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ニューモデル 2018.7.22

新型アウディTTでマン島TTのフルコースを走った!【Audi TT 生誕20周年特別企画その1】

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今年で生誕20周年を迎えたアウディTT。タイミングを合わせるようにフェイスリフトを受けた新型TTSで、そのネーミングのルーツであるマン島を走る機会に恵まれた。マン島TTレースは世界で最も過酷な二輪レースとして知られている。なぜTTは、四輪でありながら二輪レースにちなむ名前を与えられたのか?そして最新のTTSは、この壮絶なコースでどんな走りを見せたのか?TEXT●小泉建治(KOIZUMI Kenji)PHOTO●AUDI/編集部

なぜTTは二輪レースのネーミングを与えられたのか?

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 早いもので、前衛的デザインで世間を驚かせた初代アウディTTのデビューから20年が経ち、その記念すべきアニバーサリーイヤーに合わせるように、現行三代目がフェイスリフトを受けた。

 その国際試乗会の舞台にアウディが選んだ場所がなんとも奮っている。まさにTTのネーミングの由来となった、英国王室領マン島だというのだ。そう、世界で最も過酷な公道二輪レースで知られる、あのマン島である。

 みなさんもテレビや動画などで見たことがあるだろう。狭い街中や広大な丘陵地帯を200km/h以上でぶっ飛ばし続けるクレイジーな二輪レースを……。危険度は間違いなく世界一で、ライダーたちも2-3本ネジが抜けているなんてものではない。恐怖に対する耐性が突然変異でも起こしているとしか思えず、どうしたって彼らが自分と同じ人間だとは信じられない。

 そんなマン島を新型TTで走れと言うのである。怖い? そりゃあ怖いです。いや、別にあんなスピードで走る必要はないし、そもそも出せるはずもない。それにマン島にはフツーの人も住んでいて、フツーにクルマで走っているのは言われなくてもわかる。まぁしかし、マン島と聞けば衝撃的なクラッシュシーンの数々を思い浮かべずにはいられないわけですよ。

 それはさておき、そもそもTTとはどんな意味なのか? TTはツーリスト・トロフィーの略で、一般公道を長い距離に渡って走り抜けるレースということらしい。四輪で言うところのGTレースに近い意味合いだ。ではなぜ四輪であるアウディTTがこの二輪レースのネーミングを名乗るのか? 実はAUDIの前身であるアウトウニオンを形成していた4メーカーのひとつであるDKWが、かつて生産していた二輪で1938年のマン島TTレースを制しているのだ。

 その60年後にアウディTTがデビューし、80年後の今年、ゆかりの深いマン島に帰ってきた。このストーリーに関しては別の機会に詳しく紹介する予定だが、かくもクルマ好きの心を揺さぶるエピソードが隠されていたというワケなのである。


なんとマウンテン区間を完全封鎖! あのマン島を全開走行!

 今回の試乗会の最大のハイライトは、なんとマン島TTレースのコースの一部を封鎖し、一般車のいないクローズド状態で走れるということ。封鎖区間はラムジーヘアピンからクレッグ・ニーバーを結ぶ山岳区間で、全長60kmの約3分の1にあたる20kmほどの距離を往復する。CMや映画の撮影などでの前例はあるものの、レースウィーク以外でここまで大がかりにコースを封鎖するのは初めてとのことで、ここにもアウディの気合いが見て取れる。

 今回、試乗車として用意されたのは上位モデルのTTSのみで、すべて左ハンドルの欧州大陸仕様だ。スタート地点のクレッグ・ニーバーにズラリと並べられたTTSは、フェイスリフトの効用か、はたまたマン島というロケーションの力なのか、今まで見たなかでも最高に精悍で逞しく思えた。

 新型の主な変更点はフロントマスクで、シングルフレームグリルの内側が横桟からハニカム模様になり、レーシングムードが格段に高められている。両端の大型エアインレットも目を惹くポイントで、ワイド感の強調にひと役買っている。


先導車はTTライダーの駆る1000ccスーパースポーツバイク!

