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ニューモデル 2018.10.29

BMW M850i 初試乗 英国価格10万ポンド フラッグシップ・クーペ復活

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もくじ

ー BMWブランドの進路を託す
ー Sクラス・クーペより100kg以上軽量
ー ライバルに一歩及ばないインテリア
ー 戦闘力の高いV8エンジン
ー 磨きの足りないフラッグシップ
ー 番外編:視線をそらす時間を最小限に
ー BMW M850i xドライブのスペック

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BMWブランドの進路を託す

何でも新しいものを完成させるには、試行錯誤や細かな軌道修正は不可欠だ。ミュンヘンの自動車メーカー、BMWの新しい8シリーズの仕上がりは、目的を叶えるクルマとして充分なものといえるのだろうか。そんな疑問を抱いた理由は、BMWという自動車メーカーの規模を拡大させるという目的があるのなら、もっと大胆な変化が必要そうだ、というのが率直な印象だったからだ。

8シリーズの存在は、BMWブランドを再定義するためのモデルでもある。実際BMWは、かつてのフラッグシップモデル、グランドツーリング・クーペの8シリーズを復活させることで、BMWをワンランク上のラグジュアリーブランドへ格上げしたいと考えている。同じ目的で、X5よりもひと回り大きく、クロームメッキで派手に飾られた、大型SUVのX7も先日登場した。ブランドの進路を変更していくには、大型の石油タンカーも必要なようだ。

一方でBMW製のクーペは、SUVが幅を利かせる21世紀において、新鮮な存在でもあるし話題性も充分にある。エレガントでモダン。最先端の技術をふんだんに搭載し、ラグジュアリーでありながら、注目せずにはいられない容姿。そして、真のスポーティな走り。どれもBMWらしい、ストロングポイントだと思う。

今回の試乗車は、8シリーズの中でもトップグレードとなるMパフォーマンスM850i xドライブ。筋肉質で流麗なスタイリングには、空力向上を狙った「M」流のスカートやカナードが加わっている。ただし、バンパーに大きく穿たれたエアインテークや、グロスブラック仕上げのカーボンファイバー製ボディトリムで飾られるが、そのアグレッシブさは、少しやり過ぎにも見える。

スポーティさを狙ったボディキットがなくても、8シリーズの低く長いフロントノーズを基調とする全長の長いプロポーションと、緊張感の漂う面構成や特徴的なデザインのディテールなど、クルマの存在感は大きい。スタイリングの好みは往々にしてあるとはいえ、純粋に美しいとはいい難いとは思うが、ほかと異なるオーラが漂うことも確かだ。

Sクラス・クーペより100kg以上軽量

8シリーズは今年の11月に、英国での販売が開始され、当面のエンジンのライナップは2種類。BMWではお馴染みの、320psを発生させる直列6気筒3.0ℓツインターボ・ディーゼルを搭載した840dの価格は、7万6000ポンド(1124万円)。今回の試乗車、M850iに搭載されるのは、4.4ℓのV型8気筒ツインターボ・ガソリンエンジンで、若干手を加えることで530psを発生。価格は大台超えの10万ポンド(1480万円)から。より安価な直列6気筒ガソリンエンジンを搭載する840iも追加予定で、さらに本命のM8も登場するはず。すべてモデルで四輪駆動のxドライブが搭載されることになる。

2015年以降の6代目7シリーズを筆頭に、8シリーズも縦置きエンジンに対応する、CLAR(クラスター・アーキテクチャー)プラットフォームを採用。ボディ構造には、高張力鋼板にアルミニウム、マグネシウム、カーボンファイバーなどが適材適所で用いられている。その結果、大柄なボディの割に車重は比較的軽く、四輪駆動分のドライブシャフトが追加されるにも関わらず、同クラスのメルセデス・ベンツSクラス・クーペより100kg以上も軽量に仕上がっている。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式、リアがマルチリンク式で、BMWの大型モデルによく見られる組み合わせ。しかし、サスペンションのセッティングや車軸の動きを最適化させるため、サブフレーム・マウントやホイールベース、トレッドなどは、プラットフォームを同じくするモデルとは異なっている。四輪操舵システムも、フロントのアクティブ・ステアリングとセットで標準装備。アダプティブダンパーとアクティブ・アンチロールバーがセットになる「アダプティブMスポーツ・サスペンション」はオプションとなる。

