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ニューモデル 2018.10.6

新型プジョー508 フランス巡る旅 フレンチサルーンへの愛は変わらず

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もくじ

ー フレンチサルーン 504の再来?
ー 舞台はフランス 旧国道508号線
ー ノイズは問題無し シフトも素晴らしく
ー カフェで大人気 他人も幸せに
ー 番外編1:プジョーの200年
ー 番外編2:プラットフォーム新時代

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フレンチサルーン 504の再来?

数年前、主力のDセグメントサルーンに新たなキャラクターを与えようなどと考える主要メーカーがあれば、そんなことは現実的ではないとでも言ったかも知れない。かつて大型4ドアサルーンこそ真っ当な家族のためのクルマであり、こうしたモデルが子供を迎えに学校へと向かう姿をよく目にしたものだ。

だが、今やその座はSUVのものとなっている。新時代のエアロダイナミクスと最新のライティングデザインの恩恵を受けて、ファミリーサルーンはより滑らか且つ、ある種の優雅さを身に着け始めているが、こうしたモデルを路上で目にすることは珍しくなりつつある。かつては英国中を走り回っていたフォード・モンデオだが、ここ10年は英国におけるベストセラーカーリストでは希少な存在であり、プジョー508に至ってはリストのはるか下にランクされている。

そんななか登場したのが新型508であり、驚くべきことに、プジョーは今回のモデルチェンジをチャンスと考えたのだ。ちょうど50年前、快適さと洗練性、そして耐久性でライバルたちを軽々と凌ぐ伝説の504がデビューしたときから、彼らの「5つの特徴」を持ったモデルづくりが始まった。504は多くのひとびとに愛され、アフリカでは2006年までナイジェリアで生産が継続された。


一方、欧州では1979年に、504に比べれば平凡なモデルでしかない505がデビューしているが、プジョーの「5つの特徴」を持つクルマ作りは、407と607の後継として2011年に登場したやや大柄なボディの先代508まで棚上げ状態だった。その結果は厳しいもので、残念ながら先代508も卓越したモデルとは呼べなかった。

いまだ新型508が上陸していない英国からすれば、今回のモデルチェンジはまったく不要なものに見えるかも知れない。だが、プジョーのトップはフランスと、中国に代表されるアジア市場からのサルーンモデルに対する継続的な力強い需要を認識しており、だからこそ、モデルチェンジを決断するとともに、2010年のコンセプトカー、SR 1で初めて披露したデザインコンセプトを採用することで、新型508を特別なモデルにしようと考えたのだ。

その結果が、より短く、より低く、より軽量ではるかに美しくなったこのモデルであり、フランスでの登場後すぐに行った最初のテストでは大きな喝さいを浴びることとなった。

舞台はフランス 旧国道508号線

クラストップの座へと返り咲いた新型508の登場は、ブランドを象徴するモデルである504から数えてちょうど半世紀後の出来事であり、多くの新たな基準を打ち立てることに成功している。

では、この素晴らしい瞬間をどうやって記念すべきだろう? しばらく考えた後、フランスで新型508をピックアップして、フランス南東部のアヌシーを起点に、この国で最も素晴らしい景観を抜けてふたつの山岳国立公園を繋いでいる、かつての国道508号線をドライブしてみることにした。

さらに、現在ではD1508と呼ばれているこのルートから足を延ばすには、ソショーにあるプジョーミュージアムは丁度よい距離にあった。ここは200年にわたるプジョーの歴史を展示するとともに、新型508の生産拠点であるミュルーズ工場にも隣接している。この工場では、他のモデルと共に新型508が採用するPSAグループのフレキシブル大型プラットフォームを用いた、柔軟な生産が可能となっている。

リヨンまでは空路で移動し、クルマをピックアップした後、アヌシー湖の東岸を南下して、旧508号線に途中から合流し、その最南東端となるジュネーブの真下に位置するユジーヌ近くまで向かう。その後、旧国道の最北西端まで129kmを走り、宿泊のためオーソンヌ近くのフラムランまで北上を続けると、翌日にはミュージアムとミュルーズ工場のあるソショーへ向かうため東へと進路を変え、バーゼル空港から帰路につくルートだ。