 いよいよクローズド区間での試乗がスタートする。コクピットに乗り込み、ドライブモードをダイナミックに切り替える。TTSのドライブモードは、エンジン特性、パワーステアリングのアシスト量、シフトチェンジスピードとタイミング、マグネティックライド・アダプティブダンパーコントロール、そしてエキゾーストノートなどを総合的に制御する。コンフォート、オート、ダイナミック、インディビデュアルの4モードが用意され、ダイナミックを選択すれば当然ながらすべてダイナミクス優先となる。インディビデュアルでは、各要素をそれぞれ任意に設定することができる。
 
 先導車は、なんと地元のTTライダーが駆る新型ホンダCBR1000RRだ。おいおい、そんなの速すぎて先導車の意味がないじゃないか。仮に彼がペースを落としてくれたとしても、二輪と四輪ではブレーキングポイントもラインも違う。

 と、案じていたら、CBR1000RRはスパーンとあっという間に視界の向こうに消え去ってしまった。どうやら先導車というより、コースのチェックと、沿道のマーシャルたちにセッション開始を伝える役を兼ねているようで、ラリーのゼロカーみたいな感じらしい。

 で、本当のインストラクターは隊列の先頭のTTSに乗り込んだ。最高速度は90MPH(約145km/h)とされ、追い越しは禁止というレギュレーションだ。また、サーキットと同様に随所にコースマーシャルがいるから、フラッグを注意して見るように、とのこと。

MPHをそのままkm/hに置き換えたような速度感

 先頭のインストラクター、二番手のイタリア人ジャーナリストに続いて発進する。せっかくのクローズドコースなので、マニュアルモードでレブリミットまで回し切ってシフトアップしていく。シフトアップ時に自動で一瞬スロットルを閉じる際の「ブバッ」という息継ぎ音がなんとも勇ましい。そして公道ではMT派の筆者も、こうしたクローズドコースでのハイペースドライビングとなると、やはりDCTの素速いシフトチェンジの魅力には抗えない。
 
 そのまま全開加速を続けると、3速でレブリミットの6800rpmに当たるところで85MPH(約137km/h)に達した。ちなみに試乗車は現行モデルよりも最高出力で20ps、最大トルクで20Nmの向上を得た新パワーユニット(直列4気筒2.0Lターボ)に7速DCTを組み合わせているが、これはマーケットによって異なるそうで、日本仕様のスペックは現行モデルから変更されない見通しだ。

 スピードが乗ってきたところで、いよいよマン島の山岳セクションらしいハイスピードコーナーが出現する。上限とされている90MPHを維持したまま突っ込んでいけてしまうコーナーもあるが、ガードレールなんてないから一瞬のミスで丘の向こうへ吹っ飛んで行ってしまう。

 しかもクローズド状態とはいえ、ここは公道である。サーキットと大きく違うのは路面のカントで、排水性を考えてセンターライン付近が盛り上がり、両側の路肩に向かって下がっていく。つまり対向車がいないから存分にアウトインアウトのライン取りができるものの、センターラインを越えるとカントが変化するためにマシンの挙動に少なからず影響を与えてしまうのだ。もちろん常識的な速度で走っていればまったく問題はないはずだが、150km/h近くとなれば話は別だ。

 さらに路面もサーキットのように滑らかではない。しかしマグネティックライドを備えたTTSの路面追従性は相変わらずで、どんなシチュエーションでも執拗に路面を捉え続ける。試乗車は255/35ZR20という大径ホイール&偏平タイヤを履いていたが、路面からのインフォメーションだけではなく、なんだか高荷重がかかったときのタイヤのたわみまでが伝わってくるようで、安心感がこの上ない。90MPHで走っていてもそれほどスピード感がなく、まるで90km/hくらいで走っている感覚だ。そう、マイルをそのままキロメートルに置き換えたような速度感なのだ。

アウトインアウトでグースネックを駆け上がる!

 そんな調子で気分よく走っていると、見晴らしのいい丘の頂点で知られるバンガローに近づいたところでマーシャルがレッドフラッグを振っているのが見えた。「うわ! 誰かクラッシュ?」と身構えたのも束の間、よくよく見ると登山鉄道が悠然とコース上を横切っているではないか。

 そう、一般車両はシャットアウトしていても、鉄道まではシャットアウトしていなかったのだ。でもこれはこれで名物だし、むしろ見られてよかった。シャットアウトしてくれなくてありがとう。ちなみに踏切に遮断機はない。マーシャルさんもありがとう。

 踏切を過ぎても、相変わらず高速セクションが続く。だんだん速度感覚が麻痺してきたところで、急にタイトな左ヘアピンが現れた。逆走なのでわかりにくかったが、有名なグースネックである。となればラムジーヘアピンもすぐそこ。ブレーキングポイントが手前過ぎるイタリア人ジャーナリストとの間隔を空け、ラムジーヘアピンに向けて意気込んでいると、件のCBR1000RRがこちらを向いて待機している。ありゃ、ここが折り返しポイントでしたか。ヘアピンの中央でゆっくりとUターンし、今度はTTレースと同様の順走である。

 そして再スタート。いやすごい。順走はすごい。もう、オンボード映像で見たのとまったく同じなんですよ、当たり前だけれど。対向車を気にすることなく、アウトインアウトでグースネックを駆け上がるなんて、もうバイク好きだったら感涙必至。復路は涙で前がほとんど見えませんでしたとさ(もちろん8割がたウソ。2割くらいホント)。

そしてついに念願のフルコースを走る!

