もくじ
どんなクルマ?
ー 3度目の小改良 WLTPサイクルに対応
ー 新エンジン、排気量拡大 バッテリー性能も向上
三菱アウトランダーPHEV 2018年型に試乗 ほぼEV、現実的に未来しめす
どんな感じ?
ー リラックスできるクルマ
ー 細かい点で洗練性を増している
ー 価格に及ばぬ上質感
「買い」か?
ー 唯一無二の存在
スペック
ー 三菱アウトランダーPHEVのスペック
どんなクルマ?
3度目の小改良 WLTPサイクルに対応
英国で最も売れているプラグインハイブリッドは三菱アウトランダーPHEVだが、今回はこの2019年モデルの中級グレード「4h」に、英国内で初めて試乗することができた。
「PiCG」と呼ばれる超低エミッション車への補助金が適用され、価格は3万5000ポンド(508万円)以下から購入できる。
アウトランダーPHEVは2014年に登場して以来、3回の小改良を受けており、ラインナップも拡大している。
今回の小改良のポイントは新基準であるWLTPへの対応だ。現在販売されている多くのPHEVは、旧基準が適用されていた8月までに審査を通過したクルマで、アウトランダーはWLTPの基準に対応できている数少ないPHEVの1台だ。
例えば、フォルクスワーゲン・ゴルフGTEやBMW 330eは現在、販売を停止しているが、これはWLTPへの対応ができていないためである。とはいえ、しばらくの間は改良前のモデル在庫が販売され、見つけるのは難しくないだろう。
三菱としてはこのタイミングで、乗り換えを考えている他社製のPHEVオーナーを取り込んでおきたいところだ。そして、三菱がスムーズに納車することができれば、そのチャンスは十分にある。
クルマが会社から支給されている場合は13%の税金を払っているが、もし内燃機関のみを搭載する自動車に乗り換えると、税率が2倍以上に跳ね上がるからだ。
新エンジン、排気量拡大 バッテリー性能も向上
今回の小改良では、エンジンが2.0ℓから2.4ℓへと変更されているほか、バッテリーの性能も12kWhから13.8kWhへと向上している。
その結果、フロントのエンジンとリアのモーターのどちらも10%程度パワーアップを果たしている。
また、シャシーやサスペンション、ステアリング、ブレーキだけでなく、スタイリングや装備類についても変更されており、ハンドリングや上質感、ルックスなどの洗練度が増している。
WLTPテストサイクルは当然ながら従来のNEDCよりも厳しく、EVとしての航続距離やCO2排出量、燃費のどれを取っても従来よりも悪化しているように思われる。
例えば、航続距離(家庭で4時間充電後)は53kmから45kmに、燃費は68km/ℓから59.1km/ℓになっている。しかし、これは測定方法が変わったからであって、実質的に大した差はない。
それに実際の効率は多少改善していると思われる。PHEVは新エンジンを搭載してトルクが増しており、オットーサイクルとアトキンソンサイクルを自動的に使い分けることで、軽負荷での燃費向上を実現しているほか、レスポンスの向上にも繋がっている。
どんな感じ?