ロードテストを忘れて、新型508を故郷であるフランスで最初に運転すると、ふたつのことに驚かされる。最初の驚きはその小粋なルックスであり、スポーツカーを除けば、文字通り他のどんなモデルよりも車高が低いのだ。先代モデルと比べ6cm低く、8cm短く、そして100kgも軽量となっている。キャブフォーワードスクリーンとフレームレスのドアをもつ新型508は、洒落たクーペや使い勝手の良いエステートといったモデルのベースというよりも、それ自体が美しくなるようデザインされているという印象を与える。もちろん、新型508にもエステートは追加されるが、間違いなく美しいモデルになるだろう。

さらに、このモデルはドイツ製サルーンとは違うということにも気付くだろう。フォルクスワーゲンやヴォクゾール-オペルといったモデルの最近のダッシュボードデザインは、保守的な方向を志向しているようだが、これまでで最高の出来栄えをもつプジョーがiコックピットと呼ぶ新型508のキャビンでは、インフォテインメントシステムの合理的な操作が可能なピアノキーがその中心を埋め尽くし、完全にドイツ勢とは一線を画している。興味深いことに、恐らくプジョーの成功に触発されたのだろうが、フォルクスワーゲンも次世代モデルではこうした方向へと舵を切るようだ。

ノイズは問題無し シフトも素晴らしく

D1508を走っていると、なぜこの古くからの道がこのようなルートを通ることになったのかが直ぐに理解できるだろう。われわれの旅は、このD1508の最南西端から始まることになるが、この道はときおり両側に岩肌が積み上がり、平らな谷底を縫うように続いている。どんなクルマにとっても険しすぎる、自然が創り出したこの険しい岩山に穿たれた道を思えば、かつてこの道を造ったひとびとは、その作業の困難さゆえに自身の幸運を信じるしかなかったに違いない。

D1508はフランスでは時おり遭遇する滑らかな路面の素晴らしい道路であり、新型508を含めた最近のプジョー独特の低く設置された小径ステアリングホイールでも、無理なハンドル操作を強いられることなく、メーター越しの完ぺきな視界を楽しむことができた。滑らかな路面では、508の抑制されたロードノイズを、例えばアウディといったようなモデルと比べることは出来なかったが、その機会は直ぐにオートルートで巡ってきた。どちらの路面でも、130~145km/h程度の速度では、フレームレスドアに起因するウインドノイズが気になるようなことはなかった。


われわれが乗っていたのはハイスペックなGTモデルだったが、左ハンドルのフランス市場向けであり、英国に導入される508とは異なる仕様だった。この車両が積んでいたのは、224psを発揮するプジョー謹製の1.6ℓ4気筒ダウンサイズエンジンであり、標準の8速オートマティックギアボックスと組み合わされていた。コーナーと直線でマニュアルシフトとオートシフトを切り替えてみたが、直ぐにオートシフトがいかに上手く調整されているかが明らかとなった。

マニュアルシフトでは、ときおり小排気量エンジンゆえの低回転域での力不足を感じることになる。つまり、つねにオートモードを選択しておく方が賢明だということだ。かすかにギアチェンジの音は聞こえてくるものの、ショックを感じることはほとんどなかった。さらに、1.6ℓエンジンではとくにそうだが、エンジン回転数を見て、その低さに驚かされることになるだろう。

カフェで大人気 他人も幸せに

アヌシーを後に旅を続けていると、街を行くひとびとからの視線に気付いた。クルマに詳しくなくても、新型508の低く流れるようなシルエットは、これまでのセダンとは違うという印象を与えるようだ。D1508で最北端のポイントへと向かう途中、ランチタイムにロードサイドのカフェで休憩していると、フランスでのこのクルマに対する注目度の高さが明らかとなった。

このカフェは毎日のように近隣の工場や農場で働くひとびとがランチにやってくる場所だった。埃っぽい駐車場に何台もピックアップトラックが入ってくると、新型508はこのクルマに興味を持つひとびとに囲まれることとなった。ドライバーズシートに座るよう勧めてみると、彼らは笑みを浮かべながら話しつつ、508の素晴らしい品質に納得した様子を見せた。新型508の存在を知っているだけでなく、そのスペックに関する彼らの知識には大いに驚かされたが、フレンチサルーンに対する変わらぬ想いにも心を打たれた。

友人からの電話で、この新型508を見るため、ひとくみの親子が6年落ちの先代508のディーゼルに乗って驚くほどのスピードでやってきた。道の反対側から縁石を乗り越え、われわれの508の横に慌ててクルマを停めると、他のひとびとと共に貴重なランチタイムの20分を使って新型508をチェックしながら、その横で写真に納まっていた。508のオーナーとして、この親子には特別な地位が与えられているようだったが、他のひとびと同様、彼らのこのクルマに対する評価も上々だった。ここには皮肉屋などいないのだ。