今のところ、8シリーズには、7シリーズや6シリーズでは選べる、アクティブ・エアサスペンション・システムの設定はなく、この大きなGTクーペを支えるのはスチール製の一般的なコイルのみ。BMWの他のモデルが搭載するマルチチャンバー・エアサスペンションの挙動を見る限り、スポーティなGTにとっては、好ましい選択とはいえなさそうだ。むしろ通常のコイルサスペンションは、良い選択なのかもしれない。

ライバルに一歩及ばないインテリア

8シリーズの成功を占ううえでも、インテリアの第一印象や仕上がりは、重要な部分。かつての6シリーズ・クーペは、5シリーズと素材の部分での共通性が関係していたためか、モデル・ヒエラルキーの中ではフラッグシップという位置づけよりもやや低いポジションにあったことを思い出す。

ミュンヘンの企業が全力を出し、しがらみを拭い、世界のラグジュアリー・グランドツアラーに伍する車内空間を獲得できているのかというと、正直、即答しにくい。部分的には良い箇所もあるのだけれど。

モダンな住宅の備え付け家具に見られるような、艶のないマット・クロームが随所に用いられてはいる。わたしの印象としては、近年のBMWはモデルチェンジの度に、クロームメッキ・パーツのインテリアで占める割合が増えている印象がある。しかし、それらキラキラしたパーツは、極めて上品にレイアウトされており、空間全体から受ける印象としては、とても豊潤で高価な雰囲気だと思う。シートのできもすばらしい。狙い通りに。

運転席に座ると、目の前に広がるのはBMW製の新世代インフォテインメント・システム、iドライブ7.0のタッチモニターで、インターフェイス・デザインは新しくなり、メニューでカスタマイズできる項目も増えている。そして正面には、ライブコクピット・プロフェッショナルと呼ばれる、デジタルインスツルメント。モニターのサイズは12.3インチと大きいが、BMWも遂にアナログメーターから卒業してしまった。

トランスミッション・トンネルを覆うセンターコンソールのデザインも新しくなっている。シフトノブとiドライブのセレクターの他に、エンジンのスタートボタンやオーディオのボリュームノブがレイアウトされている。ちなみにオプションで、綺羅びやかなカットが施されたクリスタルガラス製のシフトセレクターも選択できる。

世界中のプレスを招いた壮大な規模の発表会での印象は、全体的には素晴らしいものだった。しかし、素材の上質感や品質の高さ、先進的な技術などの魅力で、ポルシェ・パナメーラやアウディS7、メルセデス・ベンツSクラス・クーペを明確に超えているとは、感じられなかった。

戦闘力の高いV8エンジン

一方で、M850iに搭載されるV8エンジンは、かなりの戦闘力を持っている。組み合わされる8速ATとともに、スムーズでレスポンスも鋭い。中回転域では柔軟性に飛んだトルク感があり、高回転域ではBMW M5との共通性も感じられる、暴力的とさえ思える好ましいフィーリングがある。

メルセデス-AMGのフルスペックモデルやアストン マーティンDB11などを持ってしても、現実世界の環境においては、互角以上の走りができるほど、速いと思う。また遮音性にも優れ、クルージングスピードでは、心地よい静けさに包まれる。でも、わたしの場合はV8エンジンのノイズを聞きたい衝動に駆られ、思わず右足に力が入ってしまう。ステレオのスピーカーから人工的に鳴らされるノイズは、幾分穏やかな設定のようだ。

8シリーズにも採用されている、インテグレイテッド・アクティブステアリング・システムは、フロントタイヤの切れ角をスピードに応じて制御し、加えてリヤタイヤのステアリング機能を組み合わせたもの。ほかのモデルと比較すると、直感的なものに改善されてはいるものの、大型グランドツアラーに望むような、コミュニケーション性に優れた魅力的で自然なステアリング・フィールとまでには至っていない。