リラックスできるクルマ
良くなった部分もあるが、全体の9割は従来と似たようなものだとAUTOCAR英国編集部は考えている。
溶接部分の強度向上や新しいショックアブソーバーやステアリングラックの採用、タイヤのサプライヤー変更による変化はハンドリングのレスポンスやボディコントロール、乗り心地に対して、良い変化を与えているが、そこまで大きくはない。
新設されたスポーツモードを選択すると、スロットルレスポンスは鋭く、ハンドルは重くなるが、特に納得のいくモードではない。
やはりこのクルマが素晴らしいのは、静かにリラックスした所作で走っている時だ。アクセルを深く踏み込めば、性能が向上したモーターや大型化したエンジンのおかげで、従来よりもわずかに向上した性能が確認できるが、決して法外に速いわけはない。エンジンの回転は上がっていくもののハンドルと繋がっている感じが薄いのだ。
つまり、アウトランダーの基本的な性格は変わっておらず、だからといって変える必要も感じられない。加えてEVモードでは、穏やかに走らせれば気持ちの良いクルマだ。
細かい点で洗練性を増している
バッテリーについて、航続距離の変化はわずかだ。2014年の長期テストで試した初期型はフル充電の状態で40kmだったのが、エネルギー回生のセッティング次第ではあるが、この新型では44km程度だろう。
交差点での再加速や上り坂、合流時には、確かにモーターのパワー向上が感じられる。三菱によれば130km/hまではモーターのみで加速することができるそうだ。
高速道路や幹線道路で追い越しをせず流れに合わせて走る分には、バッテリーが続く限りエンジンは温存しておけそう。市街地や低速でのモーターのトルクは十分で、望めばレスポンスの良いスポーティな走りが楽しめる。
ガソリンエンジンが起動している際でもメカニカルな部分の洗練度は高く、以前なら気になっていた細かい揺れやロールも改善されている。
コーナーでの身のこなしも良好だ。以前よりもノーズがぐいぐいとインに入っていくようになり、中速コーナーでのロールもうまく抑えられている。
ステアリングからの感触が繊細になったようで、修正舵が減った印象だ。上下動に関しては35kgほど車重が増したこともあり、落ち着きを増している。
価格に及ばぬ上質感
装備類やスタイリング、グレードも変更が加えられているが、訴求力に変わりはない。
キャビンの実用性や快適性は同セグメントの中でもトップレベルで、トランスミッション周りのカーボン調パネルやレザー張りのドアなど、確かに努力は感じられる。
しかし、いかにもフェイクといったパネルや時代遅れな見た目のスイッチなど、場違いな印象を覚える。
依然として英国におけるPHEVモデルの価格はプレミアムカーのそれだが、欧州車と比べると、仕上がりはそのレベルには達していないままだ。
インフォテインメントシステムのタッチスクリーンからは、スケールとボリュームスイッチが省かれ、すっきりとした見た目になったが、利便性は低下した。
その上アウトランダーの広大なダッシュボードでは7インチのスクリーンは小さく感じられる。とはいえ、アップルやアンドロイドのスマートフォンからミラーリングできる機能があるのは美点だけれど。
「買い」か?
唯一無二の存在
4年前の登場当時、ファミリーSUVとしてのアウトランダーPHEVは、50g/km近いCO2排出量と値段の手頃さから魅力的な存在だった。
そして、他社ライバルの積載能力に不満があったり四輪駆動に魅力を感じるのであれば、依然としてコストパフォーマンスの良い選択肢と言える。
アウトランダーは今までのところ、英国で4万台近くを売り上げており、今後の売り上げも好調だろう。三菱によると、通勤で片道30km、年間2万9000kmほど走り、会社から支給された17km/ℓ程度の典型的なディーゼルSUVに乗っているドライバーの場合、アウトランダーPHEVに乗り換えるだけで年間5000ポンド(73万円)の節約になるという。市場に同じようなモデルが存在しないこともあり、売れるのは当然だろう。
プレミアムブランドから乗り換えるひとには特に言っておきたいのだが、アウトランダーPHEVはどこに行くにしろ、好ましいクルマではないかもしれない。リラックスできて運転も楽、運転する楽しさもあるクルマだが、いかんせん上質感という点では、満足いく選択肢ではないかもしれない。
たしかに楽でリラックスでき、運転する楽しさもあるが、いかんせん価格相応の上質感に欠けている。この点を理解しておかないと、金の節約どころか無駄遣いになってしまいかねない。
アウトランダーPHEVは効率的で機能的、快適でもあるファミリーカーだが、そっけなさも感じさせるのが欠点だ。この欠点を受け入れ、日本よりも大幅に高い価格のPHEVを購入出来るだけの財力があるひとなら、アウトランダーPHEVは何ひとつ不満のないクルマだと言えるだろう。
三菱アウトランダーPHEVのスペック
■価格 3万7000ポンド(537万円)(補助金含む)
■全長×全幅×全高 4695×1800×1710mm
■最高速度 170km/h
■0-100km/h加速 10.5秒
■燃費 59.1km/ℓ
■CO2排出量 46g/km
■乾燥重量 1880kg
■パワートレイン 直列4気筒2360cc
■使用燃料 ガソリン
■最高出力(エンジン) 128ps/4500rpm
■最高出力(モーター) 82ps(前)95ps(後)
■最大トルク(エンジン) 20.3kg-m/4500rpm
■最大トルク(モーター) 14.0kg-m(前)19.9kg-m(後)
■ギアボックス CVT
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