興味深くも有益な体験だった。大型サルーンが英国で注目を集めるようなことはないかも知れないが、われわれがカフェで経験したとおり、フランスではそうではない。すべてのルートを走りきり、いまやその価格を考えれば、最高のサルーンモデルの1台と言うべき新型508の洗練されたクルーズ性能と快適さを十分楽しんだ。

ソショーにあるミュージアムでは、プジョー黎明期のモデルたちが展示されていたが、やはり504は依然として特別な存在であり、さらには、508ワゴンを示唆しているであろう大胆なシューティングブレークのコンセプトも間近で見ることができた。

それでも、今回の旅における個人的な最高の思い出は、新型プジョーと同じ数字を持つ国道沿いで、われわれの508に乗り込んだ、ギャストンという名の興奮した様子の老人のことだろう。彼はコーヒーを飲みながら、新型508の装備とスペックに対するわたしのコメントを、まくし立てるようにフランス語で繰り返した。1台の新車がこんなにも誰かを楽しませることができるなんて、滅多にあるものじゃない。

番外編1:プジョーの200年

フランス東部に位置するソショーにあるプジョーミュージアムを訪問して驚かされることのひとつが、プジョーのファミリービジネスの始まりについて知ることだ。他の自動車メーカーやバイクメーカーとは違い、彼らの創業物語は資金不足に悩む若者による立身出世の物語ではない。

自動車メーカーとしては「わずか」133年の歴史しかないものの、プジョーには200年にも及ぶ社歴があるのだ。

ダイムラーとベンツのはるか以前、プジョー家は女性向けの服飾製品(1850年から1870年にかけて、毎月2万5000個のクリノリンと呼ばれるペチコートを作り出していた)とキッチン用品、手術道具、精密工具などで隆盛を誇っていた。実際、プジョーのライオンのエンブレムはもともと、大ヒットしていたノコギリのラインナップの豊富さと、その歯の鋭さを象徴するものとして登場している。


1870年、後に「カーガイ」の先駆けとなるアルマン・プジョーが、家族の命によって仏露戦争の影響を避けるべく英国へと送り出された。多くをオートバイと原動機の世界へと導いた自転車業界に彼は身を投じ、その後フランスに戻ると、1891年にはPanhardのエンジンを積んだプジョー-セルポレ・タイプ1を作り出し、その後も順調に歩みを進めることになる。アルマンは勃興期にあったフランス自動車業界における主要人物のひとりとなり、初期のモータースポーツにも関与している。

ソショーでは、こうした歴史が分かり易く説明されるとともに、よりモダンなプジョー製公道モデルやレースカーも展示されており、一見の価値ありだ。

番外編2:プラットフォーム新時代

「5つの特徴」を持つモデルとして504が登場してからちょうど50年目の今年こそ、この高名な祖先と同じく新鮮なルックスをした完全新設計の508が英国へと上陸するには、まさに相応しいタイミングと言えるだろう。

新たな造形を得た508はプジョーにとって、現代に相応しい柔軟な生産体制から生み出された初のファミリーサイズモデルとなる。PSAグループが送り出すSUVのプジョー5008とDS 7とは、EMP 2モジュラープラットフォームを共用しており、同じくミュルーズの工場で生産される。PSAでは将来的に108のような共通デザインのモデルを除き、すべての主要モデルをわずかふたつのプラットフォームで作り分ける計画であり、EMP 2がミッドからファミリーサイズのモデルをカバーする一方で、シティカーとコンパクトモデルにはCMPプラットフォームが採用されることになる。


508の現代的な特徴のほとんどすべてが、その柔軟な生産システムによって作り出されたものだ。高い技術によって実現したフロントのサブフレームは100kgもの軽量化とともに、ロードノイズの削減をも実現しており、6cm低くなったルーフラインと、より傾斜を強めたウインドウデザインは、プジョーが「目に見える高級感」と呼ぶ印象的なハッチバックスタイルを実現している。さらに、最新のプラットフォームによって、大径ホイールと、リアには洗練のマルチリンクサスペンションを採用することができ、ハイブリッドやPHEVといったパワートレインへの対応も可能にしている。

EMP 2プラットフォームは、PSAの中国合弁事業における高い将来性を示すかのように、パートナーの1社である東風汽車でも使用されている。

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(AUTOCAR JAPAN スティーブ・クロプリー)

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