ホンダの軽トラック、「ACTY TRUCK(アクティ・トラック)」に特別仕様車「スピリットカラースタイル」が登場した。「TOWN」グレードをベースに同社4輪事業における原点といえる「T360」の誕生55周年を記念して青と白の大胆な2トーンボディとしているのが特徴だ。そのイメージ画像としてT360と並んだ2ショットが用意されているが、果たしてT360とはどのようなクルマだったのだろうか。
T360が世に現れたのは1962年の東京モーターショー(正しくは第9回 全日本自動車ショー)。ホンダ初の4輪車としてスポーツカーの「S360/S500」そして軽トラックの「T360」を展示した。そして、この中からいち早く市販されたのがT360で、それは1963年8月のことだった。つまり2018年というのはホンダが4輪事業に進出して(実際の開発は1958年に始まっているが)55周年ということになる。アクティ・トラックの特別仕様車の生まれた背景には、そうしたホンダの歴史がある。
ご存知のように、スポーツカーのSシリーズと並行開発されていた故に、軽トラックといってもT360のエンジンはスペシャルなものだった。なんと4気筒DOHCなのだ。車名からもわかるようにエンジン排気量は354ccと当時の軽自動車規格に収まるものながら4連キャブレターを備えることで30馬力を発生した。しかも発生回数は8500rpmという凄まじいもので、まさにスポーツカーの心臓を持つ商用車といえた。
発売当時のメーカー希望小売価格は34万9000円。現代の基準で見ると手頃な軽トラックに思えるが、1963年というと大卒初任給が1万5000円台、ラーメン一杯50円という物価の時代である。いまの物価にすると500万円という感覚になるが、それほど自動車というのが高嶺の花だったのだ。1964年秋にはホンダ初の4輪専用工場が作られ、生産体制も整備される。そうして、29万9000円に値下げされるなど4輪の普及に向けて努力が続けられた。
これらの事実を再確認した上で、アクティ・トラックの特別仕様車「スピリットカラースタイル」を眺めれば、白く塗られた荷台のあおりに赤い「HONDA」のロゴが大きく書かれていることへの強い思いを感じてしまう。
なお、アクティ・トラック「スピリットカラースタイル」には、T360をイメージした「ベイブルー×ホワイト」のほか、耕運機や発電機などパワープロダクツ製品を想起させる「フレームレッド×ブラック」も用意されている。メーカー希望小売価格は5MT・2WD車で113万5080円(消費税込)、かつてのT360の価格を思えば、ずいぶんと手頃になっている。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
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