ステアリングホイールから感じ取れるフロントタイヤの接地感は物足りなく、中心付近での安定性にも掛けている印象。ドライビングモードを変更しても、ステアリングの重さに明確な変化がないうえ、ランナバウト(ロータリー交差点)を抜けるような場面では、軽くクイックに突然変化する印象があり、驚かされるひともいるだろう。クルマの挙動変化にドライバー側が合わせなければならない点は、ドライブを楽しむ面での障壁になっていると思う。

磨きの足りないフラッグシップ

しかし、高速コーナーの続くような道では、どんな大型グランドツアラーと比較しても、M850iが機敏で魅力に溢れた優れたハンドリングを得ていることに気付く。リアタイヤには標準でBMW自慢のeデフが装備され、ハンドリングバランスを整えつつ、激しい操作を加えても、比較的穏やかで懐の深い反応を示してくれる。加えて過大なパワーを掛けた状態でも、トラクションや安定性が損なわれることもない。

スチールコイル製の乗り心地はどうか。平均よりは上だとは思うけれど、フラッグシップモデルとして期待するほど、洗練された繊細な乗り心地にまでは至っていない。

テスト車両のM850iにはアダプティブ・ダンパーが装備されていたが、コンフォートモードでは柔らかすぎ、高速道路程度のスピードになるとやや落ち着きがなく、リバウンドも感取されるから、ダンピング不足だと思われる。スポーツモードではボディコントロールは改善し、しなやかさも保たれてはいるが、長距離ツアラーとしては望ましくない、ゴツゴツとした感触が伝わってきてしまう。

念のためタイヤを確認してみたが、M850iが履いていたのはランフラットではなく、通常のタイヤ。ほかのグレードではランフラットが設定されるはずだ。

これらの印象をまとめると、快適性に優れ、ラグジュアリーで品のあるクーペを探すなら、メルセデス・ベンツやアウディ、ベントレーのショールームを覗いたほうが、堅実だということになる。反面、心をくすぐるダイナミズムに溢れたドライビングを味わいたいのなら、M850iは悪くない選択肢だと思う。だが、ポルシェ・パナメーラという存在もある。エアサスペンションを採用した他社のグランドツアラーも、M850iより僅かだが、優れた乗り心地と快適性を備えている。

BMWの先代8シリーズが存在した1990年から、2+2のシートレイアウトを持ったグランドツアラー・クーペを取り巻く環境や市場は大きく変化してしまった。8シリーズの復活は、エンスージャストとしては歓迎すべきことではある。しかし、グランドツアラーのハイエンドモデルとして、一目置かれる存在となるには、まだ幾つか、磨きを加える必要性があると思う。

番外編:視線をそらす時間を最小限に

BMWがiドライブと呼ぶインフォテインメントシステムは、最新版のX5以降、7.0にアップデートされている。バージョン6.0から大きく変化したポイントは、10.3インチのセンタースクリーンのホーム画面上で、ナビゲーションの地図を表示したまま、四隅にタイル状のボタンを配置できるようになったこと。このタイルには、システムのエンターテイメント項目や、電話機能など、好きなものを設定できる。また、タイルに設定した項目の組み合わせを複数保存でき、スマートフォンのように左右にスワイプすることで、切り替えることも可能になった。

これにより、ドライバー正面のインスツルメントモニターの表示項目にも柔軟性を持たせられるだけでなく、操作性が向上することで、視線をモニターに落とす機会を減らす目的がある。運転中でも、前方から目をそらす必要性が減るのだ。

一方で、新しいライブコクピットと呼ばれるデジタル・インスツルメントの登場は、シンプルで美しくBMWらしい、円形のスピードメーターが消えてしまうということでもあり、寂しく感じる読者もいるだろう。半分に切られた八角形のような形状のデジタルメーターは、アナログメーターほど読み取りやすいものではない。しかし、ヘッドアップディスプレイに走行速度を表示させることも可能だから、BMWは気にしていないのかもしれないけれど。

BMW M850i xドライブのスペック

■価格 10万0045ポンド(1480万円)
■全長×全幅×全高 -
■最高速度 249km/h
■0-100km/h加速 3.7秒
■燃費 9.9km/ℓ
■CO2排出量 228g/km
■乾燥重量 1890kg
■パワートレイン V型8気筒4395ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 530ps/5500-6000rpm
■最大トルク 76.3kg-m/1800-4600rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

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