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フルモデルチェンジしたBMW X5を評価 路面問わぬ満足度 ベストの選択肢

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フルモデルチェンジしたBMW X5を評価 路面問わぬ満足度 ベストの選択肢

もくじ

どんなクルマ?
ー もはやX5はBMWの代名詞
ー 優れた燃費とドライバビリティを両立
どんな感じ?
ー 不満の感じられない車内
ー 高い洗煉性を備えたディーゼル
ー ドライバーズカーとして優れた完成度
「買い」か?
ー クラス・ベストの選択肢
スペック
ー BMW X5 xドライブ30d Mスポーツのスペック

新型ボルボV60 日本仕様T5インスクリプション試乗 価格599万円

どんなクルマ?

もはやX5はBMWの代名詞

1998年に登場して以来、これまでに220万台もの数が売れているBMW X5。当時のBMWとしては初のSUVであり、大成功を遂げたモデルといっていいだろう。今回テストするのは、ほとんどすべてが新しくなった、最新の4代目となる。

これまで40年にも渡ってBMWの開発に携わってきた、ジョアン・キストラーによれば、この4代目X5には、3項目の開発目標があったという。ひとつは、快適で不足のないオフロード走行性能を備えつつ、BMWのブランドに相応しい、スポーティなドライビングが可能だということ。

ふたつ目は、音質面だけではない、洗煉性を高めること。「X5はBMWの中でも高級な車種に属していますが、最も売れているクルマでもあります。使用する素材や仕上げの水準で、不足のないプレミアム感を演出する必要があるのです」とキストラーは話す。つまり、もはやX5はBMWの代名詞でもあり、優れた印象を植え付けなければいけない。

みっつ目は、コンピューターに運転されている感覚なく、高水準の運転支援技術を備えること。

これらの目標を叶えるため、X5は明らかに先代よりも大きくなった。全幅は66mm、全長は36mm、全高も19mm成長している。このボディサイズの変化は、X3など下位モデルとの差を広げるためではなく、安全性とパッケージングによるものだと、キストラーは説明する。

リアシートのくびれた座面に無理なくチャイルドシートを3脚並べ、厳しいポール側面衝突テストをクリアするには、全幅を広げる必要があり、車内長を拡大するために、ホイールベースは42mmも伸ばされている。

ドアパネルやフロント周り、主要な骨格などボディの大部分はアルミニウム製となり、ディメンションは大型化させつつ、同等の装備を備えた状態での重量層を抑えている。キストラーによれば、7シリーズで採用されているようなカーボンファイバーを用いることは、X5で必要な台数を量産することには適さないという。

優れた燃費とドライバビリティを両立

エンジンは基本的に先代モデルからのキャリーオーバーとなるが、より厳しい新基準のWLTP試験(乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)やRDE試験(路上走行試験)に向けて、大幅な改良を受けている。当面のエンジンのラインナップは3種類。264psを発生させる3.0ℓの30dは、従来の直列4気筒から、直列6気筒に変更されている。アメリカでは6気筒エンジンの人気は高く、英国でも65%の販売数を稼ぐとみられている。

若干お金を上乗せすれば、3.0ℓの6気筒ガソリンエンジンから339psを発生させる40iが選択可能。当面の間は400psを発生させるディーゼルエンジンが最上級のパワートレインとなる。さらに、4基ものターボで過給される6気筒ディーゼルを搭載するM50dと、V8ガソリンにプラグイン・ハイブリッドを組み合わせた50iも間もなく加わる予定だ。

基本的には先代から継続となるエンジンながら、WLTP試験やRDE試験では優れた成績を残している。実際の日常利用において、優れた燃費と高いドライバビリティを両立させるのは挑戦的なことだと、パワートレインの開発責任者、ラインハルト・ブランドスタッターは話す。

40iに搭載されるエンジンは、350barの燃料噴射圧に対応するため設計を変更。さらに微粒子フィルターと高効率な冷却システムのほか、回転抵抗を抑える目的で、シングル(1列)のタイミングチェーンが採用されている。エンジンの重量も6kg軽く仕上げられた。

今回のテスト車両、30dのエンジンももちろん手が入っている。それほど大規模なものではないが、排気ガスは触媒とアドブルー(尿素水 )によって浄化される。BMWでは通例だが、車高調整式のエアサスペンションが採用されており、スタンダードグレードのXラインから、モデル構成に抜かりはない。

さっそく、BMWの代名詞の走りを確かめてみよう。

どんな感じ?

不満の感じられない車内

インテリアは、基本的に気になる部分は見つからないだろう。インスツルメントはデジタルモニター式になり、目盛りの数字には特徴的な書体が用いられている。X5の場合、多くの人がオプションで選択するであろう、クリスタルのシフトノブは、ボルボのそれを想起させるもの。

近年のアウディやレンジ・ローバーに採用されている、センターコンソールの使い勝手の良くない2面式のモニターは歓迎できるものではないが、X5に採用されたのは12.3インチの大型モニター1面と、物理的なiドライブ・コントローラー。インフォテインメント・システムの使用感も快適だと思う。

ヘッドアップ・ディスプレイの表示はやや煩雑だが、加熱と冷却が可能なカップホルダーに、1500Wの最大出力を持つハーマン・カードン社製のステレオなども装備。ヘッドライトはレーザー式となり、まるで灯台からの光のように鋭く、従来のヘッドライトの倍の照射距離を誇る。車内でマイクロソフト社のオフィス365の使用と、リスクはありそうだが、スマートフォンをクルマのキーとして設定できる、インターネット・コネクティビティのオプションも選択ができる。