 そんなこんなで涙を拭いながらあっという間にゴールのクレッグ・ニーバーに帰着。もう本当にありがとうございました。こんな経験をさせてもらえたら、誰だってマン島TT万歳、アウディTT万歳、になってしまう。

 そしてコースクローズも解除され、一般車両がなだれ込む。「これで山岳セクションの試乗は終了です。あとは自由に試乗していただき、19時までにホテルに帰ってきてね」とアウディ担当者。この時点で16時。あと3時間ほど残っている。

「全長60kmのフルコース、行けるかも知れない」

 というわけで、今度は制限速度を守りつつ、念願だったフルコースを一周してみたのである。もちろんコース図はすべて頭に入っている。

 クレッグ・ニーバーから、ひとまずマン島最大の都市ダグラスのスタート&ゴールラインに向かう。うすうす予感はしていたが、やはりコントロールタワーが見えた瞬間に「うおおおおっ」と雄叫び……もとい歓声をあげてしまった。

 面白いのはコントロールタワーも、ピットロードも、観客席も、なにからなにまで常設されているということ。表彰台まで放置状態だから、もちろん中央に立ってガッツポーズなんかもやってしまいましたよ。

 さらにメインストレートのみならず、全周に渡って縁石やクラッシュパッドやらもそのまんま。海外旅行なんてそう簡単に行けるものではないけれど、この記事を読んでくださっている貴方には、ぜひともマン島をいつか訪れたい場所のひとつに加えていただきたい。もしもバイクのことをよく知らなくても、このただならぬ雰囲気にはノックアウトされること間違いなし。自分、幸いにしてモナコやル・マンやシンガポールといった公道レースのコースをいくつか取材で訪れたことがあるが、レースウィークの残り香の濃度は間違いなくマン島がナンバーワンである。

 多くの島民がTTレースを愛している、というのも、まぁなんとなく想像はしていたことだが、まさしくその通りではないかと思えた。クルマを停めて写真を撮っていて笑顔を向けられたり、サムアップされたりしたのは一度や二度ではない。「ワオ、TTでTTを走っているのかい?」なんて声をかけられたりもした。

 街中にもかかわらずスーパーバイククラスやシニアTTクラスでは最高速度が290km/hにも達するというカークマイケルを抜けて東に針路を取る。
 

 依然としてコースの際まで建物が迫り出しているようなスリリングな道が続く。もちろん常識的な速度であれば危険は感じないし、ジャンピングスポットで有名なバラフブリッジも、普段はジャンプなんてするわけがない。それでも、ここに200km/h以上で突っ込んだらどうなるのか、なんて想像しながら走っていると「こりゃあ怖いだろうなぁ」と背筋が寒くなることしきりである。

 ラムジーの街中を抜ければ、ほどなくしてクローズド試乗の折り返し地点だったヘアピンにたどり着く。先ほどは走り抜けられなかったが、思いのほか先行車も対向車もいなかったので、ちょいと勢いよく曲がってみる。なんにせよ、ラムジーヘアピンを曲がれた、それだけで十分に満足だ。

 そこからはマウンテン区間の再走だ。もちろん今度は対向車が来る。さっきはほぼ全開走行で興奮しっぱなしだったが、二度目は比較的冷静に走れる……かと思ったが、考える余裕があると、さらに興奮度が増してくるらしい。記憶にある写真や映像が、目の前の風景とオーバーラップして、現実なのか夢なのかよくわからなくなってくる。ズギューンと勢いよくブチ抜いていくライダーたちも実に楽しそうだ。

 こうして夢のマン島ドライブもゴールを迎えた。写真を撮りながらゆっくり走って、60kmを約2時間で走り抜けた。もしも止まらずに走り続けたら、だいたい1時間30分くらいで走りきれるだろう。

 ちなみに2018年のTTレースでピーター・ヒックマンが叩き出したコースレコードは、なんと16分42秒! 平均速度はまさかの218km/h! まったく、どうかしている。


アウディ TTSクーペ(欧州仕様車)
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ 総排気量:1984cc 最高出力:225kW(306ps)/5400rpm 最大トルク:400Nm/4400rpm トランスミッション:7速DCT サスペンション形式:ⒻマクファーソンストラットⓇ4リンク ブレーキ:ⒻⓇベンチレーテッドディスク 最高速度:250km/h(リミッター介入) 0-100km/h加速:4.5秒

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(MotorFan MotorFan編集部 小泉 建治)

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