エンジンを2.4リットルに拡大し、静粛性と充電効率をアップ!
三菱『アウトランダーPHEV』がマイナーチェンジを敢行。エンジンを2リットルから2.4リットルに拡大し、モーター駆動による走行距離の延長やモーター出力の向上、サスペンションのセッティングなど、大幅な変更が行なわれた。三菱『アウトランダーPHEV』が初めて登場したのは今から5年前の2013年。三菱自動車としてはすでに軽規格のEV(電気自動車)である『i-Miev』を発売していて、電気制御の多くの技術的実績を積み重ねてきていた。そしてSUVであるアウトランダーもEV化し、発電用メインとしてのガソリンエンジンを組み合わせ、しかも4輪駆動モデルとして登場させたのだから大きな驚きだった。
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PHEVとは「プラグインエレクトリックビークル」の略で、トヨタ・プリウスや昨今相次いで登場してきているPHV(プラグインハイブリッド)とは似て非なるもの。『アウトランダーPHEV』は、EV(電気自動車)として走る事が主体で、レンジエクステンダー的役割としてエンジンを載せている点は後に登場するBMW i3と同類だが、駆動力としてもエンジン出力が引き出せる点で特殊な存在であるといえた。
その『アウトランダーPHEV』が登場から5年を得て大幅改良を受けることになった。最も注目すべき点は従来2リットル・直4であったガソリンエンジンを、2.4リットル・直4へとスープアップしたこと。さらに、三菱自動車独自の可変バルブタイミング機構であるMIVECを用いてアトキンソンサイクルで稼動し、熱効率を高めたのだ。普段EVで走るならエンジンのスープアップの不要ではと思われそうだが、EV走行中でも急加速や高速域、あるいは発電要求によりエンジンは始動する。その際に排気量アップされトルクアップしたエンジンは高効率でジュネレーターを回すことができ、かつアトキンソンサイクルで低回転域からトルクを発揮させることでエンジン始動時の不快な振動やノイズを大幅に軽減できるというわけだ。
エンジンの仕様変更にともないバッテリー容量も1.8kwh増の13.8kwhとなりEV航続距離は5km伸びて65kmとなった。市街地の使用範囲ではほぼEVとして走行できる。実際に走らせると、確かにエンジン始動時のノイズが軽減されあらゆる速度域で快適性が増している。今回ドライブモードに「スポーツモード」が新設されたことも目新しく、スポーツモードではアクセルワークに対してモーターのトルクピックアップが高まり、EV走行時でもキビキビとした加減速が今まで以上に可能になった。前後ショックアブソーバーの容量アップやステアリングギア比のクイック化、さらには車体接合部に構造用接着剤を拡大塗布し剛性を高めるなど走り全体の質感向上も体感することができた。
このほかシートの表皮にダイヤモンドキルト柄に変更し、フロントグリルまわりのスモーク化など、見た目の質感の向上も施されている。
(レポート:中谷明彦)
<中谷明彦>大学在学中よりレーサー/モータージャーナリストとして活動。1988年全日本F3選手権覇者となるなど国内外で活躍中。自動車関連の開発、イベント運営、雑誌企画など様々な分野でのコンサルタントも行っている。高性能車の車両運動性能や電子制御特性の解析を得意としている。1997年よりドライビング理論研究会「中谷塾」を開設しF1パイロット・佐藤琢磨らを輩出。
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