放出されるのだった。
オークションの結果は……?
このような経緯で誕生したアルファ155GTAストラダーレ・プロトタイプは、このオークションでは注目を集め、2304万円と思われる最低落札額が設定されていた。しかし直前になって突然出品取下げになってしまった。もともとミステリアスな存在だけに、その真相とクルマの行方は闇の中だ。
今回はその姿と、アバルトで開発中のデザイン検討中の写真が提供されたのでお目に掛けよう。
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