ほかにも目を引く機能は盛りだくさん。オフロード走行時では、各タイヤの状況を、まるで外から見ているかのように、インフォテインメント・システムのモニターに表示することが可能。もし絶壁ギリギリの道や、大きな岩がゴロゴロしているような場所に踏み入れても、充分足取りに注意することができる。

3列目シートへのアクセスを向上させるため、ボタンひとつで2列目のシートを電動でスライドさせ、折り畳む機能も盛り込まれている。またテールゲート下部に備わったボタンを押すと、荷物が積みやすいように、車高を40mm下げることができる。

高い洗煉性を備えたディーゼル

そしてBMWのX5として、従来どおりの慣れ親しんだインテリアの雰囲気に加えて、ドライビングポジションもいつもどおり。また高められた洗煉性は、アイドリング時にぐっと低められた、ディーゼルエンジンが発するノイズに感じ取ることができる。知的なトランスミッションに任せて控えめに走れば、その音は、走行中でも殆ど聞こえないだろう。

フォルクスワーゲン・トゥアレグ3.0 TDIなど、WLTP試験に対応した多くのモデルとは異なり、このX5のドライバビリティは滑らかさが保たれている。ディーゼルエンジンは燃費を稼ぐため時折停止するが、再始動の際の振動もほとんどなく、タコメーターの針が動くことで、エンジンが止まったり動いたりしていることに気づく程度。ただ、華麗な仕草というわけではないけれど。

X5の0-100km/h加速は6.5秒とうたわれているが、実際はそれほど速く感じられない。また手動で変速をすると、2000rpm以下では若干のタイムラグも感取できる。スポーツモードでは、ドライブトレインは活発さを増すが、ステレオのスピーカーから聞かせてくるディーゼルエンジンのノイズは、少し余計な気がする。

すべてのエンジンは、洗煉性を高め、ワイドレシオ化された8速ATと組み合わされる。4輪を駆動し、通常はほとんどのトルクを後輪へ伝達。販売数の80%に達すると見込まれるMスポーツパッケージには、電子制御されるディファレンシャル・リアデフを搭載する。

ドライバーズカーとして優れた完成度

今回のテストルートには、SUVよりもマツダ・ロードスターの方が適しているような、九十九折の郊外道も含まれていたが、ダイナミクス性能は間違いなく優れている。オプションとなるが、ステアリングがクイックになるインテグラル・アクティブステアリングと、並々ならぬグリップ力に慣れてくると、2.5tもあるクルマが、卓越したボディコントロールを備え、率先してアンダーステアを抑え込んでいることに気づくだろう。フロントタイヤの動きもしっかり知覚できる。

ただ、スポーツモードでもアクティブステアリングが後輪の舵角を絶え間なく変化させ、攻め立てた時の感覚は、なにか違和感のようなものも感じなくはない。都市部での走行では役に立つ機能なのだが。X5ほどの大きなSUVをスポーツカーのように飛ばす人は多くはないことはいえ、後輪操舵は別として、X5はドライバーズカーとしての優れた完成度を得ていることは確かだ。

オフロードでの走行性能も非常に高い。太いトルクに柔軟なサスペンション、様々な電子制御技術で、路面を問わず、走り続けることができるはず。急な坂道を下る際に役立つ、ヒルディセント・コントロールは標準装備となる。新しいオプションのオフロードパッケージには、強固なアンダーカバーとセンダーデフロックに加え、サンド、グラベル、ロック、スノーの4種類のドライブプログラムが追加される。

もしさらに走りを楽しみたいなら、ガソリンエンジンを搭載した40iに分がある。軽快に変速するトランスミッションと組合わさり、全回転域に渡って6気筒エンジンは心地よいサウンドを奏でてくれる。反面、静かにクルージングさせることもたやすい。

ひとつ気になる点というと、20インチホイールによる、剥がれた路面などでの衝撃。乗り心地は全体的には秀逸なのだが、マルチ・エアチャンバーを採用するライバルもある中で、X5は衝撃吸収ではやや劣るシングル・エアチャンバーを採用していることも理由かもしれない。

「買い」か?

クラス・ベストの選択肢

X5の弱点はほとんどないといって良い。恐らく、多くのユーザーにとって、この大きなBMWに不満を感じるところは殆どないのではないだろうか。中国のユーザーからすると、後部座席の足元の空間が狭いと、感じることはあるかもしれないけれど。

大成功を収めているX5の最大の特徴は、オンロード、オフロードを問わず、ドライバーも満足感を得ることができる、極めて高い完成度を備えたファミリー・トランスポーターだというところ。大型化されたキドニーグリル以上に、熟成の高みは上をいっている。

少なくないライバルモデルの中において、このクラスの選択肢としては、ベストといえる1台だ。

BMW X5 xドライブ30d Mスポーツのスペック

■価格 6万995ポンド(902万円)
■全長×全幅×全高 4866×2184×1762mm
■最高速度 230km/h
■0-100km/h加速 6.5秒
■燃費 16.1km/ℓ
■CO2排出量 162g/km
■乾燥重量 2110kg
■パワートレイン 直列6気筒2993ccターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 264ps/4000rpm
■最大トルク 63.0kg-m/2000-2500rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

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