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ニューモデル 2018.7.12

国産小型スポーツたちが忘れたもの いすゞ ジェミニZZ ハンドリングbyロータス試乗 【徳大寺有恒のリバイバル試乗記】

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 徳大寺有恒氏の美しい試乗記を再録する本コーナー。今回はいすゞ ジェミニZZ ハンドリングbyロータスを取り上げます。

 FR(後輪駆動)であった初代からFF(前輪駆動)への変貌を遂げ、1985年5月に誕生した2代目「FFジェミニ」。「街の遊撃手」というキャッチコピーとともに、パステルカラーのジェミニがぴったり寄り添いパリの街中を走っていくCM、といえば、思いだす方も多いかもしれません。

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 1987年のモデルチェンジを経て、その翌1988年、新開発の1.6L 4バルブDOHCエンジン・4XE1型を搭載、足回りを英国のロータス社がチューニングしてBBSホイールをオプション設定(ZZ-SEのみ標準装備)したのが「ジェミニZZ ハンドリングbyロータス」です。

 ジェミニのスポーツモデルとしての認知度を一気に高めたこのモデルを、徳さんはどのように評したか。1988年の試乗記からリバイバル。

※本稿は1988年に執筆されたものです
文:徳大寺有恒
初出:ベストカー2015年6月10日号「徳大寺有恒 リバイバル試乗」より
「徳大寺有恒 リバイバル試乗」は本誌『ベストカー』にて毎号連載中です


■英国メーカー ロータスによるハンドリング チューニング

 世界一多くのクルマを作り、技術も世界一とうそぶく日本にあって、サスペンションチューニングをイギリスの小さなスポーツカーメーカーに任せるというメーカーもある? ま、混沌こそが面白く、楽しいクルマも現われ得るということなのだろう。

 ところで、ハンドリングというものは、絶対的なものじゃない。こういうハンドリングがいいんだ、とは誰も断定できない。そこにあるのは“好み”であり、こういうハンドリングを好む、ということなのである。

 ロータスというスポーツカーメーカーは、その歴史を通じて、スポーツカーのハンドリングに一家言持つことでよく知られている。

 シャープなスティアリングフィールと少々ロールを許すサスペンションチューニングを持ち味としている。このロータスは今、GMグループの一員であり、同じGMグループのいすゞが同族のよしみで、ロータス流のハンドリングを与えてもらいたいと願ったものと想像できる。

 ロータスにとってFF車のハンドリングはきっと初めての経験だったに違いない。ロータスはFFジェミニをどう調教するか? こいつはロータスファンならずとも大いに興味があるところだ。

■カラーリングは重要だ

 ハンドリングbyロータスのカラーリングは深いグリーンにペイントされている。いわゆるブリティッシュ・レーシング・グリーンというやつで、なかなか魅力的だ。しかし、ロータスのレーシング・グリーンは時代により少しずつ異なるとはいえ、もう少し明るいということをいすゞは知っているだろうか。

 若草色に近いグリーンにゴールドのストライプ、これが長くティーム・ロータスのカラーだった。

 とはいえ今回のジェミニハンドリングbyロータスのグリーンにゴールドというストライプも悪くない。このカラーはイギリスのグラフィックデザイン華やかなりし頃のもので、かのオリエンタルエキスプレスのカラーリングでもある。

 こういう特別なクルマにとって、カラーリングも特別な意味を持ち、0~400m加速タイムなどと同じくらい重要だと私は認識している。

■ロータスの技術へのキャッチアップは成ったか?

 このハンドリングbyロータスだが、結論からいうと、“カニ蒲”ほどではないが、インスタントの“松茸のお吸いもの”レベル以上の出来にある。つまり、ロータスの香りはするのだ。その香りの重要な部分はロールにある。ロータスはかつてのエランにせよ、コーティナ・ロータスにせよ、比較的ロールを許している。

 しかし、重要なのはロールの過度特性で、そいつが、コーナリングスピードとコーナーのRにより、自然に沈みこむようでなければダメなのだ。

 ジェミニZZハンドリングbyロータスのロールは実にロータスのそれなのである。では、コーナリング性能そのものはどうかというと、当然エンジンパワー、タイヤのグリップレベルしだいということが関係する。

 今回新型の1.6L 4XE1エンジンを搭載した。このエンジンはDOHC4ヴァルブで135馬力と強力だ。FFでこのパワーを吸収することは難しい。ドライバーがコーナーで不用意にスロットルを深く踏めば、フロントタイヤはグリップを失い、アンダースティアの傾向を強めてしまう。しかし、これはFFの宿命であり、ロータスを攻めるわけにはいかない。

■新型エンジン 1.6L 4XE1

 最高出力135ps/7200rpm、最大トルク14.3kgm/5600rpmというスペックから想像するよりもずっとエンジンの性格は柔軟で、かつ高速のパンチもある。数ある1.6L DOHCエンジンの中でも特徴あるエンジンといえる。残念なのは、この高速タイプのパンチあるエンジンパワーに対して、少々トラクションが弱く、静止からのフルパワーは注意する必要があることだ。

 また、5スピードトランスミッションとの組み合わせはとてもいいが、そのトランスミッションのストロークが過剰で、しかもフィールがよくないことはマイナスだ。

 ブレーキはディスクを大きくし、サーボアシストの量も増やした。この結果絶対的な制動力もたしかに高くなった。しかし、欲をいえば、ブレーキキャパシティは増やしても、サーボはあまり大きくないほうがいいと思った。ブレーキ系の剛性を高め、踏力に応じた制動力を持つほうが、このクルマにはふさわしかろうと思う

■ハンドリングbyロータスを通して視る、国産小型スポーツの今

 なんといっても吹け上がりがよく、サウンドもいいエンジンはこのクルマの大いなる魅力だし、前述したとおりカラーリングもいい。ツィーディなファブリックを張ったレカロシートもいい。この小さなFFスポーツは大人のクルマだと思う。

 昨今の国産小型スポーツは絶対的加速や絶対的コーナリングスピードを追いすぎていて、カンジンな“スポーツフィール”や“スポーツムード”を忘れてしまっている。ところが、このクルマは“スポーツ”になりきっていて、一日乗ると若々しい気持ちにさせてくれる。ロータスの恩恵はことによると、そのへんにあるのかもしれない。

◎ジェミニZZ ハンドリング by ロータス 3ドア 主要諸元
全長:3995mm
全幅:1615mm
全高:1370mm
ホイールベース:2400mm
車重:950kg
エンジン:直4DOHC
総排気量:1588cc
最高出力:135ps/7200rpm
最大トルク:14.3kgm/5600rpm
トランスミッション:5MT
10モード燃費:13.0km/L
サスペンション:ストラット/トレーリングアーム
価格:155万1000円
※グロス表記

◎ベストカーテストデータ
0~400m加速:15秒88
0~100km/h加速:7秒71
最高速:185.8km/h

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(ベストカーWeb ベストカーWeb編集部)

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